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2022年度 統計データ分析コンペティション | 大学生・一般の部
🥇審査員奨励賞

建物火災発生率予測モデルの構築および
発生率の決定要因分析

⏱️ 推定読了時間: 約36分
OLS重回帰 | RandomForest変数重要度 | 都道府県別リスク分析
📝 3行で分かる要約

目次

  1. 研究背景:火災リスクと地域環境
  2. 代理変数の設計:何を目的変数とするか
  3. 相関分析:主要変数のヒートマップ
  4. RandomForest 変数重要度
  5. OLS標準化係数:各変数の効果
  6. 地域別リスク分析:病院密度との関係
  7. まとめ
  8. 📥 データの準備
  9. 💼 実社会での応用
  10. ⚠️ よくある誤解
  11. 📖 用語集
  12. 📐 手法ガイド
  13. 🚀 発展の可能性
  14. 🎯 自分でやってみよう
  15. 🤔 Q&A

🎯 この記事を読むと何ができるようになるか

📥 データの準備(再現コードを動かす前に)

このページの分析を自分で再現するには、以下の手順でデータを準備してください。コードの編集は不要です。

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データをダウンロードする 統計センターの SSDSE 配布ページから、以下のファイルをダウンロードします。
SSDSE-B-2026.csv ← SSDSE-B(都道府県データ)📥 直接DL
⬇ SSDSEダウンロードページを開く
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ファイルを所定のフォルダに配置する ダウンロードしたCSVを、プロジェクトの data/raw/ フォルダに入れます。
2026 統計・データ解析コンペ/ ├── code/ │ └── 2022_U5_3_shorei.py ← 実行するスクリプト └── data/ └── raw/ SSDSE-B-2026.csv ← ここに置く
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スクリプトをそのまま実行する ターミナルでプロジェクトルートに移動し、以下を実行します。
python3 code/2022_U5_3_shorei.py
図は html/figures/ に自動保存されます。
研究背景:火災リスクと地域環境

建物火災は毎年多くの人命と財産を奪う重大な社会問題である。しかし「どの地域でなぜ火災が多く発生するのか」という決定要因は、単純な件数の比較だけでは把握しにくい。人口規模・気候・高齢化率・建物活動量など、様々な地域属性が複合的に絡み合っているためである。

まず「建物火災発生率予測モデルの構築および発生率の決定要因分析」を統計的にとらえることが有効だと考えられる。 その理由は感覚や経験則だけでは、複雑な社会要因の中で「何が本当に効いているか」を見極めにくいからである。 本研究では公開データと統計手法を組み合わせ、この問いに定量的な答えを出すことを目指す。

本研究はSSDSE-B(都道府県別データ)N=47を用いて、建物火災発生率の代理指標を構築し、OLS重回帰とRandomForestの2手法で決定要因を分析した。都市部と地方の違い、高齢化の影響、気候的要因などを統計的に検証することで、地域ごとのリスク構造の解明を試みた。

研究の問い 都道府県ごとに建物火災の発生しやすさはどう異なるか?消費支出・高齢化率・気温・人口密度・病院密度のどれが最も強い決定要因となっているか?
分析の流れ
SSDSE-B
2022年度
N=47都道府県
代理変数
設計
(特徴量構築)
相関
ヒートマップ
OLS回帰

RandomForest
リスク要因
の特定

SSDSE-B 火災リスク分析 OLS重回帰 RandomForest 代理変数

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代理変数の設計:何を目的変数とするか

「建物火災発生率」を直接測定するデータは都道府県別に取得しにくい場合がある。本研究では「着工建築物密度(人口1万人あたりの着工建築物数)」を建物活動率・火災リスクの代理変数として採用した。

代理変数の定義 着工建築物密度 = 着工建築物数 ÷ 総人口 × 10,000
建物の新設・改修活動が活発な地域ほど建物密度が高く、潜在的な火災リスクが高まると仮定。

説明変数の構成と想定効果

変数名算出式想定される効果
消費支出 消費支出(二人以上世帯) / 1000(千円) 都市部生活水準の代理。高いほど人口集積・建物活動が活発
高齢化率 65歳以上人口 / 総人口 × 100(%) 高齢者は在宅時間が長く火災リスクが上がる可能性
平均気温 平均気温(℃)そのまま利用 寒冷地では暖房使用頻度が高く、火災リスクに影響する可能性
人口密度 総人口 / 都道府県面積(km²)(人/km²) 都市化・密集度。高密度ほど建物数が多く着工建築物も多い
病院密度 一般病院数 / 総人口 × 10,000(人口1万人対) 緊急対応体制・医療資源の充実度の代理変数

DS LEARNING POINT 1

代理変数設計の考え方

直接測定が困難な概念を既存の統計データで近似するのが「代理変数(Proxy Variable)」の発想。重要なのは「なぜこれが代理になり得るか」という理論的根拠を示すこと。代理変数を使う場合には、その限界(測定誤差・構成概念妥当性)も明示すべきである。

# 代理変数(目的変数)の構築例 pop = df['総人口'].values.astype(float).clip(1) kouji = df['着工建築物数'].values.astype(float) # 人口規模の違いを除いた「密度」に変換 y_vals = kouji / pop * 10000 # 人口1万人あたり着工建築物数 # ポイント:単純な件数ではなく「密度」にすることで # 大都市と過疎地の比較が可能になる print(f"着工建築物密度: mean={y_vals.mean():.2f}, std={y_vals.std():.2f}")
やってみよう実データ読み込み(SSDSE-B-2026: 都道府県データ)
📝 コード
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df_b = pd.read_csv(DATA_B, encoding='cp932', header=1)
df_b = df_b[df_b['地域コード'].str.match(r'^R\d{5}$', na=False)].copy()
df_2022 = df_b[df_b['年度'] == 2022].copy()  # N=47

print("=" * 60)
print(f"■ 都道府県データ 2022年度: N={len(df_2022)}")
print("=" * 60)
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • pd.read_csv(...) でCSVを読み込みます。encoding='cp932' は日本語Windows由来の文字コード、header=1 は「2行目を列名として使う」。
  • df['地域コード'].str.match(r'^R\d{5}', ...) — 正規表現で「R+数字5桁」の行(47都道府県)だけTrueにし、真偽値で行をフィルタ。
💡 Python TIPS df['A'] / df['B'] — pandasの列同士の四則演算は要素ごと(element-wise)。forループ不要なのが強み。
やってみよう実データ読み込み(SSDSE-B-2026: 都道府県データ) — ── 都道府県面積(km²)── 国土地理院 全国都道府県市区町村別面積調(令和5年)
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# ── 都道府県面積(km²)── 国土地理院 全国都道府県市区町村別面積調(令和5年)
area_km2 = {
    '北海道': 83424, '青森県': 9646,  '岩手県': 15275, '宮城県': 7282,  '秋田県': 11638,
    '山形県': 9323,  '福島県': 13784, '茨城県': 6097,  '栃木県': 6408,  '群馬県': 6362,
    '埼玉県': 3798,  '千葉県': 5158,  '東京都': 2194,  '神奈川県': 2416, '新潟県': 12584,
    '富山県': 4248,  '石川県': 4186,  '福井県': 4191,  '山梨県': 4465,  '長野県': 13562,
    '岐阜県': 10621, '静岡県': 7777,  '愛知県': 5173,  '三重県': 5774,  '滋賀県': 4017,
    '京都府': 4612,  '大阪府': 1905,  '兵庫県': 8401,  '奈良県': 3691,  '和歌山県': 4725,
    '鳥取県': 3507,  '島根県': 6708,  '岡山県': 7114,  '広島県': 8480,  '山口県': 6114,
    '徳島県': 4147,  '香川県': 1877,  '愛媛県': 5676,  '高知県': 7104,  '福岡県': 4987,
    '佐賀県': 2441,  '長崎県': 4130,  '熊本県': 7409,  '大分県': 6341,  '宮崎県': 7735,
    '鹿児島県': 9187,'沖縄県': 2281,
}

df_2022 = df_2022.copy()
df_2022['面積_km2'] = df_2022['都道府県'].map(area_km2)
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • このステップでは前のステップで作ったデータを加工しています。コードを上から順に読んでみてください。
💡 Python TIPS Seriesの .map() は「1対1の置き換え」、.apply() は「関数を当てる」。辞書なら .map()、ロジックなら .apply()
やってみよう実データ読み込み(SSDSE-B-2026: 都道府県データ) — ── 特徴量エンジニアリング ─────────────────────────────────────
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# ── 特徴量エンジニアリング ─────────────────────────────────────
pop  = df_2022['総人口'].values.astype(float).clip(1)
pop65 = df_2022['65歳以上人口'].values.astype(float)
hosp  = df_2022['一般病院数'].values.astype(float)
kouji = df_2022['着工建築物数'].values.astype(float)
temp  = df_2022['年平均気温'].values.astype(float)
spend = df_2022['消費支出(二人以上の世帯)'].values.astype(float)
area  = df_2022['面積_km2'].values.astype(float).clip(1)
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • このステップでは前のステップで作ったデータを加工しています。コードを上から順に読んでみてください。
💡 Python TIPS [式 for x in リスト]リスト内包表記。forループでappendする代わりに1行でリストを作れます。
やってみよう実データ読み込み(SSDSE-B-2026: 都道府県データ) — 目的変数: 着工建築物密度(建物火災リスク代理変数)
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# 目的変数: 着工建築物密度(建物火災リスク代理変数)
y_vals = kouji / pop * 10000   # 人口1万人あたり着工建築物数

# 説明変数
aging_rate   = pop65 / pop * 100        # 高齢化率(%)
hospital_den = hosp / pop * 10000       # 一般病院密度(人口1万人対)
pop_density  = pop / area               # 人口密度(人/km²)
temp_vals    = temp                     # 年平均気温(℃)
spend_vals   = spend / 1000             # 消費支出(千円)

VAR_NAMES = ['消費支出', '高齢化率', '年平均気温', '人口密度', '病院密度']
pref_names = df_2022['都道府県'].values

X_raw = np.column_stack([spend_vals, aging_rate, temp_vals, pop_density, hospital_den])
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • このステップでは前のステップで作ったデータを加工しています。コードを上から順に読んでみてください。
💡 Python TIPS r, p = stats.pearsonr(...) — Pythonは複数戻り値を同時に受け取れる(タプルアンパック)。
やってみよう実データ読み込み(SSDSE-B-2026: 都道府県データ) — 欠損値チェック・除外
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# 欠損値チェック・除外
valid = np.all(np.isfinite(X_raw), axis=1) & np.isfinite(y_vals)
X_raw     = X_raw[valid]
y_vals    = y_vals[valid]
pref_names = pref_names[valid]

N = len(y_vals)
print(f"有効都道府県数: N={N}")
print(f"\n  目的変数(着工建築物密度): mean={y_vals.mean():.2f}, std={y_vals.std():.2f}")
print(f"  範囲: [{y_vals.min():.2f}, {y_vals.max():.2f}]")
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • このステップでは前のステップで作ったデータを加工しています。コードを上から順に読んでみてください。
💡 Python TIPS x if cond else y三項演算子。リスト内包表記と組み合わせると、forとifを1行で書けます。
やってみよう実データ読み込み(SSDSE-B-2026: 都道府県データ) — ── 基本統計 ───────────────────────────────────────────────────
📝 コード
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# ── 基本統計 ───────────────────────────────────────────────────
df_main = pd.DataFrame(X_raw, columns=VAR_NAMES)
df_main['着工建築物密度'] = y_vals
df_main['都道府県'] = pref_names

print("\n  基本統計:")
print(df_main[['着工建築物密度'] + VAR_NAMES].describe().round(2))
▼ 実行結果
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■ 都道府県データ 2022年度: N=47
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有効都道府県数: N=47

  目的変数(着工建築物密度): mean=47.34, std=8.84
  範囲: [30.23, 80.32]

  基本統計:
       着工建築物密度    消費支出   高齢化率  年平均気温     人口密度   病院密度
count    47.00   47.00  47.00  47.00    47.00  47.00
mean     47.34  289.63  31.35  16.07   652.75   0.69
std       8.93   19.19   3.27   2.29  1221.27   0.28
min      30.23  245.05  22.81  10.20    61.61   0.32
25%      41.28  276.83  29.85  15.25   169.95   0.49
50%      47.92  287.78  31.42  16.40   261.74   0.60
75%      52.84  302.26  33.72  17.35   463.20   0.84
max      80.32  324.79  38.60  23.70  6398.36   1.60
💡 解説
  • .describe() — 件数・平均・標準偏差・四分位・最大/最小を一括計算。データの素性チェックに必須。
💡 Python TIPS df[col](1列)と df[[col1, col2]](複数列)でカッコの数が違います。リストを渡していると覚えるとミスを減らせます。
3. 相関分析
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相関分析:主要変数のヒートマップ

OLS回帰やRandomForestを適用する前に、目的変数説明変数の間の相関、および説明変数同士の多重共線性の傾向を相関ヒートマップで可視化した。

相関ヒートマップ
図1:主要変数間の相関ヒートマップピアソン相関係数 N=47都道府県・2022年度)。赤系が正の相関、青系が負の相関
📌 この回帰係数プロットの読み方
このグラフは
重回帰分析の各説明変数係数(影響の強さと向き)をバーや点で表したグラフ。
読み方
右(プラス方向)に伸びるバーは「この変数が増えると目的変数も増える」正の影響。左(マイナス方向)は逆。
なぜそう解釈できるか
エラーバー(誤差棒)が0をまたいでいない変数が統計的に有意(p < 0.05)。バーが長いほど影響が大きい。
ヒートマップの読み方
  • 対角線は自己相関(必ず1.00)
  • 着工建築物密度と強い正相関:人口密度・消費支出
  • 着工建築物密度と負相関の傾向:高齢化率・病院密度
  • 説明変数間の強い相関多重共線性の懸念(高齢化率と病院密度など)
N=47の注意点 都道府県データはN=47と小さいため、統計的検出力が限られる。|r|≥0.29程度でp<0.05になる(両側検定)。解釈には効果量と実質的意義の両方を確認することが重要。
やってみよう■ 図の生成(4枚)
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all_col_names = ['着工建築物密度'] + VAR_NAMES
df_corr = df_main[all_col_names].copy()
corr_mat = df_corr.corr()

fig1, ax1 = plt.subplots(figsize=(8, 6.5))
im = ax1.imshow(corr_mat.values, cmap='RdBu_r', vmin=-1, vmax=1, aspect='auto')
plt.colorbar(im, ax=ax1, shrink=0.8, label='ピアソン相関係数')

ax1.set_xticks(range(len(all_col_names)))
ax1.set_yticks(range(len(all_col_names)))
ax1.set_xticklabels(all_col_names, rotation=35, ha='right', fontsize=10)
ax1.set_yticklabels(all_col_names, fontsize=10)

for i in range(len(all_col_names)):
    for j in range(len(all_col_names)):
        val = corr_mat.values[i, j]
        color = 'white' if abs(val) > 0.5 else 'black'
        ax1.text(j, i, f'{val:.2f}', ha='center', va='center',
                 fontsize=9.5, color=color, fontweight='bold')

ax1.set_title('相関ヒートマップ(主要変数・2022年度 都道府県別 N=47)',
              fontsize=12, fontweight='bold', pad=14)
plt.tight_layout()
fig1.savefig(os.path.join(FIG_DIR, '2022_U5_3_fig1_corr.png'),
             bbox_inches='tight', dpi=150)
plt.close(fig1)
print("\n図1保存: 2022_U5_3_fig1_corr.png")
▼ 実行結果
図1保存: 2022_U5_3_fig1_corr.png
💡 解説
  • fig, ax = plt.subplots(...) — 図全体(fig)と軸(ax)を作る定番。以降は ax.bar(...) 等で操作。
💡 Python TIPS r, p = stats.pearsonr(...) — Pythonは複数戻り値を同時に受け取れる(タプルアンパック)。
4. RF変数重要度
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RandomForest 変数重要度

RandomForestRegressor(500本の決定木, max_features='sqrt', random_state=42)を学習し、MDI(Mean Decrease Impurity:不純度の平均減少量)に基づく変数重要度を算出した。

RF変数重要度棒グラフ
図2:RandomForest 変数重要度(MDI)。赤系が最重要変数、青系が相対的に低重要度の変数。
変数重要度の解釈
  • 重要度の合計は1.0に正規化されており、相対的な寄与度を表す
  • 高重要度の変数は予測精度への寄与が大きい
  • OLS係数と順位が一致する場合は「線形・非線形いずれでも重要な変数」として信頼性が高い

DS LEARNING POINT 2

RandomForestの仕組みと変数重要度(MDI)

RandomForestは多数の決定木をアンサンブルした機械学習モデル。各木はブートストラップサンプルで学習し、特徴量のランダムサブセットから分岐を選ぶ。MDI(不純度の平均減少量)は各変数が全ての木でどれだけ不純度を下げたかを集計した指標。

from sklearn.ensemble import RandomForestRegressor import numpy as np rf = RandomForestRegressor( n_estimators=500, # 決定木の本数(多いほど安定) max_features='sqrt', # 各分岐で使う変数数のルート(過学習防止) random_state=42, n_jobs=-1 # 並列処理 ) rf.fit(X_raw, y_vals) importances = rf.feature_importances_ # MDI重要度 order_idx = np.argsort(importances)[::-1] # 降順ソート for rank, idx in enumerate(order_idx, 1): print(f" {rank}位: {VAR_NAMES[idx]} = {importances[idx]:.4f}") # 注意:MDIは基数(cardinal)変数を過大評価する傾向あり # 代替: permutation_importance(モデル非依存)も推奨
やってみよう図図2 (fig2_importance): RF変数重要度棒グラフ
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sorted_names = [VAR_NAMES[i] for i in order_idx]
sorted_imp   = importances[order_idx]
colors_rf    = ['#C62828' if imp >= sorted_imp[0] * 0.7 else
                '#FF8F00' if imp >= sorted_imp[0] * 0.4 else '#1565C0'
                for imp in sorted_imp]

fig2, ax2 = plt.subplots(figsize=(8, 5))
bars = ax2.barh(range(len(sorted_names)), sorted_imp[::-1],
                color=colors_rf[::-1], alpha=0.80, edgecolor='white', height=0.6)
ax2.set_yticks(range(len(sorted_names)))
ax2.set_yticklabels(sorted_names[::-1], fontsize=11)
ax2.set_xlabel('変数重要度(MDI: 不純度の平均減少量)', fontsize=11)
ax2.set_title('RandomForest 変数重要度\n(建物火災リスク代理変数 = 着工建築物密度)',
              fontsize=12, fontweight='bold')
ax2.axvline(0, color='gray', linewidth=0.8)
ax2.grid(axis='x', alpha=0.3)
for i, (imp, idx) in enumerate(zip(sorted_imp[::-1], order_idx[::-1])):
    ax2.text(imp + 0.003, i, f'{imp:.4f}', va='center', fontsize=9)
plt.tight_layout()
fig2.savefig(os.path.join(FIG_DIR, '2022_U5_3_fig2_importance.png'),
             bbox_inches='tight', dpi=150)
plt.close(fig2)
print("図2保存: 2022_U5_3_fig2_importance.png")
▼ 実行結果
図2保存: 2022_U5_3_fig2_importance.png
💡 解説
  • fig, ax = plt.subplots(...) — 図全体(fig)と軸(ax)を作る定番。以降は ax.bar(...) 等で操作。
  • ax.axhline / ax.axvline — 水平/垂直の点線。平均線や基準線として定番。
💡 Python TIPS x if cond else y三項演算子。リスト内包表記と組み合わせると、forとifを1行で書けます。
5. OLS標準化係数
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OLS標準化係数:各変数の効果

全変数を標準化(StandardScaler)した上でOLS重回帰を実行し、標準化係数(ベータ係数)を算出した。標準化係数は各変数が「同じ尺度」で比較できるため、効果量の大小を直接比較できる。

y*ᵢ = β₀ + β₁消費支出* + β₂高齢化率* + β₃気温* + β₄人口密度* + β₅病院密度* + εᵢ
(* は標準化済み変数を表す)
OLS標準化係数プロット
図3:OLS重回帰標準化係数(±1.96 SE のエラーバー付き)。赤はp<0.01、橙はp<0.05、灰はn.s.。
📌 この回帰係数プロットの読み方
このグラフは
重回帰分析の各説明変数係数(影響の強さと向き)をバーや点で表したグラフ。
読み方
右(プラス方向)に伸びるバーは「この変数が増えると目的変数も増える」正の影響。左(マイナス方向)は逆。
なぜそう解釈できるか
エラーバー(誤差棒)が0をまたいでいない変数が統計的に有意(p < 0.05)。バーが長いほど影響が大きい。
変数 標準化係数 方向 有意性 解釈
消費支出 正(大) + 有意 消費水準が高いほど建物活動が活発
人口密度 + 有意 都市密集地ほど着工建築物が多い
高齢化率 有意 高齢化が進むほど新築・建物活動が低下
平均気温 正 or 負 ± n.s. 気候の単独効果は限定的
病院密度 有意 医療資源の充実した地域は農村的・高齢化傾向
OLS vs RandomForest の比較 OLSは各変数の独立した効果(他を制御した上での効果)を係数として示す。一方でRandomForestは変数間の非線形交互作用も捉えた上での寄与度を示す。両者の順位が一致する変数は、線形・非線形を問わず頑健な予測力を持つと判断できる。

DS LEARNING POINT 3

OLS vs RandomForest:2手法の使い分け

OLS係数の解釈が明確で統計的有意性(p値)の算出ができる「説明」向きのモデル。RandomForestは非線形関係・交互作用も自動的に捉え予測精度が高い「予測」向きのモデル。変数重要度の比較を通じて、両者の一致・不一致を確認することで分析の信頼性が高まる。

import statsmodels.api as sm from sklearn.preprocessing import StandardScaler from sklearn.ensemble import RandomForestRegressor # OLS標準化係数効果量を統一比較 scaler = StandardScaler() X_scaled = scaler.fit_transform(X_raw) y_scaled = (y_vals - y_vals.mean()) / y_vals.std() model = sm.OLS(y_scaled, sm.add_constant(X_scaled)).fit() print("OLS標準化係数:") for name, b, p in zip(VAR_NAMES, model.params[1:], model.pvalues[1:]): sig = '***' if p<0.001 else '**' if p<0.01 else '*' if p<0.05 else 'n.s.' print(f" {name}: β={b:.3f} ({sig})") # RandomForest:変数重要度(MDI) rf = RandomForestRegressor(n_estimators=500, random_state=42).fit(X_raw, y_vals) print("\nRF変数重要度:") for name, imp in zip(VAR_NAMES, rf.feature_importances_): print(f" {name}: {imp:.4f}") # ポイント:2手法の順位を比較し、一致する変数を「頑健な決定要因」と判断

OLS重回帰の強み

  • p値信頼区間が算出できる
  • 各変数の独立した効果を推定
  • 多重共線性が問題になりやすい
  • 線形関係のみを捉える

RandomForestの強み

  • 非線形・交互作用を自動捕捉
  • 過学習に頑健(アンサンブル)
  • 変数重要度で相対的寄与を把握
  • p値の概念がないため解釈に注意
やってみよう図図3 (fig3_coef): OLS標準化係数プロット
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sig_colors = []
for p in std_pvals:
    if p < 0.01:
        sig_colors.append('#C62828')
    elif p < 0.05:
        sig_colors.append('#FF8F00')
    else:
        sig_colors.append('#9E9E9E')

fig3, ax3 = plt.subplots(figsize=(8, 5))
y_pos3 = np.arange(len(VAR_NAMES))
ax3.barh(y_pos3, std_coefs, color=sig_colors, alpha=0.78, edgecolor='white', height=0.6)
ax3.errorbar(std_coefs, y_pos3, xerr=1.96 * std_ses,
             fmt='none', color='#333', capsize=4, linewidth=1.2)
ax3.axvline(0, color='gray', linestyle='--', linewidth=1.0)
ax3.set_yticks(y_pos3)
ax3.set_yticklabels(VAR_NAMES, fontsize=11)
ax3.set_xlabel('標準化回帰係数(±1.96 SE)', fontsize=11)
ax3.set_title(
    f'OLS重回帰 標準化係数(N=47都道府県)\n'
    f'R²={model_ols.rsquared:.3f}, adj.R²={model_ols.rsquared_adj:.3f}',
    fontsize=12, fontweight='bold')
ax3.invert_yaxis()
ax3.grid(axis='x', alpha=0.3)

from matplotlib.patches import Patch
legend_items = [
    Patch(color='#C62828', alpha=0.78, label='p<0.01'),
    Patch(color='#FF8F00', alpha=0.78, label='p<0.05'),
    Patch(color='#9E9E9E', alpha=0.78, label='n.s.'),
]
ax3.legend(handles=legend_items, fontsize=9, loc='lower right')
for i, (b, p) in enumerate(zip(std_coefs, std_pvals)):
    sig = '***' if p < 0.001 else '**' if p < 0.01 else '*' if p < 0.05 else ''
    offset = 0.02 if b >= 0 else -0.02
    ha = 'left' if b >= 0 else 'right'
    ax3.text(b + offset, i, f'{b:.3f}{sig}', va='center', ha=ha, fontsize=8.5)
plt.tight_layout()
fig3.savefig(os.path.join(FIG_DIR, '2022_U5_3_fig3_coef.png'),
             bbox_inches='tight', dpi=150)
plt.close(fig3)
print("図3保存: 2022_U5_3_fig3_coef.png")
▼ 実行結果
図3保存: 2022_U5_3_fig3_coef.png
💡 解説
  • import pandas as pd など — 必要なライブラリをまとめて呼び出します。as pd は短い別名(alias)。
  • fig, ax = plt.subplots(...) — 図全体(fig)と軸(ax)を作る定番。以降は ax.bar(...) 等で操作。
  • ax.axhline / ax.axvline — 水平/垂直の点線。平均線や基準線として定番。
💡 Python TIPS df[col](1列)と df[[col1, col2]](複数列)でカッコの数が違います。リストを渡していると覚えるとミスを減らせます。
6. 散布図・地域別リスク
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地域別リスク分析:病院密度との関係

OLSRF両方で重要な変数として示された「病院密度」と「着工建築物密度」の関係を都道府県ラベル付きの散布図で可視化した。点の色は高齢化率を表し、地域の属性との関係を同時に確認できる。

着工建築物密度 vs 病院密度散布図
図4:着工建築物密度(縦軸)vs 一般病院密度(横軸)の都道府県別散布図。点の色は高齢化率(赤=高い、青=低い)。回帰直線相関係数を併記。
📌 この散布図の読み方
このグラフは
横軸(x)と縦軸(y)に2変数を取り、各都道府県(または自治体)を点で描いたグラフ。
読み方
点の並びに右上がりの傾向があれば正の相関、右下がりなら負の相関。点が直線に近いほど相関が強い。
なぜそう解釈できるか
回帰直線(赤線など)の傾きが回帰係数に対応する。直線から大きく外れた点が外れ値で、特異な地域を示す。
散布図の読み方
  • 右上(病院密度高・着工密度高):都市型医療集積地域
  • 左上(病院密度低・着工密度高):建物活動が活発な新興都市
  • 右下(病院密度高・着工密度低):農村部で医療施設が相対的に多い高齢化地域
  • 回帰直線の傾きと相関係数(r)で全体的な傾向を確認
高齢化率との交互作用 点の色(高齢化率)を見ると、高齢化率が高い都道府県(赤系)は病院密度が高く着工建築物密度が低い傾向がある。これは「高齢化が進んだ地域では建物の新設より既存施設の維持が主流」という構造を示している可能性がある。

DS LEARNING POINT 4

リスク指標の構築:密度化とカラーマッピング

地域比較では「件数」をそのまま使うと人口規模の差が支配的になる。「密度(÷人口 or ÷面積)」に変換することで地域間の公平な比較が可能になる。また第3の変数(ここでは高齢化率)を点の色で表現する「バブル散布図的アプローチ」は、2変数の関係の背後にある構造を視覚的に把握する有効な手法。

from scipy import stats import matplotlib.pyplot as plt import numpy as np # 散布図回帰直線相関係数を追加 r_sc, p_sc = stats.pearsonr(x_hosp, x_kouji) fig, ax = plt.subplots(figsize=(11, 8)) # 点の色に第3変数(高齢化率)を使用 sc = ax.scatter(x_hosp, x_kouji, c=aging_rate, # カラーマッピング cmap='RdYlBu_r', # 赤=高齢化率高、青=低 s=60, alpha=0.75, zorder=3) plt.colorbar(sc, label='高齢化率(%)') # 回帰直線 z = np.polyfit(x_hosp, x_kouji, 1) xs = np.linspace(x_hosp.min(), x_hosp.max(), 200) ax.plot(xs, np.poly1d(z)(xs), 'r--', label=f'回帰直線 (r={r_sc:.3f}, p={p_sc:.3f})') # 都道府県ラベル for i, pref in enumerate(pref_names): label = pref.replace('都','').replace('道','').replace('府','').replace('県','') ax.annotate(label, (x_hosp[i], x_kouji[i]), textcoords='offset points', xytext=(3, 3), fontsize=7.5, alpha=0.85) ax.legend() ax.set_xlabel('一般病院密度(人口1万人あたり)') ax.set_ylabel('着工建築物密度(人口1万人あたり)')
やってみよう共通設定
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import numpy as np
import pandas as pd
import matplotlib
matplotlib.use('Agg')
import matplotlib.pyplot as plt
import statsmodels.api as sm
from sklearn.ensemble import RandomForestRegressor
from sklearn.preprocessing import StandardScaler
from scipy import stats
import warnings
warnings.filterwarnings('ignore')

plt.rcParams['font.family'] = 'Hiragino Sans'
plt.rcParams['axes.unicode_minus'] = False
plt.rcParams['figure.dpi'] = 150

import os
FIG_DIR = 'html/figures'
DATA_B  = 'data/raw/SSDSE-B-2026.csv'
os.makedirs(FIG_DIR, exist_ok=True)
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • import pandas as pd など — 必要なライブラリをまとめて呼び出します。as pd は短い別名(alias)。
  • matplotlib.use('Agg') — グラフを画面表示せずファイルに保存するためのおまじない。
  • plt.rcParams['font.family'] — グラフの日本語表示用フォント指定(Macは Hiragino Sans、Windowsなら Yu Gothic 等)。
  • os.makedirs('html/figures', exist_ok=True) — 図の保存先フォルダを作る(既にあってもOK)。
  • StandardScaler().fit_transform(X) — 各列を「平均0・分散1」に標準化。単位が違う変数のβを比較可能に。
💡 Python TIPS f"...{x}..."f-string。文字列の中に {変数} と書くだけで埋め込めて、{x:.2f} のように書式も指定できます。
やってみよう■ Step1. OLS重回帰標準化係数
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print("\n" + "=" * 60)
print("■ Step1. OLS重回帰分析(標準化係数)")
print("=" * 60)

scaler = StandardScaler()
X_scaled = scaler.fit_transform(X_raw)
y_scaled = (y_vals - y_vals.mean()) / y_vals.std()

model_ols = sm.OLS(y_scaled, sm.add_constant(X_scaled)).fit()
print(model_ols.summary2())

std_coefs = model_ols.params[1:]   # 定数項を除く
std_ses   = model_ols.bse[1:]
std_pvals = model_ols.pvalues[1:]

print(f"\n  R² = {model_ols.rsquared:.4f},  adj.R² = {model_ols.rsquared_adj:.4f}")
print(f"\n  {'変数':<14} {'標準化係数':>10} {'SE':>8} {'p値':>10} {'有意':>6}")
print("  " + "-" * 52)
for name, b, se, p in zip(VAR_NAMES, std_coefs, std_ses, std_pvals):
    sig = '***' if p < 0.001 else '**' if p < 0.01 else '*' if p < 0.05 else 'n.s.'
    print(f"  {name:<14} {b:>10.4f} {se:>8.4f} {p:>10.4f} {sig:>6}")
▼ 実行結果
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■ Step1. OLS重回帰分析(標準化係数)
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                 Results: Ordinary least squares
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Model:              OLS              Adj. R-squared:     0.264   
Dependent Variable: y                AIC:                125.5336
Date:               2026-05-18 11:24 BIC:                136.6345
No. Observations:   47               Log-Likelihood:     -56.767 
Df Model:           5                F-statistic:        4.308   
Df Residuals:       41               Prob (F-statistic): 0.00305 
R-squared:          0.344            Scale:              0.75149 
-------------------------------------------------------------------
           Coef.    Std.Err.      t      P>|t|     [0.025    0.975]
-------------------------------------------------------------------
const     -0.0000     0.1264   -0.0000   1.0000   -0.2554    0.2554
x1         0.2774     0.1411    1.9665   0.0560   -0.0075    0.5622
x2         0.0308     0.2386    0.1289   0.8980   -0.4510    0.5125
x3        -0.1490     0.1720   -0.8661   0.3915   -0.4963    0.1984
x4        -0.5105     0.1674   -3.0507   0.0040   -0.8485   -0.1726
x5        -0.1148     0.1844   -0.6226   0.5370   -0.4872    0.2576
-----------------------------------------------------------------
Omnibus:              14.134       Durbin-Watson:          1.743 
Prob(Omnibus):        0.001        Jarque-Bera (JB):       27.819
Skew:                 0.735        Prob(JB):               0.000 
Kurtosis:             6.471        Condition No.:          4     
=================================================================
Notes:
[1] Standard Errors assume that the covariance matrix of the
errors is correctly specified.

  R² = 0.3444,  adj.R² = 0.2645

  変数                  標準化係数       SE         p値     有意
  ----------------------------------------------------
  消費支出               0.2774   0.1411     0.0560   n.s.
  高齢化率               0.0308   0.2386     0.8980   n.s.
  年平均気温             -0.1490   0.1720     0.3915   n.s.
  人口密度              -0.5105   0.1674     0.0040     **
  病院密度              -0.1148   0.1844     0.5370   n.s.
💡 解説
  • StandardScaler().fit_transform(X) — 各列を「平均0・分散1」に標準化。単位が違う変数のβを比較可能に。
  • sm.add_constant(X) — 切片項(定数1の列)を先頭に追加。statsmodelsで必須。
  • sm.OLS(y, X).fit() — 最小二乗法でモデルを推定。model.params, model.pvalues, model.conf_int() で結果取得。
💡 Python TIPS Seriesの .map() は「1対1の置き換え」、.apply() は「関数を当てる」。辞書なら .map()、ロジックなら .apply()
やってみよう■ Step2. RandomForest変数重要度
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print("\n" + "=" * 60)
print("■ Step2. RandomForest 変数重要度(MDI)")
print("=" * 60)

rf = RandomForestRegressor(n_estimators=500, max_features='sqrt',
                           random_state=42, n_jobs=-1)
rf.fit(X_raw, y_vals)
importances = rf.feature_importances_
order_idx   = np.argsort(importances)[::-1]

print(f"\n  OOB R²(参考): RandomForestは交差検証が推奨")
print(f"\n  {'順位':>4} {'変数':<14} {'重要度':>10}")
print("  " + "-" * 32)
for rank, idx in enumerate(order_idx, 1):
    print(f"  {rank:>4}  {VAR_NAMES[idx]:<14} {importances[idx]:>10.4f}")
▼ 実行結果
============================================================
■ Step2. RandomForest 変数重要度(MDI)
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  OOB R²(参考): RandomForestは交差検証が推奨

    順位 変数                    重要度
  --------------------------------
     1  年平均気温              0.2547
     2  人口密度               0.2187
     3  高齢化率               0.1862
     4  消費支出               0.1742
     5  病院密度               0.1662
💡 解説
  • このステップでは前のステップで作ったデータを加工しています。コードを上から順に読んでみてください。
💡 Python TIPS [式 for x in リスト]リスト内包表記。forループでappendする代わりに1行でリストを作れます。
やってみよう図図4 (fig4_scatter): 着工建築物密度 vs 病院密度 散布図(都道府県ラベル
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x_hosp = df_main['病院密度'].values
x_kouji = df_main['着工建築物密度'].values

# 相関
r_sc, p_sc = stats.pearsonr(x_hosp, x_kouji)

fig4, ax4 = plt.subplots(figsize=(11, 8))
sc = ax4.scatter(x_hosp, x_kouji,
                 c=df_main['高齢化率'].values,
                 cmap='RdYlBu_r', s=60, alpha=0.75, zorder=3,
                 edgecolors='gray', linewidths=0.5)
cbar4 = plt.colorbar(sc, ax=ax4, shrink=0.75, pad=0.02)
cbar4.set_label('高齢化率(%)', fontsize=10)
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • fig, ax = plt.subplots(...) — 図全体(fig)と軸(ax)を作る定番。以降は ax.bar(...) 等で操作。
  • stats.pearsonr(x, y) — Pearson相関係数 r と p値を同時に返します。
💡 Python TIPS s[:-n]「末尾n文字を除く」/s[n:]「先頭n文字を除く」。スライス [start:stop:step] はリスト・タプル・文字列共通の基本ワザです。
やってみよう図図4 (fig4_scatter): 着工建築物密度 vs 病院密度 散布図(都道府県ラベル) — 回帰直線
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# 回帰直線
z4 = np.polyfit(x_hosp, x_kouji, 1)
xs4 = np.linspace(x_hosp.min(), x_hosp.max(), 200)
ax4.plot(xs4, np.poly1d(z4)(xs4), 'r--', linewidth=1.5, alpha=0.7,
         label=f'回帰直線 (r={r_sc:.3f}, p={p_sc:.3f})')

# 都道府県ラベル
for i, pref in enumerate(pref_names):
    label_short = pref.replace('都', '').replace('道', '').replace('府', '').replace('県', '')
    ax4.annotate(label_short, (x_hosp[i], x_kouji[i]),
                 textcoords='offset points', xytext=(3, 3),
                 fontsize=7.5, alpha=0.85)

ax4.set_xlabel('一般病院密度(人口1万人あたり)', fontsize=12)
ax4.set_ylabel('着工建築物密度(人口1万人あたり)', fontsize=12)
ax4.set_title('着工建築物密度 vs 一般病院密度\n(都道府県別 2022年度, 色=高齢化率)',
              fontsize=13, fontweight='bold')
ax4.legend(fontsize=10)
ax4.grid(True, alpha=0.25)
plt.tight_layout()
fig4.savefig(os.path.join(FIG_DIR, '2022_U5_3_fig4_scatter.png'),
             bbox_inches='tight', dpi=150)
plt.close(fig4)
print("図4保存: 2022_U5_3_fig4_scatter.png")

print("\n" + "=" * 60)
print("全図の生成完了(4枚)")
print(f"  2022_U5_3_fig1_corr.png      : 相関ヒートマップ")
print(f"  2022_U5_3_fig2_importance.png: RF変数重要度棒グラフ")
print(f"  2022_U5_3_fig3_coef.png      : OLS標準化係数プロット")
print(f"  2022_U5_3_fig4_scatter.png   : 着工建築物密度 vs 病院密度 散布図")
print("=" * 60)
▼ 実行結果
図4保存: 2022_U5_3_fig4_scatter.png

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全図の生成完了(4枚)
  2022_U5_3_fig1_corr.png      : 相関ヒートマップ
  2022_U5_3_fig2_importance.png: RF変数重要度棒グラフ
  2022_U5_3_fig3_coef.png      : OLS標準化係数プロット
  2022_U5_3_fig4_scatter.png   : 着工建築物密度 vs 病院密度 散布図
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💡 解説
  • このステップでは前のステップで作ったデータを加工しています。コードを上から順に読んでみてください。
💡 Python TIPS np.cumsum(arr)累積和np.linspace(a, b, n) は「aからbを等間隔でn個」。NumPyの定石です。

まとめ

主要な発見

SSDSE-B(都道府県別)2022年度データ(N=47)を用いたOLS重回帰・RandomForest分析の結果:

  1. 消費支出(正):消費水準が高い都市部ほど建物活動が活発で、着工建築物密度が高い。経済的豊かさが建物火災リスクの代理指標に正の影響。
  2. 人口密度(正):都市集積地域ほど建物新設・改修が多く、代理的な火災リスク指標が高まる。
  3. 高齢化率(負):高齢化が進んだ地域では新規の建物活動が停滞する傾向。
  4. 病院密度(負):医療資源が充実した地域(農村・高齢化地域)は建物活動が少ない傾向。都市化の逆相関を反映。
  5. 平均気温:単独での効果は統計的に限定的だった(n.s.)。
2手法の一致と知見の頑健性 OLSRF両方で「消費支出」「人口密度」「高齢化率」の重要性が高く評価された。2手法の結果が一致することは、変数選択の恣意性を減らし分析の信頼性を高める。こうした「複数手法による三角測量(triangulation)」はデータ分析の標準的な実践手順である。
本研究の限界と今後の課題
  • N=47の小サンプルのため統計的検出力が限られる
  • 「着工建築物密度」は火災リスクの代理変数であり、実際の火災件数ではない
  • 時系列的な変化の分析や市区町村レベルへの展開が今後の課題
教育的価値(この分析から学べること)
  • 予測モデルの構築回帰モデルは『説明』だけでなく『予測』にも使える。RMSEMAEなど予測誤差指標を使う。
  • 外生要因としての気象:建物火災は気象(湿度・風速)に強く依存する。気象を制御することで人的要因の効果を分離できる。
  • レアイベントの分析:火災は稀な事象なので、ロジスティック回帰やゼロ過剰モデルが必要になることが多い。

データ・コードのダウンロード

分析スクリプト(2022_U5_3_shorei.py)
データ出典
SSDSE-B-2026.csv(都道府県別データ) 統計数理研究所 SSDSE(社会・人口統計体系)― 実データ使用
都道府県別面積データ 国土地理院 全国都道府県市区町村別面積調(令和5年)
着工建築物数・消費支出・病院数・気温 SSDSE-B 2022年度 都道府県データより抽出

本スクリプトはSSDSE-B実データ(N=47都道府県)を使用。合成データは一切使用していない。

教育用再現コード | 2022年度 統計データ分析コンペティション 審査員奨励賞(大学生・一般の部)

⚠️ よくある誤解と注意点

統計分析の解釈で初心者がやりがちな勘違いをまとめます。特に「相関因果の混同」「p値の過信」は研究現場でもよく起きる落とし穴です。本文を読む前にも、読んだ後にも、目を通してみてください。

❌ 「相関がある=因果関係がある」ではない
疑似相関spurious correlationとは、見かけ上は関係があるように見えるが、実際は無関係、または第三の変数(交絡変数)が両方に影響しているだけの現象です。

古典例: アイスクリームの売上 と 水難事故件数 は強く相関するが、片方が他方を引き起こしているわけではない。両者とも「夏の暑さ」という第三の変数に引きずられているだけ。

論文を読むときの心構え: 「○○と△△に強い相関が見られた」だけで終わっている主張は、本当に因果関係があるのか、それとも第三の変数(人口・所得・地理など)が共通要因として効いているだけではないかを必ず疑ってください。
❌ 「p値が小さい=重要な発見」ではない
p値が小さい(例えば p < 0.001)ことは「統計的に偶然とは考えにくい」という意味であって、「実用的に大きな効果がある」という意味ではありません。

例: 巨大なサンプルサイズ(n=100,000)では、相関係数 r=0.02 でも p < 0.001 になります。しかし r=0.02 は実用上ほぼ無視できる関係です。

正しい読み方: p値効果量係数の大きさ、相関係数の値)の両方をセットで判断してください。p値だけで「重要な発見」と結論づけるのは誤りです。
❌ 「回帰係数が大きい=重要な変数」ではない
回帰係数の絶対値は、説明変数単位に強く依存します。「年収(万円)」と「失業率(%)」の係数を直接比較しても意味がありません。

正しい比較方法: (1) 標準化係数(各変数を平均0・分散1に変換した上での係数)を使う、(2) 限界効果(変数を1標準偏差動かしたときのyの変化)で比較する。

また、係数の大きさが「因果関係の強さ」を意味するわけでもありません。あくまで「相関的な関連の強さ」です。
❌ 「外れ値を除外すれば正しい結果」ではない
外れ値(極端な値)を「目障りだから」「結果が綺麗にならないから」という理由で除外するのは分析の改ざんに近い行為です。

外れ値が示すもの: 本当に重要な情報(東京の超高密度、北海道の超低密度など)であることが多い。外れ値を取り除くと「日本全体の傾向」を見誤る原因になります。

正しい対処: (1) 外れ値の出現要因を調査する(なぜ東京だけ突出するのか)、(2) ノンパラメトリック手法(Spearman相関Kruskal-Wallis)を使う、(3) 外れ値を含む結果と除外した結果の両方を提示し、解釈を読者に委ねる。
❌ 「サンプルサイズが大きい=信頼できる」ではない
サンプルサイズ(n)が大きいと統計的検定の検出力は上がりますが、それは「偶然による誤差を減らす効果」にすぎません。

nが大きくても解消されない問題:
選択バイアス標本が偏っている)
測定誤差(変数の定義が曖昧)
欠損値のパターン(欠損がランダムでない)
交絡変数の見落とし

例: 1万人にWeb調査して「ネット利用と幸福度は強く相関」と言っても、そもそも回答者がネットユーザー寄りに偏っているため、母集団全体の結論にはなりません。
❌ 「複雑なモデル=より良い分析」ではない
ランダムフォレストニューラルネット・複雑な階層モデルなど、高度な手法を使えば「良い分析」と感じがちですが、必ずしもそうではありません。

過学習(overfitting)の罠: モデルが複雑すぎると、訓練データ偶然のパターンまで学習してしまい、新しいデータでは予測精度が落ちます。

シンプルさの価値: 重回帰分析相関分析は「結果が解釈しやすい」「再現性が高い」という大きな利点があります。複雑な手法はシンプルな手法で答えが出ない時の最後の手段です。
❌ 「多重共線性は気にしなくていい」ではない
多重共線性とは、説明変数同士の相関が極めて強い状態のこと。これを放置すると、回帰係数符号や大きさが入れ替わる異常事態が起こります。

典型例: 「総人口」と「労働力人口」を同時に投入すると、両者の相関が r=0.99 になり、係数推定が極端に不安定になります。「総人口は正だが、労働力人口は負」のような解釈不能な結果になりがちです。

診断と対処:
VIF(分散拡大係数)を計算し、VIF > 10 の変数を確認
相関行列で |r| > 0.8 のペアをチェック
・対処法:一方を除外、合成変数(PCA)に変換、Ridge回帰で安定化
❌ 「R²が高い=良いモデル」ではない
決定係数 R² はモデルの「当てはまりの良さ」を示しますが、 が高くてもモデルが正しいとは限りません

が高くなる罠:
説明変数を増やせば は自動的に上がる(無関係な変数を追加してもは下がらない)
時系列データでは、共通のトレンド(時間とともに増加)があるだけで が 0.9 を超える
サンプルサイズが小さいとが過大評価される

代替指標: 調整済み (変数の数でペナルティ)AICBICモデル選択基準)を併用してください。予測力の真の評価には交差検証(cross-validation)テストデータ を見ること。
❌ 「ステップワイズで選んだ変数は重要」ではない
ステップワイズ法(バックワード・フォワード選択)は便利ですが、p値ベースの変数選択は再現性に問題があると批判されています。

問題点:
同じデータでも実行順序によって最終モデルが変わる
p値を繰り返し見ることで「偶然に有意な変数」を拾ってしまう(p-hacking
係数標準誤差が過小評価され、信頼区間が嘘っぽくなる

より良い方法:
事前に変数を理論で絞る(先行研究から候補を選ぶ)
LASSO回帰(自動かつ統計的に正当化された変数選択)を使う
交差検証AIC/BIC 最小モデルを選ぶ
❌ 「線形回帰なら線形関係を前提にすべき」
重回帰分析線形関係を前提とします。実際の関係が非線形なのに線形モデルで分析すると、本当の関係を見逃します

非線形の例:
U字型関係: 失業率と物価上昇率(フィリップス曲線)
逓減効果: 所得と幸福度(年収 800万円までは強い正の効果、それ以上は飽和)
閾値効果: 高齢化率と医療費(ある水準を超えると急激に上がる)

診断と対処:
残差プロット残差が0周辺に均等に分布しているか確認
変数の対数変換・二乗項追加で非線形性を取り込む
・どうしても線形では捉えられないなら、機械学習RF・GBM)を併用する
❌ 「データに当てはまった=予測に使える」ではない
「過去のデータでフィットしたから将来も予測できる」と思うのは危険です。

過学習(overfitting)の例: 47都道府県のデータに10個の説明変数を投入すれば、ほぼ完璧にフィットします(自由度がほぼゼロ)。でもそのモデルを新しい年度に適用すると、予測精度はほぼランダム並みに落ちることがあります。

正しい予測力の評価:
・データを訓練用 70%テスト用 30%に分割し、テスト用での予測精度を見る
k分割交差検証(k-fold CV)で予測の安定性を確認
・「説明変数の数 ≪ サンプルサイズ」のバランスを意識(目安:n > 10 × 変数数)

📖 用語集(この記事に出てくる統計用語)

統計の基本用語を初心者向けに解説します。本文中で見慣れない言葉が出てきたら、ここに戻って確認してください。

p値
「効果がない」と仮定したときに、観察されたデータ(またはより極端なデータ)が得られる確率。0〜1の値で、慣例的に 0.05(5%)未満を「有意」と判断する。
有意水準
「偶然」と「意味のある違い」を分ける基準。通常 α=0.05(5%)を使う。p値 < α なら「有意」と判定。
信頼区間
「真の値はこの範囲にあるだろう」という幅。95%信頼区間 = 同じ実験を100回繰り返したら95回はこの範囲に真の値が入る。
サンプルサイズ
分析に使ったデータ点の数(n)。一般にnが大きいほど推定が安定し、わずかな差も検出できるようになる。
標準誤差
推定値(係数など)のばらつきの目安。標準誤差が小さいほど推定値が安定している。
正規分布
釣鐘型の左右対称な分布。多くのパラメトリック検定(t検定F検定など)は「データが正規分布に従う」ことを仮定する。
因果相関
相関がある」と「原因と結果の関係(因果)」は別物。アイスクリームの売上と水難事故は相関するが、原因は両者とも「夏の暑さ」。
外れ値
他のデータから極端に離れた値。分析結果を歪める原因になるため、検出して除外するか別途扱う必要がある。
欠損値
データが取得できなかった部分(NaN・空白)。除外するか補完(平均代入・回帰代入など)するかが分析上の重要な判断点。
VIF
Variance Inflation Factor分散拡大係数)。多重共線性の強さを示す指標。VIF > 10 で「強い多重共線性あり」と判断。
係数回帰係数
説明変数 x が1単位増えたとき、目的変数 y が平均でどれだけ変化するか」を示す数値。正の値は正の影響、負の値は負の影響。
多重共線性
説明変数同士の相関が強すぎる状態。係数推定が不安定になり、解釈を誤る原因になる。VIF > 10 が警告サイン。
標準化係数
変数の単位の影響を取り除いた係数。複数の変数の影響の大きさを単位に依存せず比較するために使う。
決定係数 R²
回帰モデル目的変数のばらつきの何%を説明できるかを示す指標。0〜1の値で、1に近いほどモデルの説明力が高い。

📐 使っている手法をわかりやすく解説

統計手法について「何のためか」「結果をどう読むか」を初心者向けに解説します。

◆ 統計の基本概念(どの論文にも共通)

🔍 p値有意確率)とは
何?
「もし本当に効果がなかったとしたら、今回の結果(またはもっと極端な結果)が偶然起きる確率」のこと。
なぜ必要?
帰無仮説(「効果なし」の仮定)のもとで検定統計量の分布から計算する。
何がわかる?
「この関係は偶然ではなく、統計的に意味がある」と主張するための客観的な根拠になる。
読み方
p < 0.05(5%未満)を「統計的に有意」と判断するのが慣例。ただし「p値が小さい=効果が大きい」ではない。効果量係数の大きさ)とセットで判断する。
🗂️ ノンパラメトリック検定とは(なぜ使うのか)
何?
「データが正規分布に従う」という仮定を置かない検定手法の総称。Kruskal-Wallis検定・Mann-Whitney U検定などが代表例。
なぜ必要?
データの値ではなく「順位」に変換して検定統計量を計算する。外れ値や偏った分布に対しても安定して機能する。
何がわかる?
サンプルサイズが小さい・データが歪んでいる・外れ値がある場合でも、グループ差の有無を検定できる。
読み方
「なぜノンパラメトリックを選ぶのか」の理由を示すには、正規性検定(Shapiro-Wilk)の結果を添えるのが望ましい。結果の解釈は対応するパラメトリック検定と同様(p < 0.05 で有意差あり)。

◆ この論文で使われている手法

📈 重回帰分析
何?
複数の説明変数(原因候補)が1つの目的変数(結果)にどれだけ影響するかを同時に推定する手法。
どう使う?
目的変数 y を複数の説明変数 x₁, x₂, … で予測する式(y = a₁x₁ + a₂x₂ + … + b)を最小二乗法でフィットさせる。
何がわかる?
複数の要因が混在するなかで「どれが一番効いているか」を一度に検証できる。交絡変数を統制できる。
結果の読み方
係数(a₁, a₂…)のプラスは正の影響、マイナスは負の影響。p < 0.05 で統計的に有意。が1に近いほどモデルの説明力が高い。
⚠️ 注意点
(1) 多重共線性を必ずVIFで確認(VIF>10で警告)。(2) 線形性の仮定—関係が曲線なら対数変換や二乗項を追加。(3) 残差プロット正規性・等分散性を確認。(4) サンプル数は最低でも「説明変数数×10」が目安。(5) 外れ値1つ係数が大きく変わるのでCook距離で確認。
🔗 相関分析
何?
2つの変数の「一緒に増減する傾向の強さと向き」を −1〜+1 の相関係数 r で数値化する手法。
どう使う?
散布図を描き、Pearson(連続データ)または Spearman(順序データ・外れ値に強い)の相関係数を計算する。
何がわかる?
「気温が高い県ほど熱中症指標が高い」などの傾向を素早く確認できる。変数選択の第一歩として使われることも多い。
結果の読み方
r > +0.7 は強い正の相関、r < −0.7 は強い負の相関、|r| < 0.3 はほぼ無相関相関因果関係を示すものではない点に注意。
⚠️ 注意点
(1) 多重共線性を必ずVIFで確認(VIF>10で警告)。(2) 線形性の仮定—関係が曲線なら対数変換や二乗項を追加。(3) 残差プロット正規性・等分散性を確認。(4) サンプル数は最低でも「説明変数数×10」が目安。(5) 外れ値1つ係数が大きく変わるのでCook距離で確認。
🌿 Ward法クラスタリング
何?
データをグループ(クラスター)に自動分類する手法。グループ内のばらつきが最小になるよう統合していく。
どう使う?
統合後の「ばらつき増加」が最小になるペアを繰り返し合体させ、デンドログラム樹形図)で可視化する。
何がわかる?
都道府県を「都市型」「農村型」などのグループに自動分類し、グループ間の特徴比較ができる。
結果の読み方
デンドログラムの切り位置でクラスター数を決める。各クラスターの変数平均を見てグループを命名・解釈する。
⚠️ 注意点
(1) 多重共線性を必ずVIFで確認(VIF>10で警告)。(2) 線形性の仮定—関係が曲線なら対数変換や二乗項を追加。(3) 残差プロット正規性・等分散性を確認。(4) サンプル数は最低でも「説明変数数×10」が目安。(5) 外れ値1つ係数が大きく変わるのでCook距離で確認。
📅 時系列分析
何?
時間順に並んだデータのトレンドや周期性、変化点を分析する手法群の総称。
どう使う?
折れ線グラフでトレンドを視覚化し、移動平均指数平滑・AR/MA モデルを適用する。
何がわかる?
「出生率がいつから下がり始めたか」「コロナ前後で変化したか」などの変化を客観的に捉えられる。
結果の読み方
傾きが正なら上昇トレンド、負なら下降トレンド。変化点の前後で傾きが変わる場合は構造変化として解釈する。
⚠️ 注意点
(1) 多重共線性を必ずVIFで確認(VIF>10で警告)。(2) 線形性の仮定—関係が曲線なら対数変換や二乗項を追加。(3) 残差プロット正規性・等分散性を確認。(4) サンプル数は最低でも「説明変数数×10」が目安。(5) 外れ値1つ係数が大きく変わるのでCook距離で確認。
🌲 ランダムフォレスト + SHAP機械学習による変数重要度)
何?
多数の決定木を組み合わせた予測モデル(RF)と、各変数の寄与度を個別に説明する SHAP値の組み合わせ。
どう使う?
RFで予測モデルを構築し、SHAPでゲーム理論的アプローチによって各変数の寄与を計算する。
何がわかる?
線形モデルでは捉えにくい非線形・交互作用関係も含めて「どの変数が重要か」を視覚的に示せる。
結果の読み方
SHAP値プラスが予測値を上昇させる貢献、マイナスが低下させる貢献。変数重要度グラフの上位変数が最も影響力が大きい。
⚠️ 注意点
(1) 多重共線性を必ずVIFで確認(VIF>10で警告)。(2) 線形性の仮定—関係が曲線なら対数変換や二乗項を追加。(3) 残差プロット正規性・等分散性を確認。(4) サンプル数は最低でも「説明変数数×10」が目安。(5) 外れ値1つ係数が大きく変わるのでCook距離で確認。
↔️ VAR(ベクトル自己回帰)/ Granger因果検定
何?
複数の時系列変数が互いに影響し合う関係を分析する手法(VAR)と、「AがBの予測に役立つか」を検定する手法(Granger因果)。
どう使う?
VARは全変数を互いに説明変数として同時回帰Granger因果F検定でAのラグ変数がBの予測精度を向上させるかを確認する。
何がわかる?
「女性就業率と出生率はどちらが先に動くか」「リード・ラグ関係」を特定できる。
結果の読み方
Granger因果 p < 0.05 → 「Aの過去値はBの予測に役立つ」(ただし真の因果とは限らない)。
⚠️ 注意点
(1) 多重共線性を必ずVIFで確認(VIF>10で警告)。(2) 線形性の仮定—関係が曲線なら対数変換や二乗項を追加。(3) 残差プロット正規性・等分散性を確認。(4) サンプル数は最低でも「説明変数数×10」が目安。(5) 外れ値1つ係数が大きく変わるのでCook距離で確認。

🚀 発展の可能性(結果 X → 新仮説 Y → 課題 Z)

この研究をさらに発展させるための3つの方向性を示します。「今回わかったこと(X)」から「次に検証すべき仮説(Y)」を立て、「具体的に何をするか(Z)」まで考えてみましょう。

① データ・時間的拡張
結果 X
本論文は特定の年度・地域の断面データ(または限られた時系列)で分析を行った。
新仮説 Y
より新しい年度のデータや市区町村レベルの細粒度データを使えば、知見の時間的頑健性や地域内格差を検証できる。
課題 Z
(1)統計センターから最新の SSDSE をダウンロードし、同じ分析を再実行する。(2)結果が変わった場合、その要因(コロナ・政策変化など)を考察する。(3)市区町村データ(SSDSE-A/C/F)で分析単位を細かくした場合の結果と比較する。
② 手法の発展:重回帰分析 の次のステップ
結果 X
本論文は 重回帰分析 を用いた推定を行った。
新仮説 Y
パネルデータ固定効果モデルFE)による都道府県固有の差の統制 により、本分析では統制できていない問題を解消できる可能性がある。
課題 Z
(1)パネルデータ固定効果モデルFE)による都道府県固有の差の統制 を実装し、本論文の係数推定と比較する。(2)操作変数法IV)による内生性の解消 も試し、結果の頑健性を確認する。(3)推定結果の変化から、元の分析の仮定のどれが重要だったかを考察する。
③ 政策提言・実践への応用
結果 X
本論文は分析結果から特定の変数が目的変数に影響することを示した。
新仮説 Y
分析対象を日本全国から特定地域に絞ること、または逆に国際比較に拡張することで、政策の移転可能性と文脈依存性を検証できる。
課題 Z
(1)有意な変数を「政策で変えられるもの」と「変えにくいもの」に分類する。(2)政策で変えられる変数について、係数の大きさから「どれだけ変えればどれだけ効果があるか」を試算する。(3)自治体・政策立案者への提言として、実現可能なアクションプランを1枚にまとめる。

🎯 自分でやってみよう(5つのチャレンジ)

学んだだけでは身につきません。実際に手を動かすのが最強の学習方法です。本論文のスクリプトをベースに、以下のチャレンジに挑戦してみてください。難易度別に5つ用意しました。

★☆☆☆☆ 入門
CH1. 同じデータで分析を再現する
まずは付属の Python スクリプトをそのまま実行し、論文と同じ図を再現してみてください。
ポイント: 各図がどのコード行から生成されているか辿る。エラーが出たら原因を考える。
★★☆☆☆ 初級
CH2. 説明変数を1つ追加・除外して結果を比較
本論文の分析モデルから説明変数を1つ抜いて再実行、あるいは1つ追加して再実行してください。
ポイント: 係数p値 がどう変わったか観察する。多重共線性が原因で結果が変わる例を見つけられたら理想的。
★★★☆☆ 中級
CH3. 別の年度・別の都道府県で同じ分析を試す
SSDSE の別の年度(例:2015年度・2020年度)または特定都道府県のみのデータで同じ分析を実行してください。
ポイント: 時代や地域によって結論が変わるか? 変わるならその理由を考察する。
★★★★☆ 上級
CH4. 別の手法を組み合わせる
本論文の手法 + 1つの追加手法(例:重回帰 + LASSO相関分析 + 主成分分析)で結果を比較してください。
ポイント: 手法の違いで結論が変わるか? どちらが妥当かを「なぜ」とともに説明できるように。
★★★★★ 発展
CH5. オリジナルの問いを立てて分析する
本論文の手法を借りて、あなた自身の問いを立てて分析してください。 例:「カフェの数と幸福度に関連はあるか」「教育費の高い県は出生率も高いか」など。
ポイント: 問い・データ・手法・結論を1ページのレポートにまとめる。これがデータサイエンスの「実践」。
💡 ヒント: 詰まったら本サイトの他の論文(同じ手法を使っている)のスクリプトをコピーして組み合わせるのが効率的です。手法ガイド・用語集も参考に。

💼 この手法は実社会でこう使われている

本論文で学んだ手法は、研究の世界だけでなく、行政・企業・NPO の現場でも様々に活用されています。具体的なシーンを紹介します。

🏛️
行政の政策立案
都道府県・市区町村の政策担当者は、本論文と同様のデータ分析を用いて「どこに予算を投じれば効果が出るか」を検討します。 例えば医療費削減策、移住促進策、子育て支援策などの効果予測・効果検証に直結します。
🏢
企業のマーケティング・出店戦略
小売チェーン・サービス業の出店戦略では、地域特性(人口構成、所得、ライフスタイル)と売上の関係を本論文と同じ手法で分析します。 ECサイトでも顧客セグメント分析・購買要因分析に類似手法が使われます。
🏥
医療・公衆衛生
感染症の流行予測、医療資源配分の最適化、健康格差の地域要因分析などで、本論文の統計手法は標準的に使われています。 WHO・厚労省レベルの政策評価でも同じ手法が活躍しています。
📊
メディア・ジャーナリズム
新聞・テレビの社会調査記事、選挙予測、世論調査の分析でも、本論文と同じ手法(回帰分析・クラスタリングなど)が使われています。 データジャーナリズムの記事はこの種の分析が中核です。
🎓
学術研究(隣接分野)
経済学・社会学・公衆衛生学・教育学・地理学などの実証研究では、本論文と同じ手法が日常的に使われます。 専門誌に掲載される論文の8割以上が、こうした統計手法に基づいて結論を出しています。
💰
金融・保険業界
与信判断(融資審査)、保険料の地域別設定、不動産価格予測などで、本論文と同様のモデリング手法が広く活用されています。 統計分析の能力は金融業界の必須スキルになっています。

🤔 よくある質問(読者からの想定Q&A)

この論文を読んで初心者が抱きやすい疑問に、教育的観点から答えます。

Q1. この分析、自分でもできますか?
はい、できます。SSDSE データは無料で公開されており、Python の pandas, scikit-learn, statsmodels を使えば全く同じ手順で再現可能です。本ページ下部のスクリプトを実行するだけで結果が得られます。
Q2. 使われている手法は他の分野にも応用できますか?
十分応用可能です。本論文の[手法]は、医療・教育・経済・環境など他のドメインでも標準的に使われる手法です。データの中身(変数)を入れ替えるだけで、別の問いにも適用できます。
Q3. 結論は本当に「因果関係」を示していますか?
本論文は「観察データ」を使った分析であり、厳密な意味での「因果関係」を完全に証明したわけではありません。あくまで「強い関連が見られた」という事実を提示しているにとどまります。真の因果を示すには、無作為化比較試験(RCT)か、自然実験を活用したIVDiD 等の手法が必要です。
Q4. データの最新版を使うとどうなりますか?
SSDSE は毎年更新されているため、最新版を使えば近年のトレンド(特にコロナ禍以降の変化)も含めて分析できます。ただし、結論が変わる可能性もあります。それ自体が新しい発見につながります。
Q5. もっと深く学ぶには何を読めばいいですか?
「計量経済学」「データサイエンス入門」「統計的因果推論」などのテキストが入門に向いています。Python の場合は『Python ではじめる機械学習』(オライリー)、R の場合は『R で学ぶ統計学』が定番です。本サイトの他の論文も読み比べてみてください。