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2023年 統計データ分析コンペティション | 審査員奨励賞 [高校生の部]

日本の食料自給率を上げるために

⏱️ 推定読了時間: 約34分
高校生の部 時系列分析・相関分析・回帰分析
📝 3行で分かる要約

目次

  1. 研究概要と背景
  2. データ:SSDSE-B 都道府県データと代理変数
  3. 時系列分析:食料費割合の上昇トレンド
  4. 相関分析:地域特性と食料費割合
  5. 重回帰分析:食料依存度の決定要因
  6. 都道府県別ランキング
  7. まとめと政策的示唆
  8. 📥 データの準備
  9. 💼 実社会での応用
  10. ⚠️ よくある誤解
  11. 📖 用語集
  12. 📐 手法ガイド
  13. 🚀 発展の可能性
  14. 🎯 自分でやってみよう
  15. 🤔 Q&A

🎯 この記事を読むと何ができるようになるか

📥 データの準備(再現コードを動かす前に)

このページの分析を自分で再現するには、以下の手順でデータを準備してください。コードの編集は不要です。

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データをダウンロードする 統計センターの SSDSE 配布ページから、以下のファイルをダウンロードします。
SSDSE-B-2026.csv ← SSDSE-B(都道府県データ)📥 直接DL
⬇ SSDSEダウンロードページを開く
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ファイルを所定のフォルダに配置する ダウンロードしたCSVを、プロジェクトの data/raw/ フォルダに入れます。
2026 統計・データ解析コンペ/ ├── code/ │ └── 2023_H5_5_shorei.py ← 実行するスクリプト └── data/ └── raw/ SSDSE-B-2026.csv ← ここに置く
3
スクリプトをそのまま実行する ターミナルでプロジェクトルートに移動し、以下を実行します。
python3 code/2023_H5_5_shorei.py
図は html/figures/ に自動保存されます。
研究概要と背景

日本の食料自給率(カロリーベース)は長期的に低下を続け、2022年度は38%(農林水産省調べ)にとどまる。食料安全保障の観点から、日本が食料を海外に依存している現状の構造を統計データで解明し、自給率向上のための政策的示唆を得ることが本研究の目的である。

まず「日本の食料自給率を上げるために」を統計的にとらえることが有効だと考えられる。 その理由は感覚や経験則だけでは、複雑な社会要因の中で「何が本当に効いているか」を見極めにくいからである。 本研究では公開データと統計手法を組み合わせ、この問いに定量的な答えを出すことを目指す。

問題意識:なぜ食料自給率が重要か 世界的な気候変動・地政学的リスクが高まる中、食料の安定供給は国家の最重要課題の一つ。日本の食料自給率38%は先進国の中でも最低水準であり、輸入依存からの脱却が求められている。
分析の流れ
SSDSE-B
都道府県データ
47都道府県
時系列分析
(2012〜2023)
相関分析
(地域特性)
重回帰分析
(決定要因)

SSDSE-B 時系列分析 相関分析 重回帰分析 代理変数

データ:SSDSE-B 都道府県データと代理変数

データソース

SSDSE(社会・人口統計体系データセット)-B は都道府県レベルの統計データを収録する。2012〜2023年の12年分・47都道府県のパネルデータ(計564行)を使用した。

代理変数(プロキシ変数)について 食料自給率(カロリーベース)は農林水産省が公表するが、SSDSE-Bには含まれていない。そこで本分析では「食料費が消費支出に占める割合」(食料費割合)を食料依存度の代理変数として使用する。食料費割合が高い地域は食料消費への支出ウェイトが大きく、食料に対する家計の関心・依存度が高いことを示すと解釈できる。
変数SSDSE-Bコード説明役割
食料費割合(目的変数 L322101 / L3221 × 100 食料費 / 消費支出(二人以上世帯) 食料依存度の代理変数
消費支出 L3221 二人以上世帯の月間消費支出(円) 所得・生活水準の指標
住宅地価格 C5401 住宅地平均価格(円/m²) 都市化・地価の指標
高齢化率 A1303 / A1101 × 100 65歳以上人口割合(%) 高齢化の指標
平均気温 B4101 平均気温(℃) 農業・気候条件の指標
年間降水量 B4109 年間降水量(mm) 農業・気候条件の指標
転出率 A5102 / A1101 × 100 転出者数 / 総人口(%) 農村過疎化の指標

DS LEARNING POINT 1

代理変数(プロキシ変数)の活用

分析したい指標が直接入手できない場合、理論的に関連が深い別の指標で代替する手法を「代理変数」という。重要なのは (1) 代理変数と真の指標の関係を明示すること、(2) 代理変数固有のバイアスを認識することの2点。

# 食料費割合の計算 food_ratio = L322101 / L3221 * 100 # 食料費 / 消費支出 (%) # 代理変数の妥当性チェック:都市部は外食比率が高く # 食料費割合が高くなりうる→地価との散布図で確認 # → 住宅地価格と正の相関 → 都市部の食料消費が反映されている可能性 # 真の食料自給率データは農林水産省HPから別途入手が必要 # https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/
やってみよう■ データ読み込み(SSDSE-B-2026: 都道府県データ)
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df_raw = pd.read_csv(
    os.path.join(DATA_DIR, 'SSDSE-B-2026.csv'),
    encoding='cp932', header=0
)

# 都道府県コード(R01000〜R47000)の行のみ抽出
pref_mask = df_raw['Code'].str.match(r'^R\d{5}$', na=False)
df_pref = df_raw[pref_mask].copy().reset_index(drop=True)

year_col = df_pref.columns[0]  # 'SSDSE-B-2026'
df_pref[year_col] = pd.to_numeric(df_pref[year_col], errors='coerce')

# 数値変換
num_cols = ['L3221', 'L322101', 'L322108', 'L322109',
            'A1101', 'A1303', 'A5102',
            'L3221', 'C5401', 'B4101', 'B4109']
for c in num_cols:
    if c in df_pref.columns:
        df_pref[c] = pd.to_numeric(df_pref[c], errors='coerce')

print("=" * 60)
print("■ SSDSE-B 都道府県データ読み込み完了")
print(f"  全行数: {len(df_pref)}(47都道府県 × 12年)")
print(f"  年度: {sorted(df_pref[year_col].dropna().astype(int).unique())}")
print("=" * 60)
▼ 実行結果
============================================================
■ SSDSE-B 都道府県データ読み込み完了
  全行数: 564(47都道府県 × 12年)
  年度: [np.int64(2012), np.int64(2013), np.int64(2014), np.int64(2015), np.int64(2016), np.int64(2017), np.int64(2018), np.int64(2019), np.int64(2020), np.int64(2021), np.int64(2022), np.int64(2023)]
============================================================
💡 解説
  • pd.read_csv(...) でCSVを読み込みます。encoding='cp932' は日本語Windows由来の文字コード、header=1 は「2行目を列名として使う」。
  • df['地域コード'].str.match(r'^R\d{5}', ...) — 正規表現で「R+数字5桁」の行(47都道府県)だけTrueにし、真偽値で行をフィルタ。
  • .astype(int) — 列を整数に変換(年度などを数値比較するため)。
💡 Python TIPS df['A'] / df['B'] — pandasの列同士の四則演算は要素ごと(element-wise)。forループ不要なのが強み。
3. 時系列分析
1
時系列分析:食料費割合の上昇トレンド

2012〜2023年の47都道府県平均値を用いて、消費支出内の食料費・教育費・教養娯楽費の割合の推移を分析する。

消費支出内訳の時系列推移
図1:消費支出内訳の時系列推移(2012〜2023年)。食料費割合が長期的に上昇(赤)、教養娯楽費は2020年コロナ禍で急落(緑)。
📌 この時系列グラフの読み方
このグラフは
横軸を時間(年度)、縦軸を指標の値として変化を折れ線で描いたグラフ。
読み方
線が右上がりなら増加トレンド、右下がりなら減少トレンド。急な折れ目が変化点(政策導入・コロナなど)を示す可能性がある。
なぜそう解釈できるか
複数の線(都道府県や指標)を重ねると、どの地域・変数が早く動いたか(リード・ラグ関係)が視覚的にわかる。
変数2012年2023年変化r(年との相関p値有意
食料費割合23.3%27.2% +3.9ポイント↑ r=0.961p<0.001***
教育費割合4.0%3.2% −0.7ポイント↓ r=−0.660p=0.020*
教養娯楽費割合9.7%9.3% −0.3ポイント↓ r=−0.737p=0.006**
時系列分析の結果
  • 食料費割合の有意な上昇(r=0.961, p<0.001): 2012年の23.3%から2023年の27.2%へ12年間で約4ポイント上昇。食料価格の上昇(物価高)が主因と考えられる。
  • 2020年のコロナ禍の影響: 外食禁止・旅行自粛で食料費割合が急上昇(27.0%)、教養娯楽費が急落(8.7%)した。コロナ禍は食の内食化・内向化を引き起こした。
  • 教育費・教養娯楽費の低下: 食料費の増加に対して他支出が圧迫されており、エンゲル係数の上昇と同様の構造を示す。

DS LEARNING POINT 2

時系列トレンドの検定

時系列データのトレンドを検定する方法は複数ある。単純なピアソン相関(年との相関)は線形トレンドの有無を示すが、データが独立でない点(系列相関)に注意が必要。

from scipy import stats # 線形トレンド検定(年 vs 指標値) years = ts.index.values.astype(float) r, p = stats.pearsonr(years, ts['food_pct'].values) print(f"食料費割合のトレンド: r={r:.4f}, p={p:.4f}") # 線形回帰でトレンド傾き(年間変化量)を推定 slope, intercept, r_val, p_val, se = stats.linregress(years, ts['food_pct'].values) print(f"年間変化量: {slope:.3f} ポイント/年") # Mann-Kendall検定(モノトニックトレンドの検定) # pip install pymannkendall # import pymannkendall as mk # result = mk.original_test(ts['food_pct'].values) # print(f"Mann-Kendall: tau={result.Tau:.4f}, p={result.p:.4f}")
やってみよう■ 図の生成(4枚)
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fig1, ax1 = plt.subplots(figsize=(10, 5))

years_plot = ts.index.astype(int)
ax1.plot(years_plot, ts['food_pct'].values, 'o-',
         color='#C62828', linewidth=2.2, markersize=6,
         label='食料費割合(%)')
ax1.plot(years_plot, ts['edu_pct'].values, 's--',
         color='#1565C0', linewidth=1.8, markersize=5,
         label='教育費割合(%)')
ax1.plot(years_plot, ts['ent_pct'].values, '^:',
         color='#2E7D32', linewidth=1.8, markersize=5,
         label='教養娯楽費割合(%)')
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • .astype(int) — 列を整数に変換(年度などを数値比較するため)。
  • fig, ax = plt.subplots(...) — 図全体(fig)と軸(ax)を作る定番。以降は ax.bar(...) 等で操作。
💡 Python TIPS r, p = stats.pearsonr(...) — Pythonは複数戻り値を同時に受け取れる(タプルアンパック)。
やってみよう■ 図の生成(4枚) — コロナ禍の影響を示す帯
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# コロナ禍の影響を示す帯
ax1.axvspan(2020, 2021, alpha=0.08, color='gray', label='コロナ禍 (2020-2021)')

# 近似直線(食料費)
z1 = np.polyfit(years_arr, ts['food_pct'].values, 1)
ax1.plot(years_plot, np.poly1d(z1)(years_arr), '--',
         color='#C62828', alpha=0.45, linewidth=1.2)

ax1.set_xlabel('年度', fontsize=12)
ax1.set_ylabel('消費支出に占める割合(%)', fontsize=12)
ax1.set_title('消費支出内訳の時系列推移(2012〜2023年 全国都道府県平均)\n'
              '食料費割合の上昇傾向に注目',
              fontsize=12, fontweight='bold')
ax1.set_xticks(years_plot)
ax1.set_xticklabels([str(y) for y in years_plot], rotation=45, fontsize=9)
ax1.legend(fontsize=10, loc='upper left')
ax1.grid(True, alpha=0.35)
ax1.annotate(f'r={r_food:.3f}\n(p={p_food:.3f})',
             xy=(2020, ts.loc[2020, 'food_pct']),
             xytext=(2017.5, ts['food_pct'].max() - 0.3),
             fontsize=9, color='#C62828',
             arrowprops=dict(arrowstyle='->', color='#C62828', alpha=0.6))

plt.tight_layout()
fig1.savefig(os.path.join(FIG_DIR, '2023_H5_5_fig1_ts.png'), bbox_inches='tight', dpi=150)
plt.close(fig1)
print("\n図1保存: 2023_H5_5_fig1_ts.png")
▼ 実行結果
図1保存: 2023_H5_5_fig1_ts.png
💡 解説
  • このステップでは前のステップで作ったデータを加工しています。コードを上から順に読んでみてください。
💡 Python TIPS x if cond else y三項演算子。リスト内包表記と組み合わせると、forとifを1行で書けます。
4. 相関分析
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相関分析:地域特性と食料費割合

2022年の47都道府県横断面データを用い、食料費割合と各地域特性変数の相関を分析する。N=47と小サンプルであるため、相関係数の解釈は効果量(Cohen's r)も参考にする。

気温と食料費割合の散布図
図2:年平均気温と食料費割合の関係(2022年 N=47都道府県)。寒冷地ほど食料費割合が高い傾向が見られる(r=−0.144)。
住宅地価格と食料費割合の散布図
図3:住宅地平均価格と食料費割合の関係(2022年 N=47都道府県)。都市部(地価高)ほど食料費割合が高い傾向(r=0.345, p<0.05)。
説明変数rp値有意解釈
住宅地価格 0.3450.018* 都市部ほど食料費割合が高い(外食・高価格食品)
消費支出 −0.2810.056n.s. 所得が高い地域ほど食料費比率が低め(他支出も多い)
転出率 0.2070.163n.s. 人口流出地域で食料費割合がやや高い
高齢化率 −0.2410.103n.s. 高齢化が進む地域ほど食料費割合がやや低い
気温 −0.1450.333n.s. 気温との関係は弱い(気候の食料費への影響は限定的)
降水量 0.1000.505n.s. 有意な相関なし
N=47の小サンプル問題 都道府県データはN=47と非常に小さいため、多くの変数で統計的有意性が得られにくい。|r|≥0.3程度でも「中程度の効果量」(Cohen 1988)であり、実質的意義はある可能性がある。p値だけでなく相関係数の大きさにも着目することが重要。
やってみよう図図2 (fig2_temp): 気温 vs 食料費割合(散布図
📝 コード
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fig2, ax2 = plt.subplots(figsize=(9, 6))

temp_vals = X_raw[:, VAR_NAMES.index('気温')]
r_t, p_t = stats.pearsonr(temp_vals, y_vals)

ax2.scatter(temp_vals, y_vals, color='#1565C0', s=55, alpha=0.65, zorder=3, label='都道府県')
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • fig, ax = plt.subplots(...) — 図全体(fig)と軸(ax)を作る定番。以降は ax.bar(...) 等で操作。
  • stats.pearsonr(x, y) — Pearson相関係数 r と p値を同時に返します。
💡 Python TIPS x if cond else y三項演算子。リスト内包表記と組み合わせると、forとifを1行で書けます。
やってみよう図図2 (fig2_temp): 気温 vs 食料費割合(散布図) — 回帰直線
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# 回帰直線
z2 = np.polyfit(temp_vals, y_vals, 1)
xs2 = np.linspace(temp_vals.min(), temp_vals.max(), 100)
ax2.plot(xs2, np.poly1d(z2)(xs2), 'r-', linewidth=1.8, alpha=0.75, label=f'近似直線 r={r_t:.3f}')

# 代表都道府県にラベル
highlight = {'北海道': '#C62828', '東京都': '#2E7D32', '沖縄県': '#FF8F00',
             '青森県': '#6A1B9A', '大阪府': '#1565C0'}
for i, pname in enumerate(pref_names):
    if pname in highlight:
        ax2.annotate(pname,
                     xy=(temp_vals[i], y_vals[i]),
                     xytext=(temp_vals[i] + 0.3, y_vals[i] + 0.05),
                     fontsize=9, color=highlight[pname],
                     arrowprops=dict(arrowstyle='->', color=highlight[pname], alpha=0.7))
        ax2.scatter([temp_vals[i]], [y_vals[i]],
                    color=highlight[pname], s=90, zorder=5)

ax2.set_xlabel('年平均気温(℃)', fontsize=12)
ax2.set_ylabel('食料費割合(食料費 / 消費支出 × 100, %)', fontsize=12)
ax2.set_title(f'気温と食料費割合の関係(2022年 N={N}都道府県)\n'
              f'気候条件と食消費の地域差',
              fontsize=12, fontweight='bold')
ax2.legend(fontsize=10)
ax2.grid(True, alpha=0.3)

sig_text = f'r={r_t:.4f},  p={p_t:.4f}'
sig_text += '  (***)' if p_t < 0.001 else '  (**)' if p_t < 0.01 else '  (*)' if p_t < 0.05 else '  (n.s.)'
ax2.text(0.98, 0.04, sig_text, transform=ax2.transAxes,
         ha='right', fontsize=9.5, color='#333',
         bbox=dict(boxstyle='round,pad=0.3', facecolor='#FFF9C4', edgecolor='#F9A825', alpha=0.8))

plt.tight_layout()
fig2.savefig(os.path.join(FIG_DIR, '2023_H5_5_fig2_temp.png'), bbox_inches='tight', dpi=150)
plt.close(fig2)
print("図2保存: 2023_H5_5_fig2_temp.png")
▼ 実行結果
図2保存: 2023_H5_5_fig2_temp.png
💡 解説
  • このステップでは前のステップで作ったデータを加工しています。コードを上から順に読んでみてください。
💡 Python TIPS df[col](1列)と df[[col1, col2]](複数列)でカッコの数が違います。リストを渡していると覚えるとミスを減らせます。
5. 重回帰分析
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重回帰分析:食料依存度の決定要因

有意な相関が確認された変数を含む全変数投入の重回帰モデルを推定する。目的変数は食料費割合(%)、説明変数は6変数(N=47都道府県)。

food_ratio = β₀ + β₁(高齢化率) + β₂(消費支出) + β₃(住宅地価格)
        + β₄(気温) + β₅(降水量) + β₆(転出率) + ε
変数回帰係数標準誤差t値p値有意
定数項 45.634.849.42 0.000***
高齢化率 −0.1410.075−1.878 0.068n.s.
消費支出 −0.0000180.000004−4.438 0.000***
住宅地価格 +0.0000110.0000061.906 0.064n.s.
気温 −0.3010.087−3.457 0.001**
降水量 +0.00050.00031.683 0.100n.s.
転出率 +0.5130.8400.611 0.544n.s.
重回帰分析の結果(=0.474, 調整=0.395, F検定 p=0.0002)
  • 消費支出(負・有意 p<0.001): 消費支出が多い豊かな地域ほど食料費割合が低い。消費支出が増えると他支出(旅行・教育等)も増えるため、食料費の相対比率が下がる。
  • 気温(負・有意 p=0.001): 気温が低い(寒冷な)地域ほど食料費割合が高い傾向。寒冷地では暖房費も高く、食費も相対的に高い可能性がある。
  • モデル全体のF検定:p=0.0002。6変数で分散の47.4%を説明(=0.474)。N=47の小サンプルとしては十分な説明力。

DS LEARNING POINT 3

小サンプル回帰の注意点(N=47)

都道府県データ(N=47)で多変数の重回帰を行う場合、自由度が小さくなり推定が不安定になりやすい。一般に「変数1つあたりサンプル数10〜20以上」が目安。6変数ならN≥60〜120が望ましい。N=47では過学習リスクがあり、調整で評価することが重要。

import statsmodels.api as sm # 全変数投入 OLS X = sm.add_constant(X_vars) model = sm.OLS(y, X).fit() print(f" = {model.rsquared:.4f}") print(f"調整 = {model.rsquared_adj:.4f}") # ← N=47では調整が重要 print(f"F統計量 p = {model.f_pvalue:.4f}") # VIF多重共線性の診断) from statsmodels.stats.outliers_influence import variance_inflation_factor for i, col in enumerate(X_vars.columns): vif = variance_inflation_factor(X_vars.values, i) print(f" {col}: VIF={vif:.2f}") # VIF > 10 は多重共線性の懸念あり
やってみよう図図3 (fig3_land): 住宅地価格 vs 食料費割合(散布図
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fig3, ax3 = plt.subplots(figsize=(9, 6))

land_vals = X_raw[:, VAR_NAMES.index('住宅地価格')]
r_l, p_l = stats.pearsonr(land_vals, y_vals)

ax3.scatter(land_vals / 1000, y_vals, color='#E65100', s=55, alpha=0.65, zorder=3, label='都道府県')

z3 = np.polyfit(land_vals, y_vals, 1)
xs3_raw = np.linspace(land_vals.min(), land_vals.max(), 100)
ax3.plot(xs3_raw / 1000, np.poly1d(z3)(xs3_raw), 'r-',
         linewidth=1.8, alpha=0.75, label=f'近似直線 r={r_l:.3f}')
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • fig, ax = plt.subplots(...) — 図全体(fig)と軸(ax)を作る定番。以降は ax.bar(...) 等で操作。
  • stats.pearsonr(x, y) — Pearson相関係数 r と p値を同時に返します。
💡 Python TIPS df[col](1列)と df[[col1, col2]](複数列)でカッコの数が違います。リストを渡していると覚えるとミスを減らせます。
やってみよう図図3 (fig3_land): 住宅地価格 vs 食料費割合(散布図) — 代表都道府県ラベル
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# 代表都道府県ラベル
highlight2 = {'東京都': '#C62828', '大阪府': '#1565C0', '沖縄県': '#FF8F00',
              '北海道': '#2E7D32', '秋田県': '#6A1B9A'}
for i, pname in enumerate(pref_names):
    if pname in highlight2:
        ax3.annotate(pname,
                     xy=(land_vals[i] / 1000, y_vals[i]),
                     xytext=(land_vals[i] / 1000 + 5, y_vals[i] + 0.1),
                     fontsize=9, color=highlight2[pname],
                     arrowprops=dict(arrowstyle='->', color=highlight2[pname], alpha=0.7))
        ax3.scatter([land_vals[i] / 1000], [y_vals[i]],
                    color=highlight2[pname], s=90, zorder=5)

ax3.set_xlabel('住宅地平均価格(千円/m²)', fontsize=12)
ax3.set_ylabel('食料費割合(食料費 / 消費支出 × 100, %)', fontsize=12)
ax3.set_title(f'住宅地価格と食料費割合の関係(2022年 N={N}都道府県)\n'
              f'都市部・農村部での食消費パターンの違い',
              fontsize=12, fontweight='bold')
ax3.legend(fontsize=10)
ax3.grid(True, alpha=0.3)

sig_text3 = f'r={r_l:.4f},  p={p_l:.4f}'
sig_text3 += '  (***)' if p_l < 0.001 else '  (**)' if p_l < 0.01 else '  (*)' if p_l < 0.05 else '  (n.s.)'
ax3.text(0.98, 0.04, sig_text3, transform=ax3.transAxes,
         ha='right', fontsize=9.5, color='#333',
         bbox=dict(boxstyle='round,pad=0.3', facecolor='#FFF9C4', edgecolor='#F9A825', alpha=0.8))

plt.tight_layout()
fig3.savefig(os.path.join(FIG_DIR, '2023_H5_5_fig3_land.png'), bbox_inches='tight', dpi=150)
plt.close(fig3)
print("図3保存: 2023_H5_5_fig3_land.png")
▼ 実行結果
図3保存: 2023_H5_5_fig3_land.png
💡 解説
  • このステップでは前のステップで作ったデータを加工しています。コードを上から順に読んでみてください。
💡 Python TIPS s[:-n]「末尾n文字を除く」/s[n:]「先頭n文字を除く」。スライス [start:stop:step] はリスト・タプル・文字列共通の基本ワザです。
6. ランキング
4
都道府県別 食料費割合ランキング

2022年度の47都道府県を食料費割合でランキングし、食料依存度の地域格差を可視化する。

都道府県別食料費割合ランキング
図4:都道府県別 食料費割合ランキング(2022年)。赤色が食料費割合上位10都道府県。全国平均26.4%。
ランキングの解釈
  • 大阪府(1位): 都市圏の外食・テイクアウト文化、食への支出割合が高い。「食い倒れの街」と称されるように食文化の盛んさが反映されている可能性。
  • 青森県(2位): 農業県でありながら食料費割合が高い。所得水準が相対的に低く、エンゲル係数的に食料費の比率が高くなる効果が考えられる。
  • 地域差の範囲: 最大(大阪30.5%)と最小の差は約7ポイント。同じ日本でも地域によって食消費パターンに大きな格差がある。
やってみよう共通設定
📝 コード
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import numpy as np
import pandas as pd
import matplotlib
matplotlib.use('Agg')
import matplotlib.pyplot as plt
import statsmodels.api as sm
from scipy import stats
import warnings
warnings.filterwarnings('ignore')

plt.rcParams['font.family'] = 'Hiragino Sans'
plt.rcParams['axes.unicode_minus'] = False
plt.rcParams['figure.dpi'] = 150

import os
FIG_DIR = 'html/figures'
DATA_DIR = 'data/raw'
os.makedirs(FIG_DIR, exist_ok=True)
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • import pandas as pd など — 必要なライブラリをまとめて呼び出します。as pd は短い別名(alias)。
  • matplotlib.use('Agg') — グラフを画面表示せずファイルに保存するためのおまじない。
  • plt.rcParams['font.family'] — グラフの日本語表示用フォント指定(Macは Hiragino Sans、Windowsなら Yu Gothic 等)。
  • os.makedirs('html/figures', exist_ok=True) — 図の保存先フォルダを作る(既にあってもOK)。
💡 Python TIPS f"...{x}..."f-string。文字列の中に {変数} と書くだけで埋め込めて、{x:.2f} のように書式も指定できます。
やってみよう時系列分析(2012〜2023)
📝 コード
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print("\n■ 時系列分析:消費支出内訳の推移(全国平均)")

ts = df_pref.groupby(year_col)[['L3221', 'L322101', 'L322108', 'L322109']].mean()
ts['food_pct'] = ts['L322101'] / ts['L3221'] * 100    # 食料費割合(%)
ts['edu_pct']  = ts['L322108'] / ts['L3221'] * 100    # 教育費割合(%)
ts['ent_pct']  = ts['L322109'] / ts['L3221'] * 100    # 教養娯楽費割合(%)
ts = ts.sort_index()

print("\n  年度    食料費%   教育費%   教養娯楽費%")
print("  " + "-" * 38)
for yr, row in ts.iterrows():
    print(f"  {int(yr)}    {row['food_pct']:6.2f}    {row['edu_pct']:5.2f}    {row['ent_pct']:6.2f}")

# 時系列トレンド検定(Mann-Kendall 代替: ピアソン相関 vs 年)
years_arr = ts.index.values.astype(float)
r_food, p_food = stats.pearsonr(years_arr, ts['food_pct'].values)
r_edu,  p_edu  = stats.pearsonr(years_arr, ts['edu_pct'].values)
r_ent,  p_ent  = stats.pearsonr(years_arr, ts['ent_pct'].values)
print(f"\n  食料費割合 トレンド: r={r_food:.4f}, p={p_food:.4f}")
print(f"  教育費割合 トレンド: r={r_edu:.4f},  p={p_edu:.4f}")
print(f"  教養娯楽費 トレンド: r={r_ent:.4f},  p={p_ent:.4f}")
▼ 実行結果
■ 時系列分析:消費支出内訳の推移(全国平均)

  年度    食料費%   教育費%   教養娯楽費%
  --------------------------------------
  2012     23.27     3.95      9.66
  2013     23.36     3.79      9.73
  2014     23.81     3.92      9.65
  2015     24.85     3.64      9.70
  2016     25.16     3.84      9.57
  2017     25.39     3.75      9.60
  2018     25.49     3.87      9.41
  2019     25.54     3.78      9.63
  2020     27.02     3.62      8.71
  2021     26.67     3.80      8.56
  2022     26.45     3.68      8.97
  2023     27.24     3.24      9.26

  食料費割合 トレンド: r=0.9607, p=0.0000
  教育費割合 トレンド: r=-0.6599,  p=0.0195
  教養娯楽費 トレンド: r=-0.7365,  p=0.0063
💡 解説
  • df.groupby('列').apply(関数) — グループごとに関数を適用。時系列や地域別の集計でよく使います。
  • stats.pearsonr(x, y) — Pearson相関係数 r と p値を同時に返します。
  • for _, row in df.iterrows() — DataFrameを1行ずつ取り出すループ。1点ずつ描画したいときに使用。
💡 Python TIPS Seriesの .map() は「1対1の置き換え」、.apply() は「関数を当てる」。辞書なら .map()、ロジックなら .apply()
やってみよう■ 横断面分析(2022年 N=47都道府県)
📝 コード
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print("\n" + "=" * 60)
print("■ 横断面分析(2022年度)")
print("=" * 60)

df_2022 = df_pref[df_pref[year_col] == 2022].copy().reset_index(drop=True)
print(f"  対象: {len(df_2022)}都道府県(2022年度)")
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • このステップでは前のステップで作ったデータを加工しています。コードを上から順に読んでみてください。
💡 Python TIPS [式 for x in リスト]リスト内包表記。forループでappendする代わりに1行でリストを作れます。
やってみよう■ 横断面分析(2022年 N=47都道府県) — 目的変数:食料費割合(代理変数)
📝 コード
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# 目的変数:食料費割合(代理変数)
df_2022['food_ratio']   = df_2022['L322101'] / df_2022['L3221'] * 100
# 説明変数
df_2022['aging_rate']   = df_2022['A1303'] / df_2022['A1101'] * 100   # 高齢化率(%)
df_2022['outflow_rate'] = df_2022['A5102'] / df_2022['A1101'] * 100   # 転出率(%)

VAR_NAMES = ['高齢化率', '消費支出', '住宅地価格', '気温', '降水量', '転出率']
VAR_COLS  = ['aging_rate', 'L3221', 'C5401', 'B4101', 'B4109', 'outflow_rate']

y_vals = df_2022['food_ratio'].values
X_raw  = df_2022[VAR_COLS].values
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • このステップでは前のステップで作ったデータを加工しています。コードを上から順に読んでみてください。
💡 Python TIPS r, p = stats.pearsonr(...) — Pythonは複数戻り値を同時に受け取れる(タプルアンパック)。
やってみよう■ 横断面分析(2022年 N=47都道府県) — 欠損除外
📝 コード
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# 欠損除外
valid = np.all(np.isfinite(X_raw), axis=1) & np.isfinite(y_vals)
X_raw  = X_raw[valid]
y_vals = y_vals[valid]
pref_names = df_2022.loc[valid, 'Prefecture'].values
N = len(y_vals)
print(f"  有効都道府県数: N={N}")
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • このステップでは前のステップで作ったデータを加工しています。コードを上から順に読んでみてください。
💡 Python TIPS x if cond else y三項演算子。リスト内包表記と組み合わせると、forとifを1行で書けます。
やってみよう■ 横断面分析(2022年 N=47都道府県) — 無相関検定
📝 コード
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# 無相関検定
print("\n  無相関検定(ピアソン相関)")
print(f"  {'変数':<12} {'r':>8} {'p値':>10} {'有意':>6}")
print("  " + "-" * 40)
corrs_all = []
pvals_all = []
for name, col in zip(VAR_NAMES, X_raw.T):
    r, p = stats.pearsonr(col, y_vals)
    sig = '***' if p < 0.001 else '**' if p < 0.01 else '*' if p < 0.05 else 'n.s.'
    print(f"  {name:<12} {r:>8.4f} {p:>10.4f} {sig:>6}")
    corrs_all.append(r)
    pvals_all.append(p)
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • stats.pearsonr(x, y) — Pearson相関係数 r と p値を同時に返します。
💡 Python TIPS df[col](1列)と df[[col1, col2]](複数列)でカッコの数が違います。リストを渡していると覚えるとミスを減らせます。
やってみよう■ 横断面分析(2022年 N=47都道府県) — 重回帰分析
📝 コード
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# 重回帰分析
print("\n■ 重回帰分析(全変数投入 OLS)")
X_sm = sm.add_constant(X_raw)
model_full = sm.OLS(y_vals, X_sm).fit()
print(f"  R² = {model_full.rsquared:.4f}, 調整R² = {model_full.rsquared_adj:.4f}")
print(f"  F統計量 p = {model_full.f_pvalue:.4f}")
print(model_full.summary2())
▼ 実行結果
============================================================
■ 横断面分析(2022年度)
============================================================
  対象: 47都道府県(2022年度)
  有効都道府県数: N=47

  無相関検定(ピアソン相関)
  変数                  r         p値     有意
  ----------------------------------------
  高齢化率          -0.2410     0.1027   n.s.
  消費支出          -0.2811     0.0556   n.s.
  住宅地価格          0.3452     0.0175      *
  気温            -0.1445     0.3326   n.s.
  降水量            0.0997     0.5050   n.s.
  転出率            0.2071     0.1626   n.s.

■ 重回帰分析(全変数投入 OLS)
  R² = 0.4740, 調整R² = 0.3951
  F統計量 p = 0.0002
                 Results: Ordinary least squares
=================================================================
Model:              OLS              Adj. R-squared:     0.395   
Dependent Variable: y                AIC:                147.2610
Date:               2026-05-18 11:24 BIC:                160.2121
No. Observations:   47               Log-Likelihood:     -66.631 
Df Model:           6                F-statistic:        6.008   
Df Residuals:       40               Prob (F-statistic): 0.000152
R-squared:          0.474            Scale:              1.1720  
-------------------------------------------------------------------
           Coef.    Std.Err.      t      P>|t|     [0.025    0.975]
-------------------------------------------------------------------
const     45.6322     4.8438    9.4207   0.0000   35.8424   55.4219
x1        -0.1406     0.0749   -1.8783   0.0676   -0.2919    0.0107
x2        -0.0000     0.0000   -4.4377   0.0001   -0.0001   -0.0000
x3         0.0000     0.0000    1.9063   0.0638   -0.0000    0.0000
x4        -0.3011     0.0871   -3.4574   0.0013   -0.4771   -0.1251
x5         0.0005     0.0003    1.6827   0.1002   -0.0001    0.0012
x6         0.5134     0.8397    0.6114   0.5444   -1.1838    2.2106
-----------------------------------------------------------------
Omnibus:             0.329        Durbin-Watson:          1.888  
Prob(Omnibus):       0.849        Jarque-Bera (JB):       0.505  
Skew:                -0.049       Prob(JB):               0.777  
Kurtosis:            2.502        Condition No.:          9074527
=================================================================
Notes:
[1] Standard Errors assume that the covariance matrix of the
errors is correctly specified.
[2] The condition number is large, 9.07e+06. This might indicate
that there are strong multicollinearity or other numerical
problems.
💡 解説
  • sm.add_constant(X) — 切片項(定数1の列)を先頭に追加。statsmodelsで必須。
  • sm.OLS(y, X).fit() — 最小二乗法でモデルを推定。model.params, model.pvalues, model.conf_int() で結果取得。
💡 Python TIPS s[:-n]「末尾n文字を除く」/s[n:]「先頭n文字を除く」。スライス [start:stop:step] はリスト・タプル・文字列共通の基本ワザです。
やってみよう図図4 (fig4_rank): 都道府県別 食料費割合ランキング(横棒グラフ
📝 コード
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fig4, ax4 = plt.subplots(figsize=(10, 8))

# 全47都道府県をソート、上位10件を強調
df_rank = pd.DataFrame({'Prefecture': pref_names, 'food_ratio': y_vals})
df_rank = df_rank.sort_values('food_ratio', ascending=True)  # 横棒グラフ用に昇順

# 全都道府県を薄く描き、上位10を強調
bar_colors = []
threshold_top10 = df_rank['food_ratio'].nlargest(10).min()
for val in df_rank['food_ratio']:
    if val >= threshold_top10:
        bar_colors.append('#C62828')   # 上位10: 赤
    else:
        bar_colors.append('#90CAF9')   # それ以外: 薄い青

bars = ax4.barh(df_rank['Prefecture'], df_rank['food_ratio'],
                color=bar_colors, alpha=0.8, edgecolor='white', height=0.7)
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • fig, ax = plt.subplots(...) — 図全体(fig)と軸(ax)を作る定番。以降は ax.bar(...) 等で操作。
  • sort_values('列名', ascending=False) — 指定列で並べ替え(降順)。
💡 Python TIPS s[:-n]「末尾n文字を除く」/s[n:]「先頭n文字を除く」。スライス [start:stop:step] はリスト・タプル・文字列共通の基本ワザです。
やってみよう図図4 (fig4_rank): 都道府県別 食料費割合ランキング(横棒グラフ) — 値ラベル(上位10のみ)
📝 コード
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# 値ラベル(上位10のみ)
for bar, val, pname in zip(bars, df_rank['food_ratio'], df_rank['Prefecture']):
    if val >= threshold_top10:
        ax4.text(val + 0.05, bar.get_y() + bar.get_height() / 2,
                 f'{val:.1f}%', va='center', fontsize=8.5, fontweight='bold', color='#C62828')

# 全国平均線
national_mean = np.mean(y_vals)
ax4.axvline(national_mean, color='#FF8F00', linestyle='--', linewidth=1.8,
            label=f'全国平均 {national_mean:.1f}%', alpha=0.9)

ax4.set_xlabel('食料費割合(食料費 / 消費支出 × 100, %)', fontsize=11)
ax4.set_title('都道府県別 食料費割合(2022年)\n'
              '食料費割合が高い地域(赤)= 食料依存度が高い傾向',
              fontsize=12, fontweight='bold')
ax4.legend(fontsize=10)
ax4.grid(axis='x', alpha=0.3)
ax4.set_xlim(left=df_rank['food_ratio'].min() - 1)
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • ax.axhline / ax.axvline — 水平/垂直の点線。平均線や基準線として定番。
💡 Python TIPS np.cumsum(arr)累積和np.linspace(a, b, n) は「aからbを等間隔でn個」。NumPyの定石です。
やってみよう図図4 (fig4_rank): 都道府県別 食料費割合ランキング(横棒グラフ) — 凡例補足
📝 コード
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# 凡例補足
from matplotlib.patches import Patch
legend_elements = [
    Patch(facecolor='#C62828', alpha=0.8, label=f'上位10都道府県(≥{threshold_top10:.1f}%)'),
    Patch(facecolor='#90CAF9', alpha=0.8, label='その他'),
]
ax4.legend(handles=legend_elements + [plt.Line2D([0], [0], color='#FF8F00',
           linestyle='--', linewidth=1.8, label=f'全国平均 {national_mean:.1f}%')],
           fontsize=9, loc='lower right')

plt.tight_layout()
fig4.savefig(os.path.join(FIG_DIR, '2023_H5_5_fig4_rank.png'), bbox_inches='tight', dpi=150)
plt.close(fig4)
print("図4保存: 2023_H5_5_fig4_rank.png")

print("\n" + "=" * 60)
print("全図の生成完了(4枚)")
print(f"  fig1_ts.png   : 消費支出内訳 時系列推移(2012〜2023)")
print(f"  fig2_temp.png : 気温 vs 食料費割合 散布図")
print(f"  fig3_land.png : 住宅地価格 vs 食料費割合 散布図")
print(f"  fig4_rank.png : 都道府県別 食料費割合 ランキング")
print(f"  保存先: {os.path.abspath(FIG_DIR)}")
print("=" * 60)
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • import pandas as pd など — 必要なライブラリをまとめて呼び出します。as pd は短い別名(alias)。
💡 Python TIPS f-stringの書式 {値:.2f}(小数2桁)、{値:,}(3桁区切り)、{値:>10}(右寄せ10桁)など、覚えると出力が一気に整います。
やってみよう図図4 (fig4_rank): 都道府県別 食料費割合ランキング(横棒グラフ) — 代理変数の注意書き
📝 コード
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299
# 代理変数の注意書き
print("\n【注意】本分析について")
print("  食料自給率(カロリーベース)は農林水産省が公表しており、")
print("  SSDSE-Bには含まれていない。")
print("  本分析では「食料費 / 消費支出」を代理変数(proxy)として使用。")
print("  この指標は家計の食料依存度を示すが、")
print("  食料自給率(国内生産量 / 消費量)とは概念が異なる点に注意。")
▼ 実行結果
図4保存: 2023_H5_5_fig4_rank.png

============================================================
全図の生成完了(4枚)
  fig1_ts.png   : 消費支出内訳 時系列推移(2012〜2023)
  fig2_temp.png : 気温 vs 食料費割合 散布図
  fig3_land.png : 住宅地価格 vs 食料費割合 散布図
  fig4_rank.png : 都道府県別 食料費割合 ランキング
  保存先: /Users/shimpei/Dropbox/Works_Researches/2026 統計・データ解析コンペ/html/figures
============================================================

【注意】本分析について
  食料自給率(カロリーベース)は農林水産省が公表しており、
  SSDSE-Bには含まれていない。
  本分析では「食料費 / 消費支出」を代理変数(proxy)として使用。
  この指標は家計の食料依存度を示すが、
  食料自給率(国内生産量 / 消費量)とは概念が異なる点に注意。
💡 解説
  • このステップでは前のステップで作ったデータを加工しています。コードを上から順に読んでみてください。
💡 Python TIPS plt.subplots(figsize=(W, H)) で図サイズ指定、fig.savefig(..., bbox_inches='tight') で余白を自動で詰めて保存。

まとめと政策的示唆

主要な発見

  1. 食料費割合の長期上昇(時系列分析): 2012〜2023年に食料費割合が23.3%→27.2%へ上昇(r=0.961, p<0.001)。食料価格高騰が家計を直撃している構造が統計的に確認された。
  2. コロナ禍の食消費変化: 2020年のコロナ禍で食料費割合が急上昇・教養娯楽費が急落。外出規制が食の内食化を促進し、家庭調理・食料購入が増加した。
  3. 都市部ほど食料費割合が高い(横断面分析): 住宅地価格との正の相関(r=0.345, p=0.018)が有意。都市部では外食・高価格食品への支出が多く、食料費割合が高くなる傾向がある。
  4. 消費支出・気温が重回帰で有意(重回帰分析): 豊かな地域(消費支出大)ほど食料費割合が低く、寒冷地ほど高い。食料自給率向上のためには地域の経済力と気候・農業条件を総合的に考慮する必要がある。
食料自給率向上への示唆 本分析から、食料費の消費支出比率上昇は家庭レベルで食料コストが増大していることを示す。自給率向上のためには (1) 国内農業生産の拡大(特に低自給率の穀物・飼料作物)、(2) 食料消費パターンの国産品シフト促進、(3) 農村部の過疎化・農家後継者問題への対応が必要と考えられる。

DS LEARNING POINT 4

分析の限界と今後の課題

本分析は「食料費割合」を代理変数として使用しており、農林水産省公表の「食料自給率(カロリーベース)」とは異なる指標である点を強調する。代理変数を使う場合は常に「真の指標との乖離」を認識し、結論を慎重に述べることが科学的誠実さにつながる。

# 本分析の代理変数と真の指標の違い # 食料費割合(本分析): 家計の食料消費支出 / 総消費支出 # → 家計の食料への支出パターンを反映 # → 外食・輸入食品への支出も含まれる # 食料自給率(農林水産省): 国内生産カロリー / 国内消費カロリー # → 国レベルの生産・消費バランスを反映 # → 都道府県別データは入手困難 # → 代理変数を使う際のベストプラクティス: # 1. 代理変数であることを明示する # 2. 真の指標との相関・妥当性を可能な範囲で確認する # 3. 解釈を代理変数の意味の範囲内に留める
教育的価値(この分析から学べること)
  • 食料自給率の構造:カロリーベースと生産額ベースで大きく数値が違う。指標選択の重要性。
  • 代理変数アプローチ:自給率の直接データがない場合は、農家数・農地面積・作付け面積などで代理する。
  • 政策含意:自給率向上には需要側(食生活)と供給側(生産)の両面が必要。

データ・コードのダウンロード

分析スクリプト(2023_H5_5_shorei.py)
データ出典
SSDSE-B 都道府県データ(2026年版)統計数理研究所 SSDSE(https://www.nstac.go.jp/use/literacy/ssdse/)
食料自給率(参考値)農林水産省 食料需給表(https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/)
家計調査(消費支出内訳)総務省 家計調査(SSDSE-B L列に収録)

本教育用コードはSSDSE-B-2026.csvの実データを使用(合成データは使用していません)。

教育用再現コード | 2023年 統計データ分析コンペティション 審査員奨励賞 [高校生の部]

⚠️ よくある誤解と注意点

統計分析の解釈で初心者がやりがちな勘違いをまとめます。特に「相関因果の混同」「p値の過信」は研究現場でもよく起きる落とし穴です。本文を読む前にも、読んだ後にも、目を通してみてください。

❌ 「相関がある=因果関係がある」ではない
疑似相関spurious correlationとは、見かけ上は関係があるように見えるが、実際は無関係、または第三の変数(交絡変数)が両方に影響しているだけの現象です。

古典例: アイスクリームの売上 と 水難事故件数 は強く相関するが、片方が他方を引き起こしているわけではない。両者とも「夏の暑さ」という第三の変数に引きずられているだけ。

論文を読むときの心構え: 「○○と△△に強い相関が見られた」だけで終わっている主張は、本当に因果関係があるのか、それとも第三の変数(人口・所得・地理など)が共通要因として効いているだけではないかを必ず疑ってください。
❌ 「p値が小さい=重要な発見」ではない
p値が小さい(例えば p < 0.001)ことは「統計的に偶然とは考えにくい」という意味であって、「実用的に大きな効果がある」という意味ではありません。

例: 巨大なサンプルサイズ(n=100,000)では、相関係数 r=0.02 でも p < 0.001 になります。しかし r=0.02 は実用上ほぼ無視できる関係です。

正しい読み方: p値効果量係数の大きさ、相関係数の値)の両方をセットで判断してください。p値だけで「重要な発見」と結論づけるのは誤りです。
❌ 「回帰係数が大きい=重要な変数」ではない
回帰係数の絶対値は、説明変数単位に強く依存します。「年収(万円)」と「失業率(%)」の係数を直接比較しても意味がありません。

正しい比較方法: (1) 標準化係数(各変数を平均0・分散1に変換した上での係数)を使う、(2) 限界効果(変数を1標準偏差動かしたときのyの変化)で比較する。

また、係数の大きさが「因果関係の強さ」を意味するわけでもありません。あくまで「相関的な関連の強さ」です。
❌ 「外れ値を除外すれば正しい結果」ではない
外れ値(極端な値)を「目障りだから」「結果が綺麗にならないから」という理由で除外するのは分析の改ざんに近い行為です。

外れ値が示すもの: 本当に重要な情報(東京の超高密度、北海道の超低密度など)であることが多い。外れ値を取り除くと「日本全体の傾向」を見誤る原因になります。

正しい対処: (1) 外れ値の出現要因を調査する(なぜ東京だけ突出するのか)、(2) ノンパラメトリック手法(Spearman相関Kruskal-Wallis)を使う、(3) 外れ値を含む結果と除外した結果の両方を提示し、解釈を読者に委ねる。
❌ 「サンプルサイズが大きい=信頼できる」ではない
サンプルサイズ(n)が大きいと統計的検定の検出力は上がりますが、それは「偶然による誤差を減らす効果」にすぎません。

nが大きくても解消されない問題:
選択バイアス標本が偏っている)
測定誤差(変数の定義が曖昧)
欠損値のパターン(欠損がランダムでない)
交絡変数の見落とし

例: 1万人にWeb調査して「ネット利用と幸福度は強く相関」と言っても、そもそも回答者がネットユーザー寄りに偏っているため、母集団全体の結論にはなりません。
❌ 「複雑なモデル=より良い分析」ではない
ランダムフォレストニューラルネット・複雑な階層モデルなど、高度な手法を使えば「良い分析」と感じがちですが、必ずしもそうではありません。

過学習(overfitting)の罠: モデルが複雑すぎると、訓練データ偶然のパターンまで学習してしまい、新しいデータでは予測精度が落ちます。

シンプルさの価値: 重回帰分析相関分析は「結果が解釈しやすい」「再現性が高い」という大きな利点があります。複雑な手法はシンプルな手法で答えが出ない時の最後の手段です。
❌ 「多重共線性は気にしなくていい」ではない
多重共線性とは、説明変数同士の相関が極めて強い状態のこと。これを放置すると、回帰係数符号や大きさが入れ替わる異常事態が起こります。

典型例: 「総人口」と「労働力人口」を同時に投入すると、両者の相関が r=0.99 になり、係数推定が極端に不安定になります。「総人口は正だが、労働力人口は負」のような解釈不能な結果になりがちです。

診断と対処:
VIF(分散拡大係数)を計算し、VIF > 10 の変数を確認
相関行列で |r| > 0.8 のペアをチェック
・対処法:一方を除外、合成変数(PCA)に変換、Ridge回帰で安定化
❌ 「R²が高い=良いモデル」ではない
決定係数 R² はモデルの「当てはまりの良さ」を示しますが、 が高くてもモデルが正しいとは限りません

が高くなる罠:
説明変数を増やせば は自動的に上がる(無関係な変数を追加してもは下がらない)
時系列データでは、共通のトレンド(時間とともに増加)があるだけで が 0.9 を超える
サンプルサイズが小さいとが過大評価される

代替指標: 調整済み (変数の数でペナルティ)AICBICモデル選択基準)を併用してください。予測力の真の評価には交差検証(cross-validation)テストデータ を見ること。
❌ 「ステップワイズで選んだ変数は重要」ではない
ステップワイズ法(バックワード・フォワード選択)は便利ですが、p値ベースの変数選択は再現性に問題があると批判されています。

問題点:
同じデータでも実行順序によって最終モデルが変わる
p値を繰り返し見ることで「偶然に有意な変数」を拾ってしまう(p-hacking
係数標準誤差が過小評価され、信頼区間が嘘っぽくなる

より良い方法:
事前に変数を理論で絞る(先行研究から候補を選ぶ)
LASSO回帰(自動かつ統計的に正当化された変数選択)を使う
交差検証AIC/BIC 最小モデルを選ぶ
❌ 「線形回帰なら線形関係を前提にすべき」
重回帰分析線形関係を前提とします。実際の関係が非線形なのに線形モデルで分析すると、本当の関係を見逃します

非線形の例:
U字型関係: 失業率と物価上昇率(フィリップス曲線)
逓減効果: 所得と幸福度(年収 800万円までは強い正の効果、それ以上は飽和)
閾値効果: 高齢化率と医療費(ある水準を超えると急激に上がる)

診断と対処:
残差プロット残差が0周辺に均等に分布しているか確認
変数の対数変換・二乗項追加で非線形性を取り込む
・どうしても線形では捉えられないなら、機械学習RF・GBM)を併用する
❌ 「データに当てはまった=予測に使える」ではない
「過去のデータでフィットしたから将来も予測できる」と思うのは危険です。

過学習(overfitting)の例: 47都道府県のデータに10個の説明変数を投入すれば、ほぼ完璧にフィットします(自由度がほぼゼロ)。でもそのモデルを新しい年度に適用すると、予測精度はほぼランダム並みに落ちることがあります。

正しい予測力の評価:
・データを訓練用 70%テスト用 30%に分割し、テスト用での予測精度を見る
k分割交差検証(k-fold CV)で予測の安定性を確認
・「説明変数の数 ≪ サンプルサイズ」のバランスを意識(目安:n > 10 × 変数数)

📖 用語集(この記事に出てくる統計用語)

統計の基本用語を初心者向けに解説します。本文中で見慣れない言葉が出てきたら、ここに戻って確認してください。

p値
「効果がない」と仮定したときに、観察されたデータ(またはより極端なデータ)が得られる確率。0〜1の値で、慣例的に 0.05(5%)未満を「有意」と判断する。
有意水準
「偶然」と「意味のある違い」を分ける基準。通常 α=0.05(5%)を使う。p値 < α なら「有意」と判定。
信頼区間
「真の値はこの範囲にあるだろう」という幅。95%信頼区間 = 同じ実験を100回繰り返したら95回はこの範囲に真の値が入る。
サンプルサイズ
分析に使ったデータ点の数(n)。一般にnが大きいほど推定が安定し、わずかな差も検出できるようになる。
標準誤差
推定値(係数など)のばらつきの目安。標準誤差が小さいほど推定値が安定している。
正規分布
釣鐘型の左右対称な分布。多くのパラメトリック検定(t検定F検定など)は「データが正規分布に従う」ことを仮定する。
因果相関
相関がある」と「原因と結果の関係(因果)」は別物。アイスクリームの売上と水難事故は相関するが、原因は両者とも「夏の暑さ」。
外れ値
他のデータから極端に離れた値。分析結果を歪める原因になるため、検出して除外するか別途扱う必要がある。
欠損値
データが取得できなかった部分(NaN・空白)。除外するか補完(平均代入・回帰代入など)するかが分析上の重要な判断点。
VIF
Variance Inflation Factor分散拡大係数)。多重共線性の強さを示す指標。VIF > 10 で「強い多重共線性あり」と判断。
交絡変数
「真の原因」と「結果」の両方に影響する第三の変数。これを統制しないと、見かけ上の関係を真の因果と誤認する。
係数回帰係数
説明変数 x が1単位増えたとき、目的変数 y が平均でどれだけ変化するか」を示す数値。正の値は正の影響、負の値は負の影響。
内生性
説明変数と誤差項が相関している状態。逆因果交絡変数の存在で発生する。これを放置すると係数推定にバイアスが生じる。
多重共線性
説明変数同士の相関が強すぎる状態。係数推定が不安定になり、解釈を誤る原因になる。VIF > 10 が警告サイン。
標準化係数
変数の単位の影響を取り除いた係数。複数の変数の影響の大きさを単位に依存せず比較するために使う。
決定係数 R²
回帰モデル目的変数のばらつきの何%を説明できるかを示す指標。0〜1の値で、1に近いほどモデルの説明力が高い。

📐 使っている手法をわかりやすく解説

統計手法について「何のためか」「結果をどう読むか」を初心者向けに解説します。

◆ 統計の基本概念(どの論文にも共通)

🔍 p値有意確率)とは
何?
「もし本当に効果がなかったとしたら、今回の結果(またはもっと極端な結果)が偶然起きる確率」のこと。
なぜ必要?
帰無仮説(「効果なし」の仮定)のもとで検定統計量の分布から計算する。
何がわかる?
「この関係は偶然ではなく、統計的に意味がある」と主張するための客観的な根拠になる。
読み方
p < 0.05(5%未満)を「統計的に有意」と判断するのが慣例。ただし「p値が小さい=効果が大きい」ではない。効果量係数の大きさ)とセットで判断する。
🗂️ ノンパラメトリック検定とは(なぜ使うのか)
何?
「データが正規分布に従う」という仮定を置かない検定手法の総称。Kruskal-Wallis検定・Mann-Whitney U検定などが代表例。
なぜ必要?
データの値ではなく「順位」に変換して検定統計量を計算する。外れ値や偏った分布に対しても安定して機能する。
何がわかる?
サンプルサイズが小さい・データが歪んでいる・外れ値がある場合でも、グループ差の有無を検定できる。
読み方
「なぜノンパラメトリックを選ぶのか」の理由を示すには、正規性検定(Shapiro-Wilk)の結果を添えるのが望ましい。結果の解釈は対応するパラメトリック検定と同様(p < 0.05 で有意差あり)。

◆ この論文で使われている手法

📈 重回帰分析
何?
複数の説明変数(原因候補)が1つの目的変数(結果)にどれだけ影響するかを同時に推定する手法。
どう使う?
目的変数 y を複数の説明変数 x₁, x₂, … で予測する式(y = a₁x₁ + a₂x₂ + … + b)を最小二乗法でフィットさせる。
何がわかる?
複数の要因が混在するなかで「どれが一番効いているか」を一度に検証できる。交絡変数を統制できる。
結果の読み方
係数(a₁, a₂…)のプラスは正の影響、マイナスは負の影響。p < 0.05 で統計的に有意。が1に近いほどモデルの説明力が高い。
⚠️ 注意点
(1) 多重共線性を必ずVIFで確認(VIF>10で警告)。(2) 線形性の仮定—関係が曲線なら対数変換や二乗項を追加。(3) 残差プロット正規性・等分散性を確認。(4) サンプル数は最低でも「説明変数数×10」が目安。(5) 外れ値1つ係数が大きく変わるのでCook距離で確認。
🔗 相関分析
何?
2つの変数の「一緒に増減する傾向の強さと向き」を −1〜+1 の相関係数 r で数値化する手法。
どう使う?
散布図を描き、Pearson(連続データ)または Spearman(順序データ・外れ値に強い)の相関係数を計算する。
何がわかる?
「気温が高い県ほど熱中症指標が高い」などの傾向を素早く確認できる。変数選択の第一歩として使われることも多い。
結果の読み方
r > +0.7 は強い正の相関、r < −0.7 は強い負の相関、|r| < 0.3 はほぼ無相関相関因果関係を示すものではない点に注意。
⚠️ 注意点
(1) 多重共線性を必ずVIFで確認(VIF>10で警告)。(2) 線形性の仮定—関係が曲線なら対数変換や二乗項を追加。(3) 残差プロット正規性・等分散性を確認。(4) サンプル数は最低でも「説明変数数×10」が目安。(5) 外れ値1つ係数が大きく変わるのでCook距離で確認。
🏛️ パネルデータ固定効果モデルFE
何?
複数の個体(都道府県など)を複数時点で観測したパネルデータから、個体固有の見えない差を取り除いて時間変化の効果を推定する手法。
どう使う?
各個体の平均を引く「within 変換」で、観察できない固有特性(北海道は寒いなど)を自動的に統制する。
何がわかる?
「東京だから人口が多い」ではなく「この政策が人口を増やした」という効果を分離して推定できる。
結果の読み方
係数の解釈は通常の回帰と同じ。Hausman 検定で固定効果モデルの妥当性を確認する。
⚠️ 注意点
(1) 多重共線性を必ずVIFで確認(VIF>10で警告)。(2) 線形性の仮定—関係が曲線なら対数変換や二乗項を追加。(3) 残差プロット正規性・等分散性を確認。(4) サンプル数は最低でも「説明変数数×10」が目安。(5) 外れ値1つ係数が大きく変わるのでCook距離で確認。
📅 時系列分析
何?
時間順に並んだデータのトレンドや周期性、変化点を分析する手法群の総称。
どう使う?
折れ線グラフでトレンドを視覚化し、移動平均指数平滑・AR/MA モデルを適用する。
何がわかる?
「出生率がいつから下がり始めたか」「コロナ前後で変化したか」などの変化を客観的に捉えられる。
結果の読み方
傾きが正なら上昇トレンド、負なら下降トレンド。変化点の前後で傾きが変わる場合は構造変化として解釈する。
⚠️ 注意点
(1) 多重共線性を必ずVIFで確認(VIF>10で警告)。(2) 線形性の仮定—関係が曲線なら対数変換や二乗項を追加。(3) 残差プロット正規性・等分散性を確認。(4) サンプル数は最低でも「説明変数数×10」が目安。(5) 外れ値1つ係数が大きく変わるのでCook距離で確認。
↔️ VAR(ベクトル自己回帰)/ Granger因果検定
何?
複数の時系列変数が互いに影響し合う関係を分析する手法(VAR)と、「AがBの予測に役立つか」を検定する手法(Granger因果)。
どう使う?
VARは全変数を互いに説明変数として同時回帰Granger因果F検定でAのラグ変数がBの予測精度を向上させるかを確認する。
何がわかる?
「女性就業率と出生率はどちらが先に動くか」「リード・ラグ関係」を特定できる。
結果の読み方
Granger因果 p < 0.05 → 「Aの過去値はBの予測に役立つ」(ただし真の因果とは限らない)。
⚠️ 注意点
(1) 多重共線性を必ずVIFで確認(VIF>10で警告)。(2) 線形性の仮定—関係が曲線なら対数変換や二乗項を追加。(3) 残差プロット正規性・等分散性を確認。(4) サンプル数は最低でも「説明変数数×10」が目安。(5) 外れ値1つ係数が大きく変わるのでCook距離で確認。

🚀 発展の可能性(結果 X → 新仮説 Y → 課題 Z)

この研究をさらに発展させるための3つの方向性を示します。「今回わかったこと(X)」から「次に検証すべき仮説(Y)」を立て、「具体的に何をするか(Z)」まで考えてみましょう。

① データ・時間的拡張
結果 X
本論文は特定の年度・地域の断面データ(または限られた時系列)で分析を行った。
新仮説 Y
より新しい年度のデータや市区町村レベルの細粒度データを使えば、知見の時間的頑健性や地域内格差を検証できる。
課題 Z
(1)統計センターから最新の SSDSE をダウンロードし、同じ分析を再実行する。(2)結果が変わった場合、その要因(コロナ・政策変化など)を考察する。(3)市区町村データ(SSDSE-A/C/F)で分析単位を細かくした場合の結果と比較する。
② 手法の発展:重回帰分析 の次のステップ
結果 X
本論文は 重回帰分析 を用いた推定を行った。
新仮説 Y
パネルデータ固定効果モデルFE)による都道府県固有の差の統制 により、本分析では統制できていない問題を解消できる可能性がある。
課題 Z
(1)パネルデータ固定効果モデルFE)による都道府県固有の差の統制 を実装し、本論文の係数推定と比較する。(2)操作変数法IV)による内生性の解消 も試し、結果の頑健性を確認する。(3)推定結果の変化から、元の分析の仮定のどれが重要だったかを考察する。
③ 政策提言・実践への応用
結果 X
本論文は分析結果から特定の変数が目的変数に影響することを示した。
新仮説 Y
分析対象を日本全国から特定地域に絞ること、または逆に国際比較に拡張することで、政策の移転可能性と文脈依存性を検証できる。
課題 Z
(1)有意な変数を「政策で変えられるもの」と「変えにくいもの」に分類する。(2)政策で変えられる変数について、係数の大きさから「どれだけ変えればどれだけ効果があるか」を試算する。(3)自治体・政策立案者への提言として、実現可能なアクションプランを1枚にまとめる。

🎯 自分でやってみよう(5つのチャレンジ)

学んだだけでは身につきません。実際に手を動かすのが最強の学習方法です。本論文のスクリプトをベースに、以下のチャレンジに挑戦してみてください。難易度別に5つ用意しました。

★☆☆☆☆ 入門
CH1. 同じデータで分析を再現する
まずは付属の Python スクリプトをそのまま実行し、論文と同じ図を再現してみてください。
ポイント: 各図がどのコード行から生成されているか辿る。エラーが出たら原因を考える。
★★☆☆☆ 初級
CH2. 説明変数を1つ追加・除外して結果を比較
本論文の分析モデルから説明変数を1つ抜いて再実行、あるいは1つ追加して再実行してください。
ポイント: 係数p値 がどう変わったか観察する。多重共線性が原因で結果が変わる例を見つけられたら理想的。
★★★☆☆ 中級
CH3. 別の年度・別の都道府県で同じ分析を試す
SSDSE の別の年度(例:2015年度・2020年度)または特定都道府県のみのデータで同じ分析を実行してください。
ポイント: 時代や地域によって結論が変わるか? 変わるならその理由を考察する。
★★★★☆ 上級
CH4. 別の手法を組み合わせる
本論文の手法 + 1つの追加手法(例:重回帰 + LASSO相関分析 + 主成分分析)で結果を比較してください。
ポイント: 手法の違いで結論が変わるか? どちらが妥当かを「なぜ」とともに説明できるように。
★★★★★ 発展
CH5. オリジナルの問いを立てて分析する
本論文の手法を借りて、あなた自身の問いを立てて分析してください。 例:「カフェの数と幸福度に関連はあるか」「教育費の高い県は出生率も高いか」など。
ポイント: 問い・データ・手法・結論を1ページのレポートにまとめる。これがデータサイエンスの「実践」。
💡 ヒント: 詰まったら本サイトの他の論文(同じ手法を使っている)のスクリプトをコピーして組み合わせるのが効率的です。手法ガイド・用語集も参考に。

💼 この手法は実社会でこう使われている

本論文で学んだ手法は、研究の世界だけでなく、行政・企業・NPO の現場でも様々に活用されています。具体的なシーンを紹介します。

🏛️
行政の政策立案
都道府県・市区町村の政策担当者は、本論文と同様のデータ分析を用いて「どこに予算を投じれば効果が出るか」を検討します。 例えば医療費削減策、移住促進策、子育て支援策などの効果予測・効果検証に直結します。
🏢
企業のマーケティング・出店戦略
小売チェーン・サービス業の出店戦略では、地域特性(人口構成、所得、ライフスタイル)と売上の関係を本論文と同じ手法で分析します。 ECサイトでも顧客セグメント分析・購買要因分析に類似手法が使われます。
🏥
医療・公衆衛生
感染症の流行予測、医療資源配分の最適化、健康格差の地域要因分析などで、本論文の統計手法は標準的に使われています。 WHO・厚労省レベルの政策評価でも同じ手法が活躍しています。
📊
メディア・ジャーナリズム
新聞・テレビの社会調査記事、選挙予測、世論調査の分析でも、本論文と同じ手法(回帰分析・クラスタリングなど)が使われています。 データジャーナリズムの記事はこの種の分析が中核です。
🎓
学術研究(隣接分野)
経済学・社会学・公衆衛生学・教育学・地理学などの実証研究では、本論文と同じ手法が日常的に使われます。 専門誌に掲載される論文の8割以上が、こうした統計手法に基づいて結論を出しています。
💰
金融・保険業界
与信判断(融資審査)、保険料の地域別設定、不動産価格予測などで、本論文と同様のモデリング手法が広く活用されています。 統計分析の能力は金融業界の必須スキルになっています。

🤔 よくある質問(読者からの想定Q&A)

この論文を読んで初心者が抱きやすい疑問に、教育的観点から答えます。

Q1. この分析、自分でもできますか?
はい、できます。SSDSE データは無料で公開されており、Python の pandas, scikit-learn, statsmodels を使えば全く同じ手順で再現可能です。本ページ下部のスクリプトを実行するだけで結果が得られます。
Q2. 使われている手法は他の分野にも応用できますか?
十分応用可能です。本論文の[手法]は、医療・教育・経済・環境など他のドメインでも標準的に使われる手法です。データの中身(変数)を入れ替えるだけで、別の問いにも適用できます。
Q3. 結論は本当に「因果関係」を示していますか?
本論文は「観察データ」を使った分析であり、厳密な意味での「因果関係」を完全に証明したわけではありません。あくまで「強い関連が見られた」という事実を提示しているにとどまります。真の因果を示すには、無作為化比較試験(RCT)か、自然実験を活用したIVDiD 等の手法が必要です。
Q4. データの最新版を使うとどうなりますか?
SSDSE は毎年更新されているため、最新版を使えば近年のトレンド(特にコロナ禍以降の変化)も含めて分析できます。ただし、結論が変わる可能性もあります。それ自体が新しい発見につながります。
Q5. もっと深く学ぶには何を読めばいいですか?
「計量経済学」「データサイエンス入門」「統計的因果推論」などのテキストが入門に向いています。Python の場合は『Python ではじめる機械学習』(オライリー)、R の場合は『R で学ぶ統計学』が定番です。本サイトの他の論文も読み比べてみてください。