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2023年度 統計データ分析コンペティション | 審査員奨励賞 [高校生の部]

兵庫県の宝「いかなご」を守る

⏱️ 推定読了時間: 約36分
兵庫県の小魚「いかなご」の漁獲量減少の要因分析
相関分析 | 時系列分析 | 環境要因の散布図
📝 3行で分かる要約

目次

  1. 研究概要と背景——いかなごとは
  2. データと変数:SSDSE-B 都道府県パネル
  3. 図1:兵庫県の気温・食料費の時系列
  4. 図2:気温 vs 食料費割合の散布図(全都道府県)
  5. 図3:食料費割合の時系列(兵庫 vs 全国)
  6. 図4:沿岸都道府県の降水量比較
  7. まとめと学習ポイント
  8. 📥 データの準備
  9. 💼 実社会での応用
  10. ⚠️ よくある誤解
  11. 📖 用語集
  12. 📐 手法ガイド
  13. 🚀 発展の可能性
  14. 🎯 自分でやってみよう
  15. 🤔 Q&A

🎯 この記事を読むと何ができるようになるか

📥 データの準備(再現コードを動かす前に)

このページの分析を自分で再現するには、以下の手順でデータを準備してください。コードの編集は不要です。

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データをダウンロードする 統計センターの SSDSE 配布ページから、以下のファイルをダウンロードします。
SSDSE-B-2026.csv ← SSDSE-B(都道府県データ)📥 直接DL
⬇ SSDSEダウンロードページを開く
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ファイルを所定のフォルダに配置する ダウンロードしたCSVを、プロジェクトの data/raw/ フォルダに入れます。
2026 統計・データ解析コンペ/ ├── code/ │ └── 2023_H5_6_shorei.py ← 実行するスクリプト └── data/ └── raw/ SSDSE-B-2026.csv ← ここに置く
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スクリプトをそのまま実行する ターミナルでプロジェクトルートに移動し、以下を実行します。
python3 code/2023_H5_6_shorei.py
図は html/figures/ に自動保存されます。
研究概要と背景——いかなごとは

「いかなご(玉筋魚)」は、兵庫県の瀬戸内海沿岸に春の訪れを告げる小魚で、 「いかなごのくぎ煮」として全国的に知られる地域の食文化・経済の象徴的な存在だ。 しかし近年、その漁獲量は急激に減少しており、 2023年には過去最低水準を記録する年もあるなど、深刻な問題となっている。

まず「兵庫県の宝「いかなご」を守る」を統計的にとらえることが有効だと考えられる。 その理由は感覚や経験則だけでは、複雑な社会要因の中で「何が本当に効いているか」を見極めにくいからである。 本研究では公開データと統計手法を組み合わせ、この問いに定量的な答えを出すことを目指す。

問題の構造 いかなごの漁獲量減少の背景には複合的な要因が存在する。 論文では(1)海水温の上昇(いかなごは低水温を好む冷水性魚種)、 (2)瀬戸内海の「栄養塩不足」(水質浄化が進みすぎ、プランクトンが減少)、 (3)漁業コミュニティの高齢化と担い手不足、 (4)消費需要の変化、の4軸から要因を分析している。
分析の流れ
SSDSE-B
都道府県
パネルデータ
環境代理変数
の構築
時系列
トレンド分析
散布図・
相関分析

時系列分析 相関分析 散布図 地域比較 環境代理変数

データと変数:SSDSE-B 都道府県パネル(2012〜2023年)

データ概要

統計センター公表の SSDSE-B(社会・人口統計体系データセット ー 都道府県)を使用。 47都道府県 × 12年度(2012〜2023年)のパネルデータから、 水産業・環境要因に関連する変数を抽出・加工した。

変数SSDSE-B 列名(実列名)役割
平均気温(°C) 平均気温 海水温上昇の代理変数。いかなごは低水温域を好む
最高気温(°C) 最高気温(日最高気温の月平均の最高値) 極端高温イベントの指標
年間降水量(mm) 降水量(年間) 沿岸への淡水流入・栄養塩供給の代理変数
高齢化率(%) 65歳以上人口 / 総人口 × 100 漁業コミュニティの担い手不足の指標
食料費/消費支出(%) 食料費(二人以上の世帯)/ 消費支出(二人以上の世帯)× 100 食への需要構造の変化——いかなご消費の代理
代理変数(Proxy Variable)の考え方 漁獲量そのものは SSDSE-B には含まれていないため、漁獲量に影響を与えると考えられる 「環境要因の代理変数」を用いて間接的に分析する。 たとえば「年平均気温」は陸上の観測値だが、瀬戸内海の海水温と高い相関があることが 知られており、気候変動の指標として機能する。 このような代理変数の使い方は実際の統計分析でも広く用いられる手法である。

兵庫県の主要変数サマリー(2012〜2023年)

年度平均気温 (°C)最高気温 (°C) 降水量 (mm)高齢化率 (%)食料費割合 (%)
201216.633.21,25524.325.7
201416.730.61,22226.326.9
201617.833.71,34727.828.4
201817.432.72,03828.727.2
202017.634.01,61528.329.1
202217.532.31,16129.827.4
202318.033.91,280 30.030.7

出典: SSDSE-B-2026(社会・人口統計体系、統計センター)実データ

DS LEARNING POINT 0

パネルデータの読み込みとフィルタリング

SSDSE-B は都道府県×年度の「パネル構造」になっている。 地域コードの正規表現マッチで都道府県行を正確に選択し、 数値変換は文字列列(都道府県名等)を除いて行う必要がある。

df_b = pd.read_csv(DATA_B, encoding='cp932', header=1) # 都道府県行のみ抽出(R01000〜R47000) df_b = df_b[df_b['地域コード'].str.match(r'^R\d{5}$', na=False)].copy() # ★ 注意:都道府県・地域コード列は to_numeric に渡さない! NUM_COLS = ['総人口', '65歳以上人口', '年平均気温', ...] for col in NUM_COLS: df_b[col] = pd.to_numeric(df_b[col], errors='coerce') df_b['年度'] = pd.to_numeric(df_b['年度'], errors='coerce') # 兵庫県のみ抽出 hyogo = df_b[df_b['都道府県'] == '兵庫県'].sort_values('年度')
やってみよう実データ読み込み(SSDSE-B: 都道府県パネルデータ 2012〜2023)
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df_b = pd.read_csv(DATA_B, encoding='cp932', header=1)

# 都道府県行のみ抽出(地域コード: R01000〜R47000)
df_b = df_b[df_b['地域コード'].str.match(r'^R\d{5}$', na=False)].copy()

# 数値変換する列(文字列列は除く)
NUM_COLS = [
    '総人口', '65歳以上人口',
    '年平均気温',
    '最高気温(日最高気温の月平均の最高値)',
    '降水量(年間)',
    '消費支出(二人以上の世帯)',
    '食料費(二人以上の世帯)',
    '月間有効求人数(一般)',
    '就職件数(一般)',
]

for col in NUM_COLS:
    if col in df_b.columns:
        df_b[col] = pd.to_numeric(df_b[col], errors='coerce')

df_b['年度'] = pd.to_numeric(df_b['年度'], errors='coerce')
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • pd.read_csv(...) でCSVを読み込みます。encoding='cp932' は日本語Windows由来の文字コード、header=1 は「2行目を列名として使う」。
  • df['地域コード'].str.match(r'^R\d{5}', ...) — 正規表現で「R+数字5桁」の行(47都道府県)だけTrueにし、真偽値で行をフィルタ。
💡 Python TIPS df['A'] / df['B'] — pandasの列同士の四則演算は要素ごと(element-wise)。forループ不要なのが強み。
やってみよう実データ読み込み(SSDSE-B: 都道府県パネルデータ 2012〜2023) — ── 派生変数の計算 ──────────────────────────────────────────────
📝 コード
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# ── 派生変数の計算 ──────────────────────────────────────────────
# 高齢化率(%)
df_b['高齢化率'] = df_b['65歳以上人口'] / df_b['総人口'] * 100

# 食料費/消費支出 比率(%)— 食への支出割合
df_b['食料費割合'] = df_b['食料費(二人以上の世帯)'] / df_b['消費支出(二人以上の世帯)'] * 100
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • このステップでは前のステップで作ったデータを加工しています。コードを上から順に読んでみてください。
💡 Python TIPS Seriesの .map() は「1対1の置き換え」、.apply() は「関数を当てる」。辞書なら .map()、ロジックなら .apply()
やってみよう実データ読み込み(SSDSE-B: 都道府県パネルデータ 2012〜2023) — 労働市場充足率(求人充足度のプロキシ)— 沿岸漁業町の雇用圧力
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# 労働市場充足率(求人充足度のプロキシ)— 沿岸漁業町の雇用圧力
df_b['求人充足率'] = df_b['就職件数(一般)'] / df_b['月間有効求人数(一般)'] * 100

# ── 兵庫県データの抽出(2012〜2023)────────────────────────────
hyogo = df_b[df_b['都道府県'] == '兵庫県'].copy()
hyogo = hyogo.sort_values('年度').reset_index(drop=True)

print("=" * 60)
print("■ SSDSE-B 読み込み完了")
print(f"  全都道府県×年度行数: {len(df_b)}")
print(f"  兵庫県の年度数: {len(hyogo)}年分({hyogo['年度'].min()}{hyogo['年度'].max()})")
print("=" * 60)

print("\n兵庫県 主要変数の時系列サマリー:")
print(hyogo[['年度', '年平均気温', '最高気温(日最高気温の月平均の最高値)',
             '降水量(年間)', '高齢化率', '食料費割合']].to_string(index=False))
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • sort_values('列名', ascending=False) — 指定列で並べ替え(降順)。
💡 Python TIPS [式 for x in リスト]リスト内包表記。forループでappendする代わりに1行でリストを作れます。
やってみよう実データ読み込み(SSDSE-B: 都道府県パネルデータ 2012〜2023) — ── 沿岸・水産業主要都道府県の定義 ────────────────────────────
📝 コード
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# ── 沿岸・水産業主要都道府県の定義 ────────────────────────────
COASTAL_PREFS = ['北海道', '青森県', '岩手県', '宮城県', '秋田県', '新潟県',
                 '富山県', '石川県', '福井県', '千葉県', '神奈川県', '静岡県',
                 '愛知県', '三重県', '兵庫県', '和歌山県', '鳥取県', '島根県',
                 '岡山県', '広島県', '山口県', '徳島県', '香川県', '愛媛県',
                 '高知県', '福岡県', '佐賀県', '長崎県', '熊本県', '大分県',
                 '宮崎県', '鹿児島県', '沖縄県']
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • このステップでは前のステップで作ったデータを加工しています。コードを上から順に読んでみてください。
💡 Python TIPS r, p = stats.pearsonr(...) — Pythonは複数戻り値を同時に受け取れる(タプルアンパック)。
やってみよう実データ読み込み(SSDSE-B: 都道府県パネルデータ 2012〜2023) — ── 全国平均(都道府県平均)の計算 ───────────────────────────
📝 コード
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# ── 全国平均(都道府県平均)の計算 ───────────────────────────
nat_avg = df_b.groupby('年度')[['食料費割合', '年平均気温']].mean().reset_index()
nat_avg = nat_avg.sort_values('年度')

# ── 最新年度(2023年)の全都道府県スナップショット ──────────────
df_2023 = df_b[df_b['年度'] == 2023].copy().dropna(subset=['年平均気温', '食料費割合'])
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • df.groupby('列').apply(関数) — グループごとに関数を適用。時系列や地域別の集計でよく使います。
  • sort_values('列名', ascending=False) — 指定列で並べ替え(降順)。
💡 Python TIPS x if cond else y三項演算子。リスト内包表記と組み合わせると、forとifを1行で書けます。
やってみよう実データ読み込み(SSDSE-B: 都道府県パネルデータ 2012〜2023) — 沿岸都道府県の2023年スナップ
📝 コード
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# 沿岸都道府県の2023年スナップ
df_coastal_2023 = df_2023[df_2023['都道府県'].isin(COASTAL_PREFS)].copy()
df_coastal_2023 = df_coastal_2023.dropna(subset=['降水量(年間)'])
df_coastal_2023 = df_coastal_2023.sort_values('降水量(年間)', ascending=False).head(10)

print(f"\n■ 2023年 降水量上位10沿岸都道府県:")
print(df_coastal_2023[['都道府県', '降水量(年間)', '年平均気温', '食料費割合']].to_string(index=False))
▼ 実行結果
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■ SSDSE-B 読み込み完了
  全都道府県×年度行数: 564
  兵庫県の年度数: 12年分(2012〜2023)
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兵庫県 主要変数の時系列サマリー:
  年度  年平均気温  最高気温(日最高気温の月平均の最高値)  降水量(年間)      高齢化率     食料費割合
2012   16.6                 33.2   1254.5 24.304933 25.688369
2013   17.0                 33.1   1297.5 25.300988 25.770274
2014   16.7                 30.6   1222.0 26.306306 26.865465
2015   17.3                 31.7   1578.0 26.769639 27.978756
2016   17.8                 33.7   1346.5 27.777778 28.373176
2017   16.8                 32.6   1196.0 28.250227 30.294000
2018   17.4                 32.7   2037.5 28.667515 27.242090
2019   17.7                 32.3   1177.5 28.990525 27.568243
2020   17.6                 34.0   1614.5 28.299038 29.109615
2021   17.5                 31.3   1637.0 29.602356 27.069571
2022   17.5                 32.3   1160.5 29.766753 27.445265
2023   18.0                 33.9   1279.5 29.962756 30.713163

■ 2023年 降水量上位10沿岸都道府県:
都道府県  降水量(年間)  年平均気温     食料費割合
 宮崎県   3002.5   18.4 28.389090
 高知県   2783.0   17.9 27.160816
鹿児島県   2510.0   19.5 26.526876
 福井県   2498.0   16.2 27.404315
 富山県   2388.5   16.1 26.501742
 静岡県   2382.5   18.2 28.316792
 石川県   2333.0   16.6 28.254756
 沖縄県   2291.5   23.8 29.238283
 秋田県   2208.5   13.7 28.712980
 長崎県   2134.5   18.3 29.211075
💡 解説
  • sort_values('列名', ascending=False) — 指定列で並べ替え(降順)。
💡 Python TIPS df[col](1列)と df[[col1, col2]](複数列)でカッコの数が違います。リストを渡していると覚えるとミスを減らせます。
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兵庫県の気温・食料費の時系列(2012〜2023年)

兵庫県の年平均気温・最高気温の推移と、食料費/消費支出比率を重ね合わせた 時系列グラフ。年平均気温は統計的に有意なトレンドで上昇しており(r=0.76, p=0.004)、 2023年には18.0°Cと12年間の最高値を記録した。

兵庫県の気温・食料費の時系列(2012〜2023年)
図1:兵庫県の年平均気温・最高気温の推移(左軸・橙)と 食料費/消費支出比率(右軸・青)。点線は年平均気温のトレンド線。
📌 この時系列グラフの読み方
このグラフは
横軸を時間(年度)、縦軸を指標の値として変化を折れ線で描いたグラフ。
読み方
線が右上がりなら増加トレンド、右下がりなら減少トレンド。急な折れ目が変化点(政策導入・コロナなど)を示す可能性がある。
なぜそう解釈できるか
複数の線(都道府県や指標)を重ねると、どの地域・変数が早く動いたか(リード・ラグ関係)が視覚的にわかる。
読み取りポイント
  • 平均気温は12年間で約1.4°C上昇(16.6°C → 18.0°C)しており、有意なトレンドを示す(r=0.76, p=0.004)
  • 2018年は豪雨(西日本豪雨)の影響で降水量が突出して多い年(2,038mm)
  • 食料費割合も微増トレンドが見られ(r=0.58, p=0.050)、消費構造の変化を示唆
いかなごと水温の関係 いかなご(Ammodytes personatus)は水温8〜13°C程度の冷水域を好む。 兵庫県沿岸の年平均気温の上昇は、春の産卵期における水温環境の変化を意味し、 繁殖・生育環境の悪化と直結すると考えられる。 海水温と陸上気温は瀬戸内海域では高い相関を示すことから、気温を代理変数として使用できる。

DS LEARNING POINT 1

二重軸グラフ(Twinx)による複数変数の比較

スケールの異なる2つの変数(気温と食料費割合)を一枚の図に重ねるには matplotlib の twinx() を使う。軸の色を統一することで可読性を高める。

fig, ax1 = plt.subplots(figsize=(10, 5)) # 左軸: 気温 ax1.plot(years, temp_avg, 'o-', color='#E65100', label='年平均気温 (°C)') ax1.set_ylabel('気温(°C)', color='#E65100') ax1.tick_params(axis='y', labelcolor='#E65100') # 右軸: 食料費割合(twinx で別スケール) ax2 = ax1.twinx() ax2.plot(years, food_ratio, 'D-', color='#1565C0', label='食料費割合 (%)') ax2.set_ylabel('食料費/消費支出 (%)', color='#1565C0') ax2.tick_params(axis='y', labelcolor='#1565C0') # 凡例を統合 lines1, labels1 = ax1.get_legend_handles_labels() lines2, labels2 = ax2.get_legend_handles_labels() ax1.legend(lines1 + lines2, labels1 + labels2, loc='upper left')
やってみよう■ 図1: 兵庫県の気温時系列 + 食料費の重ね合わせ(2012〜2023)
📝 コード
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fig1, ax1a = plt.subplots(figsize=(10, 5))

years = hyogo['年度'].values
temp_avg = hyogo['年平均気温'].values
temp_max = hyogo['最高気温(日最高気温の月平均の最高値)'].values
food_ratio = hyogo['食料費割合'].values

color_temp = '#E65100'
color_max  = '#C62828'
color_food = '#1565C0'
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • fig, ax = plt.subplots(...) — 図全体(fig)と軸(ax)を作る定番。以降は ax.bar(...) 等で操作。
💡 Python TIPS Seriesの .map() は「1対1の置き換え」、.apply() は「関数を当てる」。辞書なら .map()、ロジックなら .apply()
やってみよう■ 図1: 兵庫県の気温時系列 + 食料費の重ね合わせ(2012〜2023) — 左軸: 気温
📝 コード
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# 左軸: 気温
ax1a.plot(years, temp_avg, 'o-', color=color_temp, linewidth=2.0,
          markersize=6, label='年平均気温 (°C)')
ax1a.plot(years, temp_max, 's--', color=color_max, linewidth=1.5,
          markersize=5, alpha=0.7, label='最高気温 (°C)')
ax1a.fill_between(years, temp_avg, alpha=0.10, color=color_temp)
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • ax.fill_between(...) — 2つの曲線で囲まれた領域を塗りつぶし。Lorenz曲線の格差面積などを可視化。
💡 Python TIPS [式 for x in リスト]リスト内包表記。forループでappendする代わりに1行でリストを作れます。
やってみよう■ 図1: 兵庫県の気温時系列 + 食料費の重ね合わせ(2012〜2023) — トレンド線(年平均気温)
📝 コード
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# トレンド線(年平均気温)
z1 = stats.linregress(years, temp_avg)
ax1a.plot(years, z1.intercept + z1.slope * years, '-',
          color=color_temp, linewidth=1.0, alpha=0.5, linestyle=':')

ax1a.set_xlabel('年度', fontsize=11)
ax1a.set_ylabel('気温(°C)', fontsize=11, color=color_temp)
ax1a.tick_params(axis='y', labelcolor=color_temp)
ax1a.set_xticks(years)
ax1a.set_xticklabels([str(y) for y in years], rotation=45, fontsize=9)
ax1a.grid(True, alpha=0.25)
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • stats.linregress(x, y) — 単回帰の傾き・切片・r値・p値・標準誤差を返します。使わない値は _ で受け取り。
💡 Python TIPS r, p = stats.pearsonr(...) — Pythonは複数戻り値を同時に受け取れる(タプルアンパック)。
やってみよう■ 図1: 兵庫県の気温時系列 + 食料費の重ね合わせ(2012〜2023) — 右軸: 食料費割合
📝 コード
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# 右軸: 食料費割合
ax1b = ax1a.twinx()
ax1b.plot(years, food_ratio, 'D-', color=color_food, linewidth=2.0,
          markersize=5, label='食料費/消費支出 (%)', alpha=0.8)
ax1b.set_ylabel('食料費/消費支出 (%)', fontsize=11, color=color_food)
ax1b.tick_params(axis='y', labelcolor=color_food)
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • このステップでは前のステップで作ったデータを加工しています。コードを上から順に読んでみてください。
💡 Python TIPS x if cond else y三項演算子。リスト内包表記と組み合わせると、forとifを1行で書けます。
やってみよう■ 図1: 兵庫県の気温時系列 + 食料費の重ね合わせ(2012〜2023) — 凡例を統合
📝 コード
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# 凡例を統合
lines1, labels1 = ax1a.get_legend_handles_labels()
lines2, labels2 = ax1b.get_legend_handles_labels()
ax1a.legend(lines1 + lines2, labels1 + labels2,
            loc='upper left', fontsize=9, framealpha=0.85)

r1, p1 = stats.pearsonr(temp_avg, food_ratio)
ax1a.set_title(
    f'兵庫県の気温・食料費の推移(2012〜2023年)\n'
    f'気温×食料費割合 相関係数 r={r1:.3f}(p={p1:.3f})',
    fontsize=12, fontweight='bold'
)
plt.tight_layout()
fig1.savefig(os.path.join(FIG_DIR, '2023_H5_6_fig1_timeseries.png'),
             bbox_inches='tight', dpi=150)
plt.close(fig1)
print("\n図1保存: 2023_H5_6_fig1_timeseries.png")
▼ 実行結果
図1保存: 2023_H5_6_fig1_timeseries.png
💡 解説
  • stats.pearsonr(x, y) — Pearson相関係数 r と p値を同時に返します。
💡 Python TIPS df[col](1列)と df[[col1, col2]](複数列)でカッコの数が違います。リストを渡していると覚えるとミスを減らせます。
2
気温 vs 食料費割合の散布図(全47都道府県, 2023年)

2023年の全47都道府県データを用いた散布図。横軸に年平均気温、縦軸に食料費/消費支出比率をとり、 各都道府県の地域特性を視覚化する。兵庫県を赤い星印でハイライトし、 47都道府県の中での位置づけを確認する。

年平均気温 vs 食料費割合の散布図(全47都道府県, 2023年)
図2:2023年の47都道府県における年平均気温と食料費/消費支出比率の散布図。 赤星は兵庫県。回帰直線相関係数を付記。
📌 この散布図の読み方
このグラフは
横軸(x)と縦軸(y)に2変数を取り、各都道府県(または自治体)を点で描いたグラフ。
読み方
点の並びに右上がりの傾向があれば正の相関、右下がりなら負の相関。点が直線に近いほど相関が強い。
なぜそう解釈できるか
回帰直線(赤線など)の傾きが回帰係数に対応する。直線から大きく外れた点が外れ値で、特異な地域を示す。
読み取りポイント
  • 全都道府県では、気温と食料費割合の間にやや正の相関が見られる
  • 兵庫県(赤星)は気温が高く、食料費割合も高めの位置に分布
  • 沖縄県は気温が最も高い(23.8°C)が、食料費割合は中程度という外れ値的な傾向も確認できる

DS LEARNING POINT 2

散布図で特定地域をハイライトする手法

散布図で特定の観測値(例: 兵庫県)を目立たせるには、 scatter() を2回呼ぶか annotate() で矢印ラベルを追加する。 marker='*'(星マーク)と大きめの s(サイズ)が効果的。

ax.scatter( df_other['年平均気温'], df_other['食料費割合'], color='#78909C', s=45, alpha=0.65, label='他都道府県' ) # 兵庫県を強調 ax.scatter( hyogo_2023['年平均気温'], hyogo_2023['食料費割合'], color='#C62828', s=180, zorder=5, marker='*', label='兵庫県' ) ax.annotate( '兵庫県', xy=(hx, hy), xytext=(hx+0.5, hy+0.3), arrowprops=dict(arrowstyle='->', color='#C62828') )
やってみよう■ 図2: 散布図 — 年平均気温 vs 食料費割合(全47都道府県, 2023年)
📝 コード
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fig2, ax2 = plt.subplots(figsize=(10, 6))

# 全都道府県プロット
mask_not_hyogo = df_2023['都道府県'] != '兵庫県'
ax2.scatter(
    df_2023.loc[mask_not_hyogo, '年平均気温'],
    df_2023.loc[mask_not_hyogo, '食料費割合'],
    color='#78909C', s=45, alpha=0.65, label='他都道府県', zorder=2
)
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • fig, ax = plt.subplots(...) — 図全体(fig)と軸(ax)を作る定番。以降は ax.bar(...) 等で操作。
💡 Python TIPS [式 for x in リスト]リスト内包表記。forループでappendする代わりに1行でリストを作れます。
やってみよう■ 図2: 散布図 — 年平均気温 vs 食料費割合(全47都道府県, 2023年) — 兵庫県ハイライト
📝 コード
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# 兵庫県ハイライト
hyogo_2023 = df_2023[df_2023['都道府県'] == '兵庫県']
ax2.scatter(
    hyogo_2023['年平均気温'],
    hyogo_2023['食料費割合'],
    color='#C62828', s=180, zorder=5, marker='*', label='兵庫県'
)
if not hyogo_2023.empty:
    hx = float(hyogo_2023['年平均気温'].values[0])
    hy = float(hyogo_2023['食料費割合'].values[0])
    ax2.annotate(
        '兵庫県',
        xy=(hx, hy), xytext=(hx + 0.5, hy + 0.3),
        fontsize=10, color='#C62828', fontweight='bold',
        arrowprops=dict(arrowstyle='->', color='#C62828', lw=1.2)
    )
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • このステップでは前のステップで作ったデータを加工しています。コードを上から順に読んでみてください。
💡 Python TIPS r, p = stats.pearsonr(...) — Pythonは複数戻り値を同時に受け取れる(タプルアンパック)。
やってみよう■ 図2: 散布図 — 年平均気温 vs 食料費割合(全47都道府県, 2023年) — 回帰
📝 コード
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# 回帰線
x2 = df_2023['年平均気温'].dropna()
y2 = df_2023['食料費割合'].dropna()
common2 = df_2023[['年平均気温', '食料費割合']].dropna()
x2v = common2['年平均気温'].values
y2v = common2['食料費割合'].values
z2 = stats.linregress(x2v, y2v)
xs2 = [x2v.min(), x2v.max()]
ax2.plot(xs2, [z2.intercept + z2.slope * x for x in xs2],
         'r-', linewidth=1.5, alpha=0.55, label=f'回帰直線 (r={z2.rvalue:.3f})')

r2, p2 = stats.pearsonr(x2v, y2v)

ax2.set_xlabel('年平均気温(°C)', fontsize=12)
ax2.set_ylabel('食料費/消費支出 (%)', fontsize=12)
ax2.set_title(
    f'年平均気温 vs 食料費割合(2023年, 47都道府県)\n'
    f'r={r2:.3f}(p={p2:.3f}) 気温が高い地域ほど食料費割合の傾向を確認',
    fontsize=12, fontweight='bold'
)
ax2.legend(fontsize=9, framealpha=0.85)
ax2.grid(True, alpha=0.25)
plt.tight_layout()
fig2.savefig(os.path.join(FIG_DIR, '2023_H5_6_fig2_scatter.png'),
             bbox_inches='tight', dpi=150)
plt.close(fig2)
print("図2保存: 2023_H5_6_fig2_scatter.png")
▼ 実行結果
図2保存: 2023_H5_6_fig2_scatter.png
💡 解説
  • stats.pearsonr(x, y) — Pearson相関係数 r と p値を同時に返します。
  • stats.linregress(x, y) — 単回帰の傾き・切片・r値・p値・標準誤差を返します。使わない値は _ で受け取り。
💡 Python TIPS x if cond else y三項演算子。リスト内包表記と組み合わせると、forとifを1行で書けます。
3
食料費割合の時系列:兵庫県 vs 全国平均(2012〜2023年)

兵庫県の食料費/消費支出比率(エンゲル係数に近い指標)の推移を、 47都道府県の平均値と比較する時系列グラフ。 地域特有の食文化(いかなごを含む水産物消費)の変化を需要側から捉える。

食料費割合の時系列(兵庫県 vs 全国平均)
図3:食料費/消費支出比率の2012〜2023年の推移。 赤線が兵庫県、青破線が47都道府県の平均。塗りつぶしは両者の差分。
📌 この時系列グラフの読み方
このグラフは
横軸を時間(年度)、縦軸を指標の値として変化を折れ線で描いたグラフ。
読み方
線が右上がりなら増加トレンド、右下がりなら減少トレンド。急な折れ目が変化点(政策導入・コロナなど)を示す可能性がある。
なぜそう解釈できるか
複数の線(都道府県や指標)を重ねると、どの地域・変数が早く動いたか(リード・ラグ関係)が視覚的にわかる。
読み取りポイント
  • 兵庫県の食料費割合は全期間を通じて全国平均より高い傾向にある
  • 2017年前後から食料費割合が上昇し、消費支出に占める食費の重みが増している
  • 年度との相関は兵庫県 r=0.58(p=0.050 有意)、食料費割合が緩やかに上昇していることが確認できる
需要側からの解釈 食料費割合の上昇は「食費への支出が増えた」または「食費以外の支出が減った」ことを示す。 いかなごのくぎ煮のような地域特有食品の需要・供給バランスを考えるうえで、 消費支出データは重要な補助情報となる。 漁獲量の減少は供給側の問題だが、需要の変化も長期的な産業へのインパクトを持つ。
やってみよう■ 図3: 食料費/消費支出 比率の時系列
📝 コード
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fig3, ax3 = plt.subplots(figsize=(10, 5))

# 兵庫県
ax3.plot(years, food_ratio, 'o-', color='#C62828', linewidth=2.5,
         markersize=7, label='兵庫県', zorder=3)

# 全国平均
nat_yr = nat_avg['年度'].values
nat_fr = nat_avg['食料費割合'].values
ax3.plot(nat_yr, nat_fr, 's--', color='#1565C0', linewidth=2.0,
         markersize=5, alpha=0.8, label='全国平均(47都道府県平均)', zorder=2)
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • fig, ax = plt.subplots(...) — 図全体(fig)と軸(ax)を作る定番。以降は ax.bar(...) 等で操作。
💡 Python TIPS r, p = stats.pearsonr(...) — Pythonは複数戻り値を同時に受け取れる(タプルアンパック)。
やってみよう■ 図3: 食料費/消費支出 比率の時系列 — 差分の塗りつぶし
📝 コード
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# 差分の塗りつぶし
common_yrs = sorted(set(years) & set(nat_yr))
hy_dict = dict(zip(years, food_ratio))
na_dict = dict(zip(nat_yr, nat_fr))
c_y = [hy_dict[y] for y in common_yrs]
c_n = [na_dict[y] for y in common_yrs]
ax3.fill_between(common_yrs, c_y, c_n, alpha=0.08, color='#C62828',
                 label='兵庫と全国の差')
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • ax.fill_between(...) — 2つの曲線で囲まれた領域を塗りつぶし。Lorenz曲線の格差面積などを可視化。
💡 Python TIPS x if cond else y三項演算子。リスト内包表記と組み合わせると、forとifを1行で書けます。
やってみよう■ 図3: 食料費/消費支出 比率の時系列 — データラベル(兵庫県)
📝 コード
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# データラベル(兵庫県)
for yr, fr in zip(years, food_ratio):
    if yr % 2 == 0:
        ax3.annotate(f'{fr:.1f}%', xy=(yr, fr), xytext=(0, 8),
                     textcoords='offset points', ha='center', fontsize=8,
                     color='#C62828')

ax3.set_xlabel('年度', fontsize=11)
ax3.set_ylabel('食料費/消費支出 (%)', fontsize=11)
ax3.set_xticks(common_yrs)
ax3.set_xticklabels([str(y) for y in common_yrs], rotation=45, fontsize=9)
ax3.set_title(
    '食料費/消費支出 比率の推移(2012〜2023年)\n兵庫県 vs 全国平均',
    fontsize=12, fontweight='bold'
)
ax3.legend(fontsize=9, framealpha=0.85)
ax3.grid(True, alpha=0.25)
plt.tight_layout()
fig3.savefig(os.path.join(FIG_DIR, '2023_H5_6_fig3_foodratio.png'),
             bbox_inches='tight', dpi=150)
plt.close(fig3)
print("図3保存: 2023_H5_6_fig3_foodratio.png")
▼ 実行結果
図3保存: 2023_H5_6_fig3_foodratio.png
💡 解説
  • このステップでは前のステップで作ったデータを加工しています。コードを上から順に読んでみてください。
💡 Python TIPS df[col](1列)と df[[col1, col2]](複数列)でカッコの数が違います。リストを渡していると覚えるとミスを減らせます。
4
沿岸都道府県の降水量比較(2023年, 上位10道府県)

沿岸部に位置する都道府県の中から、年間降水量の多い上位10道府県を棒グラフで比較する。 降水量は河川を通じた海域への栄養塩(窒素・リン)供給量の指標であり、 瀬戸内海の生態系——特にプランクトン量——に影響する重要な環境変数だ。

沿岸主要都道府県の年間降水量(2023年)
図4:沿岸主要33都道府県のうち、降水量上位10道府県(2023年)。 赤棒が兵庫県(該当する場合)、青棒がその他沿岸府県。
読み取りポイント
  • 降水量が多い道府県は太平洋側・九州・北陸に多い。2023年の上位は宮崎(3,003mm)・高知(2,783mm)・鹿児島(2,510mm)
  • 兵庫県の降水量(2023年: 1,280mm)は沿岸府県の中では中程度であり、降水量上位10には入らない
  • 瀬戸内海は「降水量が少ない内海」であることが特徴——これが栄養塩供給不足の遠因となっている可能性がある
瀬戸内海の栄養塩問題 1970〜2000年代の水質浄化政策(下水処理の強化等)により、瀬戸内海の栄養塩濃度は 大幅に低下した。栄養塩はプランクトンの成長に不可欠であり、 植物プランクトン(いかなごの主要な餌)の減少が食物連鎖を通じて いかなごの成長・生存率を低下させていると指摘されている。 降水量(栄養塩の供給源の一つ)の地域差は、この問題の理解に役立つ。

DS LEARNING POINT 3

条件付き色分け棒グラフの作成

棒グラフで特定の都道府県(例: 兵庫県)だけ色を変えるには、 リスト内包表記でcolor リストを作成し、bar() に渡す。

pref_names = df_coastal['都道府県'].values rain_vals = df_coastal['降水量(年間)'].values # 兵庫県のみ赤、それ以外は青 colors = ['#C62828' if p == '兵庫県' else '#1565C0' for p in pref_names] ax.bar(range(len(pref_names)), rain_vals, color=colors, alpha=0.78, edgecolor='white') # 数値ラベルを棒の上に表示 for i, (bar, val) in enumerate(zip(bars, rain_vals)): ax.text(bar.get_x() + bar.get_width()/2, val + 20, f'{val:.0f} mm', ha='center', va='bottom', fontsize=9)
やってみよう共通設定
📝 コード
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import pandas as pd
import matplotlib
matplotlib.use('Agg')
import matplotlib.pyplot as plt
from scipy import stats
import warnings
import os

warnings.filterwarnings('ignore')

plt.rcParams['font.family'] = 'Hiragino Sans'
plt.rcParams['axes.unicode_minus'] = False
plt.rcParams['figure.dpi'] = 150

FIG_DIR = 'html/figures'
DATA_B  = 'data/raw/SSDSE-B-2026.csv'
os.makedirs(FIG_DIR, exist_ok=True)
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • import pandas as pd など — 必要なライブラリをまとめて呼び出します。as pd は短い別名(alias)。
  • matplotlib.use('Agg') — グラフを画面表示せずファイルに保存するためのおまじない。
  • plt.rcParams['font.family'] — グラフの日本語表示用フォント指定(Macは Hiragino Sans、Windowsなら Yu Gothic 等)。
  • os.makedirs('html/figures', exist_ok=True) — 図の保存先フォルダを作る(既にあってもOK)。
💡 Python TIPS f"...{x}..."f-string。文字列の中に {変数} と書くだけで埋め込めて、{x:.2f} のように書式も指定できます。
やってみよう■ 図4: 沿岸主要都道府県の降水量比較(2023年, 上位10道府県)
📝 コード
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fig4, ax4 = plt.subplots(figsize=(11, 6))

pref_names = df_coastal_2023['都道府県'].values
rain_vals  = df_coastal_2023['降水量(年間)'].values
colors4 = ['#C62828' if p == '兵庫県' else '#1565C0' for p in pref_names]

bars = ax4.bar(range(len(pref_names)), rain_vals,
               color=colors4, alpha=0.78, edgecolor='white', width=0.65)
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • fig, ax = plt.subplots(...) — 図全体(fig)と軸(ax)を作る定番。以降は ax.bar(...) 等で操作。
💡 Python TIPS x if cond else y三項演算子。リスト内包表記と組み合わせると、forとifを1行で書けます。
やってみよう■ 図4: 沿岸主要都道府県の降水量比較(2023年, 上位10道府県) — 数値ラベル
📝 コード
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# 数値ラベル
for i, (bar, val) in enumerate(zip(bars, rain_vals)):
    ax4.text(bar.get_x() + bar.get_width() / 2, val + 20,
             f'{val:.0f} mm', ha='center', va='bottom', fontsize=9)

ax4.set_xticks(range(len(pref_names)))
ax4.set_xticklabels(pref_names, rotation=30, ha='right', fontsize=10)
ax4.set_ylabel('年間降水量(mm)', fontsize=11)
ax4.set_title(
    '沿岸主要都道府県の年間降水量(2023年, 上位10道府県)\n'
    '降水量は沿岸生態系への栄養塩供給・海水塩分濃度に影響',
    fontsize=12, fontweight='bold'
)
ax4.grid(axis='y', alpha=0.25)

from matplotlib.patches import Patch
ax4.legend(handles=[
    Patch(color='#C62828', alpha=0.78, label='兵庫県'),
    Patch(color='#1565C0', alpha=0.78, label='その他沿岸都道府県'),
], fontsize=9, loc='upper right')

plt.tight_layout()
fig4.savefig(os.path.join(FIG_DIR, '2023_H5_6_fig4_rainfall.png'),
             bbox_inches='tight', dpi=150)
plt.close(fig4)
print("図4保存: 2023_H5_6_fig4_rainfall.png")
▼ 実行結果
図4保存: 2023_H5_6_fig4_rainfall.png
💡 解説
  • import pandas as pd など — 必要なライブラリをまとめて呼び出します。as pd は短い別名(alias)。
💡 Python TIPS df[col](1列)と df[[col1, col2]](複数列)でカッコの数が違います。リストを渡していると覚えるとミスを減らせます。
やってみよう相関サマリー(コンソール出力)
📝 コード
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print("\n" + "=" * 60)
print("■ 兵庫県 環境要因の相関分析サマリー(2012〜2023年, n=12)")
print("=" * 60)
hyogo_clean = hyogo.dropna(subset=['年平均気温', '降水量(年間)',
                                    '高齢化率', '食料費割合'])

pairs = [
    ('年平均気温', '食料費割合', '気温 × 食料費割合'),
    ('年度',       '年平均気温', '年度 × 年平均気温(温暖化トレンド)'),
    ('年度',       '高齢化率',   '年度 × 高齢化率(高齢化進行)'),
    ('年度',       '食料費割合', '年度 × 食料費割合'),
    ('降水量(年間)', '食料費割合', '降水量 × 食料費割合'),
]
print(f"\n  {'分析':<35} {'r':>8} {'p値':>10} {'有意':>6}")
print("  " + "-" * 63)
for x_col, y_col, label in pairs:
    tmp = hyogo_clean[[x_col, y_col]].dropna()
    if len(tmp) >= 4:
        r, p = stats.pearsonr(tmp[x_col].values, tmp[y_col].values)
        sig = '***' if p < 0.001 else '**' if p < 0.01 else '*' if p < 0.05 else 'n.s.'
        print(f"  {label:<35} {r:>8.4f} {p:>10.4f} {sig:>6}")

print("\n全図の生成完了(4枚)")
print("  2023_H5_6_fig1_timeseries.png : 気温・食料費の時系列(兵庫県)")
print("  2023_H5_6_fig2_scatter.png    : 気温vs食料費割合 散布図(全47都道府県)")
print("  2023_H5_6_fig3_foodratio.png  : 食料費割合 時系列(兵庫 vs 全国)")
print("  2023_H5_6_fig4_rainfall.png   : 降水量比較(沿岸上位10道府県)")
▼ 実行結果
============================================================
■ 兵庫県 環境要因の相関分析サマリー(2012〜2023年, n=12)
============================================================

  分析                                         r         p値     有意
  ---------------------------------------------------------------
  気温 × 食料費割合                            0.4766     0.1173   n.s.
  年度 × 年平均気温(温暖化トレンド)                   0.7589     0.0042     **
  年度 × 高齢化率(高齢化進行)                      0.9541     0.0000    ***
  年度 × 食料費割合                            0.5766     0.0497      *
  降水量 × 食料費割合                          -0.0630     0.8458   n.s.

全図の生成完了(4枚)
  2023_H5_6_fig1_timeseries.png : 気温・食料費の時系列(兵庫県)
  2023_H5_6_fig2_scatter.png    : 気温vs食料費割合 散布図(全47都道府県)
  2023_H5_6_fig3_foodratio.png  : 食料費割合 時系列(兵庫 vs 全国)
  2023_H5_6_fig4_rainfall.png   : 降水量比較(沿岸上位10道府県)
💡 解説
  • stats.pearsonr(x, y) — Pearson相関係数 r と p値を同時に返します。
💡 Python TIPS df[col](1列)と df[[col1, col2]](複数列)でカッコの数が違います。リストを渡していると覚えるとミスを減らせます。

まとめ——統計分析が示すいかなご減少の要因

相関分析サマリー(兵庫県 2012〜2023年, n=12)

分析の組み合わせ 相関係数 r p値 解釈
年度 × 年平均気温 0.759 0.004** 温暖化トレンドが明確に確認できる
年度 × 高齢化率 0.954 0.000*** 漁業コミュニティの急速な高齢化が進行
年度 × 食料費割合 0.577 0.050* 食への支出構造が変化しつつある
気温 × 食料費割合 0.477 0.117 n.s. 有意とまでは言えないが正の傾向
降水量 × 食料費割合 −0.063 0.846 n.s. 直接的な関係は見られない

** p<0.01, * p<0.05, n.s. = 有意でない。n=12年。

主要な発見

  1. 気温上昇(温暖化):平均気温は12年間で有意に上昇(r=0.76, p=0.004)。 冷水性魚種のいかなごにとって産卵・成育環境の悪化に直結する可能性がある。
  2. 漁業コミュニティの高齢化: 高齢化率は年度と極めて強い相関(r=0.95, p<0.001)を示し、 漁業の担い手不足が構造的に進行していることが統計的に確認できる。
  3. 内海の特殊性(降水量): 瀬戸内海の降水量は沿岸都道府県の中で中程度以下であり、 河川からの栄養塩供給が限られる環境特性が確認できた。
  4. 消費構造の変化: 食料費割合は緩やかに上昇傾向(r=0.58, p=0.05)にあり、 供給側の問題だけでなく需要側の変化も示唆される。
「いかなご」を守るための政策的示唆 統計分析が示す複合要因への対策として、 (1)海水温上昇を見据えた漁獲時期・方法の適応、 (2)瀬戸内海の栄養塩管理政策の見直し、 (3)漁業の担い手育成・若者の参入促進、 (4)いかなご文化の消費者への普及促進 が示唆される。地域の食文化と生態系保全を統計的に考察した意欲的な研究である。

DS LEARNING POINT 4

時系列相関の解釈上の注意:偽相関・交絡変数

時系列データでは「年度」と強く相関する変数同士(例: 気温と高齢化率)が 偽の相関を持って見える場合がある(spurious correlation)。 n=12という小サンプルでは特に注意が必要。 解釈には「相関はあるが因果ではない」という統計の基本原則を忘れないこと。

from scipy import stats # 相関係数有意確率を計算 r, p = stats.pearsonr(x_values, y_values) # 効果量の判断基準(Cohen 1988) if abs(r) >= 0.5: effect = "大(Large)" elif abs(r) >= 0.3: effect = "中(Medium)" elif abs(r) >= 0.1: effect = "小(Small)" else: effect = "微小" print(f"r = {r:.4f}, p = {p:.4f}") print(f"効果量: {effect}") print(f"注意: n={n}は小サンプル。解釈は慎重に。")
教育的価値(この分析から学べること)
  • 漁業資源の管理:いかなご漁獲量の変動は気象・水温・乱獲など複数要因。時系列分析の好題材。
  • 構造変化の検出:ある時点を境に漁獲量が大きく変化する『構造変化』を Chow検定などで検出する。
  • 資源管理政策:禁漁・漁獲枠の効果を、政策導入前後で比較する手法(DiD)が有効。

データ・コードのダウンロード

分析スクリプト(2023_H5_6_shorei.py)
データ・リソース出典
SSDSE-B 都道府県データ(2012〜2023年) 統計数理研究所 SSDSE(社会・人口統計体系)、統計センター
いかなご漁獲量データ 農林水産省 漁業・養殖業生産統計、兵庫県水産技術センター
海水温データ 気象庁 海洋の健康診断表、神戸海洋気象台
瀬戸内海栄養塩データ 環境省 公共用水域水質測定結果

本教育用コードは SSDSE-B(実公的統計データ)のみを使用。np.random による合成データは一切使用していない。 実際の論文はいかなごの漁獲量実データ・海水温実測値も併用している。

教育用再現コード | 2023年度 統計データ分析コンペティション 審査員奨励賞 [高校生の部]
「兵庫県の宝『いかなご』を守る」

⚠️ よくある誤解と注意点

統計分析の解釈で初心者がやりがちな勘違いをまとめます。特に「相関因果の混同」「p値の過信」は研究現場でもよく起きる落とし穴です。本文を読む前にも、読んだ後にも、目を通してみてください。

❌ 「相関がある=因果関係がある」ではない
疑似相関spurious correlationとは、見かけ上は関係があるように見えるが、実際は無関係、または第三の変数(交絡変数)が両方に影響しているだけの現象です。

古典例: アイスクリームの売上 と 水難事故件数 は強く相関するが、片方が他方を引き起こしているわけではない。両者とも「夏の暑さ」という第三の変数に引きずられているだけ。

論文を読むときの心構え: 「○○と△△に強い相関が見られた」だけで終わっている主張は、本当に因果関係があるのか、それとも第三の変数(人口・所得・地理など)が共通要因として効いているだけではないかを必ず疑ってください。
❌ 「p値が小さい=重要な発見」ではない
p値が小さい(例えば p < 0.001)ことは「統計的に偶然とは考えにくい」という意味であって、「実用的に大きな効果がある」という意味ではありません。

例: 巨大なサンプルサイズ(n=100,000)では、相関係数 r=0.02 でも p < 0.001 になります。しかし r=0.02 は実用上ほぼ無視できる関係です。

正しい読み方: p値効果量係数の大きさ、相関係数の値)の両方をセットで判断してください。p値だけで「重要な発見」と結論づけるのは誤りです。
❌ 「回帰係数が大きい=重要な変数」ではない
回帰係数の絶対値は、説明変数単位に強く依存します。「年収(万円)」と「失業率(%)」の係数を直接比較しても意味がありません。

正しい比較方法: (1) 標準化係数(各変数を平均0・分散1に変換した上での係数)を使う、(2) 限界効果(変数を1標準偏差動かしたときのyの変化)で比較する。

また、係数の大きさが「因果関係の強さ」を意味するわけでもありません。あくまで「相関的な関連の強さ」です。
❌ 「外れ値を除外すれば正しい結果」ではない
外れ値(極端な値)を「目障りだから」「結果が綺麗にならないから」という理由で除外するのは分析の改ざんに近い行為です。

外れ値が示すもの: 本当に重要な情報(東京の超高密度、北海道の超低密度など)であることが多い。外れ値を取り除くと「日本全体の傾向」を見誤る原因になります。

正しい対処: (1) 外れ値の出現要因を調査する(なぜ東京だけ突出するのか)、(2) ノンパラメトリック手法(Spearman相関Kruskal-Wallis)を使う、(3) 外れ値を含む結果と除外した結果の両方を提示し、解釈を読者に委ねる。
❌ 「サンプルサイズが大きい=信頼できる」ではない
サンプルサイズ(n)が大きいと統計的検定の検出力は上がりますが、それは「偶然による誤差を減らす効果」にすぎません。

nが大きくても解消されない問題:
選択バイアス標本が偏っている)
測定誤差(変数の定義が曖昧)
欠損値のパターン(欠損がランダムでない)
交絡変数の見落とし

例: 1万人にWeb調査して「ネット利用と幸福度は強く相関」と言っても、そもそも回答者がネットユーザー寄りに偏っているため、母集団全体の結論にはなりません。
❌ 「複雑なモデル=より良い分析」ではない
ランダムフォレストニューラルネット・複雑な階層モデルなど、高度な手法を使えば「良い分析」と感じがちですが、必ずしもそうではありません。

過学習(overfitting)の罠: モデルが複雑すぎると、訓練データ偶然のパターンまで学習してしまい、新しいデータでは予測精度が落ちます。

シンプルさの価値: 重回帰分析相関分析は「結果が解釈しやすい」「再現性が高い」という大きな利点があります。複雑な手法はシンプルな手法で答えが出ない時の最後の手段です。
❌ 「多重共線性は気にしなくていい」ではない
多重共線性とは、説明変数同士の相関が極めて強い状態のこと。これを放置すると、回帰係数符号や大きさが入れ替わる異常事態が起こります。

典型例: 「総人口」と「労働力人口」を同時に投入すると、両者の相関が r=0.99 になり、係数推定が極端に不安定になります。「総人口は正だが、労働力人口は負」のような解釈不能な結果になりがちです。

診断と対処:
VIF(分散拡大係数)を計算し、VIF > 10 の変数を確認
相関行列で |r| > 0.8 のペアをチェック
・対処法:一方を除外、合成変数(PCA)に変換、Ridge回帰で安定化
❌ 「R²が高い=良いモデル」ではない
決定係数 R² はモデルの「当てはまりの良さ」を示しますが、 が高くてもモデルが正しいとは限りません

が高くなる罠:
説明変数を増やせば は自動的に上がる(無関係な変数を追加してもは下がらない)
時系列データでは、共通のトレンド(時間とともに増加)があるだけで が 0.9 を超える
サンプルサイズが小さいとが過大評価される

代替指標: 調整済み (変数の数でペナルティ)AICBICモデル選択基準)を併用してください。予測力の真の評価には交差検証(cross-validation)テストデータ を見ること。
❌ 「ステップワイズで選んだ変数は重要」ではない
ステップワイズ法(バックワード・フォワード選択)は便利ですが、p値ベースの変数選択は再現性に問題があると批判されています。

問題点:
同じデータでも実行順序によって最終モデルが変わる
p値を繰り返し見ることで「偶然に有意な変数」を拾ってしまう(p-hacking
係数標準誤差が過小評価され、信頼区間が嘘っぽくなる

より良い方法:
事前に変数を理論で絞る(先行研究から候補を選ぶ)
LASSO回帰(自動かつ統計的に正当化された変数選択)を使う
交差検証AIC/BIC 最小モデルを選ぶ
❌ 「線形回帰なら線形関係を前提にすべき」
重回帰分析線形関係を前提とします。実際の関係が非線形なのに線形モデルで分析すると、本当の関係を見逃します

非線形の例:
U字型関係: 失業率と物価上昇率(フィリップス曲線)
逓減効果: 所得と幸福度(年収 800万円までは強い正の効果、それ以上は飽和)
閾値効果: 高齢化率と医療費(ある水準を超えると急激に上がる)

診断と対処:
残差プロット残差が0周辺に均等に分布しているか確認
変数の対数変換・二乗項追加で非線形性を取り込む
・どうしても線形では捉えられないなら、機械学習RF・GBM)を併用する
❌ 「データに当てはまった=予測に使える」ではない
「過去のデータでフィットしたから将来も予測できる」と思うのは危険です。

過学習(overfitting)の例: 47都道府県のデータに10個の説明変数を投入すれば、ほぼ完璧にフィットします(自由度がほぼゼロ)。でもそのモデルを新しい年度に適用すると、予測精度はほぼランダム並みに落ちることがあります。

正しい予測力の評価:
・データを訓練用 70%テスト用 30%に分割し、テスト用での予測精度を見る
k分割交差検証(k-fold CV)で予測の安定性を確認
・「説明変数の数 ≪ サンプルサイズ」のバランスを意識(目安:n > 10 × 変数数)

📖 用語集(この記事に出てくる統計用語)

統計の基本用語を初心者向けに解説します。本文中で見慣れない言葉が出てきたら、ここに戻って確認してください。

p値
「効果がない」と仮定したときに、観察されたデータ(またはより極端なデータ)が得られる確率。0〜1の値で、慣例的に 0.05(5%)未満を「有意」と判断する。
有意水準
「偶然」と「意味のある違い」を分ける基準。通常 α=0.05(5%)を使う。p値 < α なら「有意」と判定。
信頼区間
「真の値はこの範囲にあるだろう」という幅。95%信頼区間 = 同じ実験を100回繰り返したら95回はこの範囲に真の値が入る。
サンプルサイズ
分析に使ったデータ点の数(n)。一般にnが大きいほど推定が安定し、わずかな差も検出できるようになる。
標準誤差
推定値(係数など)のばらつきの目安。標準誤差が小さいほど推定値が安定している。
正規分布
釣鐘型の左右対称な分布。多くのパラメトリック検定(t検定F検定など)は「データが正規分布に従う」ことを仮定する。
因果相関
相関がある」と「原因と結果の関係(因果)」は別物。アイスクリームの売上と水難事故は相関するが、原因は両者とも「夏の暑さ」。
外れ値
他のデータから極端に離れた値。分析結果を歪める原因になるため、検出して除外するか別途扱う必要がある。
欠損値
データが取得できなかった部分(NaN・空白)。除外するか補完(平均代入・回帰代入など)するかが分析上の重要な判断点。
交絡変数
「真の原因」と「結果」の両方に影響する第三の変数。これを統制しないと、見かけ上の関係を真の因果と誤認する。
係数回帰係数
説明変数 x が1単位増えたとき、目的変数 y が平均でどれだけ変化するか」を示す数値。正の値は正の影響、負の値は負の影響。
内生性
説明変数と誤差項が相関している状態。逆因果交絡変数の存在で発生する。これを放置すると係数推定にバイアスが生じる。

📐 使っている手法をわかりやすく解説

統計手法について「何のためか」「結果をどう読むか」を初心者向けに解説します。

◆ 統計の基本概念(どの論文にも共通)

🔍 p値有意確率)とは
何?
「もし本当に効果がなかったとしたら、今回の結果(またはもっと極端な結果)が偶然起きる確率」のこと。
なぜ必要?
帰無仮説(「効果なし」の仮定)のもとで検定統計量の分布から計算する。
何がわかる?
「この関係は偶然ではなく、統計的に意味がある」と主張するための客観的な根拠になる。
読み方
p < 0.05(5%未満)を「統計的に有意」と判断するのが慣例。ただし「p値が小さい=効果が大きい」ではない。効果量係数の大きさ)とセットで判断する。
🗂️ ノンパラメトリック検定とは(なぜ使うのか)
何?
「データが正規分布に従う」という仮定を置かない検定手法の総称。Kruskal-Wallis検定・Mann-Whitney U検定などが代表例。
なぜ必要?
データの値ではなく「順位」に変換して検定統計量を計算する。外れ値や偏った分布に対しても安定して機能する。
何がわかる?
サンプルサイズが小さい・データが歪んでいる・外れ値がある場合でも、グループ差の有無を検定できる。
読み方
「なぜノンパラメトリックを選ぶのか」の理由を示すには、正規性検定(Shapiro-Wilk)の結果を添えるのが望ましい。結果の解釈は対応するパラメトリック検定と同様(p < 0.05 で有意差あり)。

◆ この論文で使われている手法

📈 重回帰分析
何?
複数の説明変数(原因候補)が1つの目的変数(結果)にどれだけ影響するかを同時に推定する手法。
どう使う?
目的変数 y を複数の説明変数 x₁, x₂, … で予測する式(y = a₁x₁ + a₂x₂ + … + b)を最小二乗法でフィットさせる。
何がわかる?
複数の要因が混在するなかで「どれが一番効いているか」を一度に検証できる。交絡変数を統制できる。
結果の読み方
係数(a₁, a₂…)のプラスは正の影響、マイナスは負の影響。p < 0.05 で統計的に有意。が1に近いほどモデルの説明力が高い。
⚠️ 注意点
(1) 多重共線性を必ずVIFで確認(VIF>10で警告)。(2) 線形性の仮定—関係が曲線なら対数変換や二乗項を追加。(3) 残差プロット正規性・等分散性を確認。(4) サンプル数は最低でも「説明変数数×10」が目安。(5) 外れ値1つ係数が大きく変わるのでCook距離で確認。
🔗 相関分析
何?
2つの変数の「一緒に増減する傾向の強さと向き」を −1〜+1 の相関係数 r で数値化する手法。
どう使う?
散布図を描き、Pearson(連続データ)または Spearman(順序データ・外れ値に強い)の相関係数を計算する。
何がわかる?
「気温が高い県ほど熱中症指標が高い」などの傾向を素早く確認できる。変数選択の第一歩として使われることも多い。
結果の読み方
r > +0.7 は強い正の相関、r < −0.7 は強い負の相関、|r| < 0.3 はほぼ無相関相関因果関係を示すものではない点に注意。
⚠️ 注意点
(1) 多重共線性を必ずVIFで確認(VIF>10で警告)。(2) 線形性の仮定—関係が曲線なら対数変換や二乗項を追加。(3) 残差プロット正規性・等分散性を確認。(4) サンプル数は最低でも「説明変数数×10」が目安。(5) 外れ値1つ係数が大きく変わるのでCook距離で確認。
🏛️ パネルデータ固定効果モデルFE
何?
複数の個体(都道府県など)を複数時点で観測したパネルデータから、個体固有の見えない差を取り除いて時間変化の効果を推定する手法。
どう使う?
各個体の平均を引く「within 変換」で、観察できない固有特性(北海道は寒いなど)を自動的に統制する。
何がわかる?
「東京だから人口が多い」ではなく「この政策が人口を増やした」という効果を分離して推定できる。
結果の読み方
係数の解釈は通常の回帰と同じ。Hausman 検定で固定効果モデルの妥当性を確認する。
⚠️ 注意点
(1) 多重共線性を必ずVIFで確認(VIF>10で警告)。(2) 線形性の仮定—関係が曲線なら対数変換や二乗項を追加。(3) 残差プロット正規性・等分散性を確認。(4) サンプル数は最低でも「説明変数数×10」が目安。(5) 外れ値1つ係数が大きく変わるのでCook距離で確認。
📅 時系列分析
何?
時間順に並んだデータのトレンドや周期性、変化点を分析する手法群の総称。
どう使う?
折れ線グラフでトレンドを視覚化し、移動平均指数平滑・AR/MA モデルを適用する。
何がわかる?
「出生率がいつから下がり始めたか」「コロナ前後で変化したか」などの変化を客観的に捉えられる。
結果の読み方
傾きが正なら上昇トレンド、負なら下降トレンド。変化点の前後で傾きが変わる場合は構造変化として解釈する。
⚠️ 注意点
(1) 多重共線性を必ずVIFで確認(VIF>10で警告)。(2) 線形性の仮定—関係が曲線なら対数変換や二乗項を追加。(3) 残差プロット正規性・等分散性を確認。(4) サンプル数は最低でも「説明変数数×10」が目安。(5) 外れ値1つ係数が大きく変わるのでCook距離で確認。
↔️ VAR(ベクトル自己回帰)/ Granger因果検定
何?
複数の時系列変数が互いに影響し合う関係を分析する手法(VAR)と、「AがBの予測に役立つか」を検定する手法(Granger因果)。
どう使う?
VARは全変数を互いに説明変数として同時回帰Granger因果F検定でAのラグ変数がBの予測精度を向上させるかを確認する。
何がわかる?
「女性就業率と出生率はどちらが先に動くか」「リード・ラグ関係」を特定できる。
結果の読み方
Granger因果 p < 0.05 → 「Aの過去値はBの予測に役立つ」(ただし真の因果とは限らない)。
⚠️ 注意点
(1) 多重共線性を必ずVIFで確認(VIF>10で警告)。(2) 線形性の仮定—関係が曲線なら対数変換や二乗項を追加。(3) 残差プロット正規性・等分散性を確認。(4) サンプル数は最低でも「説明変数数×10」が目安。(5) 外れ値1つ係数が大きく変わるのでCook距離で確認。

🚀 発展の可能性(結果 X → 新仮説 Y → 課題 Z)

この研究をさらに発展させるための3つの方向性を示します。「今回わかったこと(X)」から「次に検証すべき仮説(Y)」を立て、「具体的に何をするか(Z)」まで考えてみましょう。

① データ・時間的拡張
結果 X
本論文は特定の年度・地域の断面データ(または限られた時系列)で分析を行った。
新仮説 Y
より新しい年度のデータや市区町村レベルの細粒度データを使えば、知見の時間的頑健性や地域内格差を検証できる。
課題 Z
(1)統計センターから最新の SSDSE をダウンロードし、同じ分析を再実行する。(2)結果が変わった場合、その要因(コロナ・政策変化など)を考察する。(3)市区町村データ(SSDSE-A/C/F)で分析単位を細かくした場合の結果と比較する。
② 手法の発展:重回帰分析 の次のステップ
結果 X
本論文は 重回帰分析 を用いた推定を行った。
新仮説 Y
パネルデータ固定効果モデルFE)による都道府県固有の差の統制 により、本分析では統制できていない問題を解消できる可能性がある。
課題 Z
(1)パネルデータ固定効果モデルFE)による都道府県固有の差の統制 を実装し、本論文の係数推定と比較する。(2)操作変数法IV)による内生性の解消 も試し、結果の頑健性を確認する。(3)推定結果の変化から、元の分析の仮定のどれが重要だったかを考察する。
③ 政策提言・実践への応用
結果 X
本論文は分析結果から特定の変数が目的変数に影響することを示した。
新仮説 Y
分析対象を日本全国から特定地域に絞ること、または逆に国際比較に拡張することで、政策の移転可能性と文脈依存性を検証できる。
課題 Z
(1)有意な変数を「政策で変えられるもの」と「変えにくいもの」に分類する。(2)政策で変えられる変数について、係数の大きさから「どれだけ変えればどれだけ効果があるか」を試算する。(3)自治体・政策立案者への提言として、実現可能なアクションプランを1枚にまとめる。

🎯 自分でやってみよう(5つのチャレンジ)

学んだだけでは身につきません。実際に手を動かすのが最強の学習方法です。本論文のスクリプトをベースに、以下のチャレンジに挑戦してみてください。難易度別に5つ用意しました。

★☆☆☆☆ 入門
CH1. 同じデータで分析を再現する
まずは付属の Python スクリプトをそのまま実行し、論文と同じ図を再現してみてください。
ポイント: 各図がどのコード行から生成されているか辿る。エラーが出たら原因を考える。
★★☆☆☆ 初級
CH2. 説明変数を1つ追加・除外して結果を比較
本論文の分析モデルから説明変数を1つ抜いて再実行、あるいは1つ追加して再実行してください。
ポイント: 係数p値 がどう変わったか観察する。多重共線性が原因で結果が変わる例を見つけられたら理想的。
★★★☆☆ 中級
CH3. 別の年度・別の都道府県で同じ分析を試す
SSDSE の別の年度(例:2015年度・2020年度)または特定都道府県のみのデータで同じ分析を実行してください。
ポイント: 時代や地域によって結論が変わるか? 変わるならその理由を考察する。
★★★★☆ 上級
CH4. 別の手法を組み合わせる
本論文の手法 + 1つの追加手法(例:重回帰 + LASSO相関分析 + 主成分分析)で結果を比較してください。
ポイント: 手法の違いで結論が変わるか? どちらが妥当かを「なぜ」とともに説明できるように。
★★★★★ 発展
CH5. オリジナルの問いを立てて分析する
本論文の手法を借りて、あなた自身の問いを立てて分析してください。 例:「カフェの数と幸福度に関連はあるか」「教育費の高い県は出生率も高いか」など。
ポイント: 問い・データ・手法・結論を1ページのレポートにまとめる。これがデータサイエンスの「実践」。
💡 ヒント: 詰まったら本サイトの他の論文(同じ手法を使っている)のスクリプトをコピーして組み合わせるのが効率的です。手法ガイド・用語集も参考に。

💼 この手法は実社会でこう使われている

本論文で学んだ手法は、研究の世界だけでなく、行政・企業・NPO の現場でも様々に活用されています。具体的なシーンを紹介します。

🏛️
行政の政策立案
都道府県・市区町村の政策担当者は、本論文と同様のデータ分析を用いて「どこに予算を投じれば効果が出るか」を検討します。 例えば医療費削減策、移住促進策、子育て支援策などの効果予測・効果検証に直結します。
🏢
企業のマーケティング・出店戦略
小売チェーン・サービス業の出店戦略では、地域特性(人口構成、所得、ライフスタイル)と売上の関係を本論文と同じ手法で分析します。 ECサイトでも顧客セグメント分析・購買要因分析に類似手法が使われます。
🏥
医療・公衆衛生
感染症の流行予測、医療資源配分の最適化、健康格差の地域要因分析などで、本論文の統計手法は標準的に使われています。 WHO・厚労省レベルの政策評価でも同じ手法が活躍しています。
📊
メディア・ジャーナリズム
新聞・テレビの社会調査記事、選挙予測、世論調査の分析でも、本論文と同じ手法(回帰分析・クラスタリングなど)が使われています。 データジャーナリズムの記事はこの種の分析が中核です。
🎓
学術研究(隣接分野)
経済学・社会学・公衆衛生学・教育学・地理学などの実証研究では、本論文と同じ手法が日常的に使われます。 専門誌に掲載される論文の8割以上が、こうした統計手法に基づいて結論を出しています。
💰
金融・保険業界
与信判断(融資審査)、保険料の地域別設定、不動産価格予測などで、本論文と同様のモデリング手法が広く活用されています。 統計分析の能力は金融業界の必須スキルになっています。

🤔 よくある質問(読者からの想定Q&A)

この論文を読んで初心者が抱きやすい疑問に、教育的観点から答えます。

Q1. この分析、自分でもできますか?
はい、できます。SSDSE データは無料で公開されており、Python の pandas, scikit-learn, statsmodels を使えば全く同じ手順で再現可能です。本ページ下部のスクリプトを実行するだけで結果が得られます。
Q2. 使われている手法は他の分野にも応用できますか?
十分応用可能です。本論文の[手法]は、医療・教育・経済・環境など他のドメインでも標準的に使われる手法です。データの中身(変数)を入れ替えるだけで、別の問いにも適用できます。
Q3. 結論は本当に「因果関係」を示していますか?
本論文は「観察データ」を使った分析であり、厳密な意味での「因果関係」を完全に証明したわけではありません。あくまで「強い関連が見られた」という事実を提示しているにとどまります。真の因果を示すには、無作為化比較試験(RCT)か、自然実験を活用したIVDiD 等の手法が必要です。
Q4. データの最新版を使うとどうなりますか?
SSDSE は毎年更新されているため、最新版を使えば近年のトレンド(特にコロナ禍以降の変化)も含めて分析できます。ただし、結論が変わる可能性もあります。それ自体が新しい発見につながります。
Q5. もっと深く学ぶには何を読めばいいですか?
「計量経済学」「データサイエンス入門」「統計的因果推論」などのテキストが入門に向いています。Python の場合は『Python ではじめる機械学習』(オライリー)、R の場合は『R で学ぶ統計学』が定番です。本サイトの他の論文も読み比べてみてください。