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統計活用奨励賞(大学生・一般の部)| 2022年度

生活系ごみ排出量と事業系ごみ排出量による回帰分析

⏱️ 推定読了時間: 約37分
目的変数: 1人1日当たりの排出量(g/人/日) | データ: SSDSE-B-2026 都道府県別統計 N=47
📝 3行で分かる要約

目次

  1. 研究背景と目的
  2. データと変数(SSDSE-B 実データ)
  3. 相関分析(相関ヒートマップ)
  4. VIF による多重共線性チェック
  5. 標準化回帰係数(β係数)
  6. 散布図:消費支出構成 vs ごみ排出量
  7. まとめと政策への示唆
  8. 📥 データの準備
  9. 💼 実社会での応用
  10. ⚠️ よくある誤解
  11. 📖 用語集
  12. 📐 手法ガイド
  13. 🚀 発展の可能性
  14. 🎯 自分でやってみよう
  15. 🤔 Q&A

🎯 この記事を読むと何ができるようになるか

📥 データの準備(再現コードを動かす前に)

このページの分析を自分で再現するには、以下の手順でデータを準備してください。コードの編集は不要です。

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データをダウンロードする 統計センターの SSDSE 配布ページから、以下のファイルをダウンロードします。
SSDSE-B-2026.csv ← SSDSE-B(都道府県データ)📥 直接DL
⬇ SSDSEダウンロードページを開く
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ファイルを所定のフォルダに配置する ダウンロードしたCSVを、プロジェクトの data/raw/ フォルダに入れます。
2026 統計・データ解析コンペ/ ├── code/ │ └── 2022_U4_katsuyo.py ← 実行するスクリプト └── data/ └── raw/ SSDSE-B-2026.csv ← ここに置く
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スクリプトをそのまま実行する ターミナルでプロジェクトルートに移動し、以下を実行します。
python3 code/2022_U4_katsuyo.py
図は html/figures/ に自動保存されます。
研究背景と目的

日本では年間約4,000万トンものごみが排出されており、廃棄物の削減は環境政策上の重要課題となっている。生活系ごみと事業系ごみの排出量は地域によって大きく異なるが、その要因は必ずしも明らかではない。

まず「生活系ごみ排出量と事業系ごみ排出量による回帰分析を統計的にとらえることが有効だと考えられる。 その理由は感覚や経験則だけでは、複雑な社会要因の中で「何が本当に効いているか」を見極めにくいからである。 本研究では公開データと統計手法を組み合わせ、この問いに定量的な答えを出すことを目指す。

研究の問い 「どのような社会経済的要因が1人1日当たりのごみ排出量(g/人/日)を規定しているのか?」 都道府県別の統計データを用いた重回帰分析によって、食料費・教養娯楽費・高齢化率・気温・リサイクル率の影響を定量的に評価する。
分析の流れ
SSDSE-B
47都道府県
2022年度
変数作成
(消費支出
構成比等)
相関
ヒートマップ
VIF
多重共線性
チェック
重回帰分析
標準化係数
β比較

重回帰分析 VIF 標準化係数β ごみ排出量 SSDSE-B

データと変数(SSDSE-B 実データ)

実データ使用の注記 本分析は統計数理研究所が提供する SSDSE-B-2026(都道府県別社会・人口統計体系データ)の実データを使用しています。合成データ・乱数シード生成データは一切使用していません。

目的変数

変数名単位説明
1人1日当たりの排出量g/人/日生活系ごみ+事業系ごみの合計排出量を人口・日数で除した値

説明変数(5変数)

変数作成方法単位仮説(ごみとの関係)
食料費割合 食料費(二人以上世帯)÷ 消費支出 × 100 % エンゲル係数が高い→食品廃棄ごみが増加?(正)
教養娯楽費割合 教養娯楽費(二人以上世帯)÷ 消費支出 × 100 % 生活水準・消費行動との関連(正 or 負)
65歳以上割合 65歳以上人口 ÷ 総人口 × 100 % 高齢化は在宅時間増→ごみ増?(正)
平均気温 SSDSE-B 収録値 温暖地域の食品ロスとの関係(正?)
リサイクル率 ごみのリサイクル率(SSDSE-B 収録値) % リサイクル推進→ごみ削減(負)
N=47 での多重回帰の注意点 都道府県数 N=47 は、5つの説明変数に対して自由度が十分とは言えない(目安: N ≥ 10p で p=5 なら N≥50が望ましい)。解釈は係数の方向性と実質的意義(effect size)を重視することが重要。
3. 相関分析
1
相関分析(相関ヒートマップ

目的変数「1人1日ごみ排出量」と各説明変数、および説明変数間の相関係数を可視化する。説明変数間の高い相関多重共線性の危険信号となるため、VIF 分析の前段階として重要な確認ステップである。

相関ヒートマップ:目的変数と5説明変数の相関行列
図1:相関ヒートマップ(2022年度 N=47都道府県)。赤が正の相関、青が負の相関。数値は Pearson 相関係数 r。
📌 この回帰係数プロットの読み方
このグラフは
重回帰分析の各説明変数係数(影響の強さと向き)をバーや点で表したグラフ。
読み方
右(プラス方向)に伸びるバーは「この変数が増えると目的変数も増える」正の影響。左(マイナス方向)は逆。
なぜそう解釈できるか
エラーバー(誤差棒)が0をまたいでいない変数が統計的に有意(p < 0.05)。バーが長いほど影響が大きい。
ヒートマップの読み方
  • 対角線: すべて r=1.00(自己相関
  • 目的変数(1人1日ごみ排出量)の行/列: 各説明変数との単純相関を確認
  • 説明変数間の相関: |r| > 0.7 が続く場合は多重共線性を疑い VIF で精査

DS LEARNING POINT 1

VIF の計算と解釈

VIF分散拡大因子)は、ある説明変数 xⱼ を他の全説明変数回帰したときの決定係数 Rⱼ² を用いて計算される。多重共線性の度合いを定量化する指標。

from statsmodels.stats.outliers_influence import variance_inflation_factor import statsmodels.api as sm X_vif = sm.add_constant(X_raw) # 定数列を追加した行列 vif_vals = [] for i in range(1, X_vif.shape[1]): # index 0 は定数列 vif = variance_inflation_factor(X_vif, i) vif_vals.append(vif) # VIF = 1 / (1 - Rj²) # Rj²: xj を他の説明変数回帰したときの決定係数 # VIF < 5: 問題なし # VIF 5-10: 要注意(係数推定が不安定になり得る) # VIF >= 10: 問題あり(多重共線性が深刻) for name, vif in zip(var_names, vif_vals): print(f"{name}: VIF = {vif:.2f}")
やってみよう図1:Figure 1: 相関ヒートマップ
📝 コード
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import os
import warnings
import numpy as np
import pandas as pd
import matplotlib
matplotlib.use('Agg')
import matplotlib.pyplot as plt
import matplotlib.patches as mpatches
import statsmodels.api as sm
from statsmodels.stats.outliers_influence import variance_inflation_factor
from scipy import stats

warnings.filterwarnings('ignore')
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • import pandas as pd など — 必要なライブラリをまとめて呼び出します。as pd は短い別名(alias)。
  • matplotlib.use('Agg') — グラフを画面表示せずファイルに保存するためのおまじない。
💡 Python TIPS f"...{x}..."f-string。文字列の中に {変数} と書くだけで埋め込めて、{x:.2f} のように書式も指定できます。
やってみよう図1:Figure 1: 相関ヒートマップ — ── パス設定 ──────────────────────────────────────────────────────────
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# ── パス設定 ──────────────────────────────────────────────────────────
DATA_B  = 'data/raw/SSDSE-B-2026.csv'
FIG_DIR = 'html/figures'
os.makedirs(FIG_DIR, exist_ok=True)

plt.rcParams.update({
    'font.family': 'Hiragino Sans',
    'axes.unicode_minus': False,
    'figure.dpi': 150,
    'axes.spines.top': False,
    'axes.spines.right': False,
})
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • os.makedirs('html/figures', exist_ok=True) — 図の保存先フォルダを作る(既にあってもOK)。
💡 Python TIPS df['A'] / df['B'] — pandasの列同士の四則演算は要素ごと(element-wise)。forループ不要なのが強み。
やってみよう図1:Figure 1: 相関ヒートマップ — ── データ読み込み ─────────────────────────────────────────────────────
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# ── データ読み込み ─────────────────────────────────────────────────────
df_b = pd.read_csv(DATA_B, encoding='cp932', header=1)
df_b = df_b[df_b['地域コード'].str.match(r'^R\d{5}$', na=False)].copy()
df_2022 = df_b[df_b['年度'] == 2022].copy()
df_2022 = df_2022.reset_index(drop=True)

print(f"データ読み込み完了: {len(df_2022)}都道府県(2022年度)")
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • pd.read_csv(...) でCSVを読み込みます。encoding='cp932' は日本語Windows由来の文字コード、header=1 は「2行目を列名として使う」。
  • df['地域コード'].str.match(r'^R\d{5}', ...) — 正規表現で「R+数字5桁」の行(47都道府県)だけTrueにし、真偽値で行をフィルタ。
💡 Python TIPS Seriesの .map() は「1対1の置き換え」、.apply() は「関数を当てる」。辞書なら .map()、ロジックなら .apply()
やってみよう図1:Figure 1: 相関ヒートマップ — ── 変数作成 ──────────────────────────────────────────────────────────
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# ── 変数作成 ──────────────────────────────────────────────────────────
# 消費支出に占める構成比(%)
df_2022['食料費割合']   = (df_2022['食料費(二人以上の世帯)']   / df_2022['消費支出(二人以上の世帯)']) * 100
df_2022['教養娯楽費割合'] = (df_2022['教養娯楽費(二人以上の世帯)'] / df_2022['消費支出(二人以上の世帯)']) * 100
df_2022['65歳以上割合']  = (df_2022['65歳以上人口'] / df_2022['総人口']) * 100

# 変数名リスト
TARGET  = '1人1日当たりの排出量'   # g/人/日
PRED_NAMES = {
    'food_ratio':    '食料費割合(%)',
    'culture_ratio': '教養娯楽費割合(%)',
    'elder_ratio':   '65歳以上割合(%)',
    'temp':          '年平均気温(℃)',
    'recycle':       'リサイクル率(%)',
}

df_2022['food_ratio']    = df_2022['食料費割合']
df_2022['culture_ratio'] = df_2022['教養娯楽費割合']
df_2022['elder_ratio']   = df_2022['65歳以上割合']
df_2022['temp']          = df_2022['年平均気温']
df_2022['recycle']       = df_2022['ごみのリサイクル率']
df_2022['y']             = df_2022[TARGET]

PREDS = list(PRED_NAMES.keys())
analysis_cols = ['都道府県', 'y'] + PREDS
df_ana = df_2022[analysis_cols].dropna().copy()

print(f"分析対象: {len(df_ana)}都道府県(欠損除外後)")
print(f"\n目的変数 ({TARGET}) 記述統計:")
print(df_ana['y'].describe().round(1))
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • .describe() — 件数・平均・標準偏差・四分位・最大/最小を一括計算。データの素性チェックに必須。
💡 Python TIPS [式 for x in リスト]リスト内包表記。forループでappendする代わりに1行でリストを作れます。
やってみよう図1:Figure 1: 相関ヒートマップ — ── 記述統計 ──────────────────────────────────────────────────────────
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# ── 記述統計 ──────────────────────────────────────────────────────────
print(f"\n説明変数 記述統計:")
for p, name in PRED_NAMES.items():
    s = df_ana[p]
    print(f"  {name}: mean={s.mean():.2f}, std={s.std():.2f}, "
          f"min={s.min():.2f}, max={s.max():.2f}")
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • このステップでは前のステップで作ったデータを加工しています。コードを上から順に読んでみてください。
💡 Python TIPS r, p = stats.pearsonr(...) — Pythonは複数戻り値を同時に受け取れる(タプルアンパック)。
やってみよう図1:Figure 1: 相関ヒートマップ — ── OLS 重回帰分析 ──────────────────────────────────────────────────
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# ── OLS 重回帰分析 ──────────────────────────────────────────────────
y  = df_ana['y'].values
X_raw = df_ana[PREDS].values

X_sm = sm.add_constant(X_raw)
model = sm.OLS(y, X_sm).fit()

print("\n" + "=" * 60)
print("■ OLS 重回帰分析結果")
print("=" * 60)
print(model.summary())
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • sm.add_constant(X) — 切片項(定数1の列)を先頭に追加。statsmodelsで必須。
  • sm.OLS(y, X).fit() — 最小二乗法でモデルを推定。model.params, model.pvalues, model.conf_int() で結果取得。
💡 Python TIPS x if cond else y三項演算子。リスト内包表記と組み合わせると、forとifを1行で書けます。
やってみよう図1:Figure 1: 相関ヒートマップ — ── VIF 計算(定数項を含めた行列で各説明変数VIFを計算)──────────
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# ── VIF 計算(定数項を含めた行列で各説明変数のVIFを計算)──────────
# statsmodels の variance_inflation_factor は X の i番目の列を他の列で回帰する
# 正しい使い方: sm.add_constant した行列を渡し、定数列(index=0)を除く各列を計算
X_vif = sm.add_constant(X_raw)
vif_vals = []
for i in range(1, X_vif.shape[1]):   # index 0 は定数列
    vif_vals.append(variance_inflation_factor(X_vif, i))

print("\n■ VIF(分散拡大因子)")
for name, vif in zip(PRED_NAMES.values(), vif_vals):
    flag = "  ← 問題なし" if vif < 5 else ("  ← 要注意" if vif < 10 else "  ← 問題あり")
    print(f"  {name}: VIF = {vif:.2f}{flag}")
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • sm.add_constant(X) — 切片項(定数1の列)を先頭に追加。statsmodelsで必須。
💡 Python TIPS df[col](1列)と df[[col1, col2]](複数列)でカッコの数が違います。リストを渡していると覚えるとミスを減らせます。
やってみよう図1:Figure 1: 相関ヒートマップ — ── 標準化回帰係数 ─────────────────────────────────────────────────
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# ── 標準化回帰係数 ─────────────────────────────────────────────────
y_std  = (y - y.mean()) / y.std()
X_std  = (X_raw - X_raw.mean(axis=0)) / X_raw.std(axis=0)
X_std_sm = sm.add_constant(X_std)
model_std = sm.OLS(y_std, X_std_sm).fit()

beta_coef  = model_std.params[1:]   # 定数項を除く
_ci_all    = model_std.conf_int(alpha=0.05)       # ndarray shape (k+1, 2)
beta_ci    = _ci_all[1:]                           # 定数項を除く 95%CI
beta_pvals = model_std.pvalues[1:]

print("\n■ 標準化回帰係数(β係数)")
for name, beta, pval in zip(PRED_NAMES.values(), beta_coef, beta_pvals):
    sig = "**" if pval < 0.01 else ("*" if pval < 0.05 else "")
    print(f"  {name}: β = {beta:.4f}  (p={pval:.4f}) {sig}")

print(f"\n  R² = {model.rsquared:.4f},  Adj. R² = {model.rsquared_adj:.4f}")
print(f"  F統計量 = {model.fvalue:.2f},  p(F) = {model.f_pvalue:.4f}")

label_map = {'y': '1人1日\nごみ排出量'}
label_map.update({p: n.replace('(%)','').replace('(℃)','') for p, n in PRED_NAMES.items()})

corr_cols   = ['y'] + PREDS
corr_labels = [label_map[c] for c in corr_cols]
corr_mat    = df_ana[corr_cols].corr()

fig, ax = plt.subplots(figsize=(8, 6.5))
im = ax.imshow(corr_mat.values, cmap='RdBu_r', vmin=-1, vmax=1, aspect='auto')

n = len(corr_cols)
ax.set_xticks(range(n))
ax.set_yticks(range(n))
ax.set_xticklabels(corr_labels, fontsize=10)
ax.set_yticklabels(corr_labels, fontsize=10)
plt.colorbar(im, ax=ax, shrink=0.85, label='相関係数 r')

for i in range(n):
    for j in range(n):
        v = corr_mat.values[i, j]
        c = 'white' if abs(v) > 0.6 else 'black'
        ax.text(j, i, f'{v:.2f}', ha='center', va='center', fontsize=10,
                color=c, fontweight='bold')

ax.set_title('図1:相関ヒートマップ\n(目的変数+説明変数、2022年度 N=47都道府県)',
             fontsize=12, fontweight='bold', pad=12)
fig.tight_layout()
out1 = os.path.join(FIG_DIR, '2022_U4_fig1_corr.png')
fig.savefig(out1, bbox_inches='tight', dpi=150)
plt.close(fig)
print(f"\n[保存] {out1}")
▼ 実行結果
データ読み込み完了: 47都道府県(2022年度)
分析対象: 47都道府県(欠損除外後)

目的変数 (1人1日当たりの排出量) 記述統計:
count      47.0
mean      906.1
std        61.5
min       770.0
25%       863.5
50%       911.0
75%       951.5
max      1021.0
Name: y, dtype: float64

説明変数 記述統計:
  食料費割合(%): mean=26.47, std=1.39, min=23.30, max=30.51
  教養娯楽費割合(%): mean=8.94, std=0.92, min=6.49, max=10.91
  65歳以上割合(%): mean=31.35, std=3.27, min=22.81, max=38.60
  年平均気温(℃): mean=16.07, std=2.29, min=10.20, max=23.70
  リサイクル率(%): mean=18.21, std=3.83, min=12.40, max=28.30

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■ OLS 重回帰分析結果
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                            OLS Regression Results                            
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Dep. Variable:                      y   R-squared:                       0.343
Model:                            OLS   Adj. R-squared:                  0.263
Method:                 Least Squares   F-statistic:                     4.288
Date:                Mon, 18 May 2026   Prob (F-statistic):            0.00314
Time:                        11:24:16   Log-Likelihood:                -249.90
No. Observations:                  47   AIC:                             511.8
Df Residuals:                      41   BIC:                             522.9
Df Model:                           5                                         
Covariance Type:            nonrobust                                         
==============================================================================
                 coef    std err          t      P>|t|      [0.025      0.975]
------------------------------------------------------------------------------
const        816.5862    314.857      2.594      0.013     180.720    1452.453
x1            -0.3464      6.910     -0.050      0.960     -14.301      13.608
x2           -11.0201      9.955     -1.107      0.275     -31.125       9.084
x3             8.2989      3.211      2.585      0.013       1.814      14.783
x4            -3.4280      4.061     -0.844      0.403     -11.629       4.773
x5            -0.4346      2.419     -0.180      0.858      -5.320       4.450
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Omnibus:                        0.835   Durbin-Watson:                   1.939
Prob(Omnibus):                  0.659   Jarque-Bera (JB):                0.510
Skew:                          -0.255   Prob(JB):                        0.775
Kurtosis:                       3.015   Cond. No.                     1.99e+03
==============================================================================

Notes:
[1] Standard Errors assume that the covariance matrix of the errors is correctly specified.
[2] The condition number is large, 1.99e+03. This might indicate that there are
strong multicollinearity or other numerical problems.

■ VIF(分散拡大因子)
  食料費割合(%): VIF = 1.53  ← 問題なし
  教養娯楽費割合(%): VIF = 1.40  ← 問題なし
  65歳以上割合(%): VIF = 1.82  ← 問題なし
  年平均気温(℃): VIF = 1.43  ← 問題なし
  リサイクル率(%): VIF = 1.41  ← 問題なし

■ 標準化回帰係数(β係数)
  食料費割合(%): β = -0.0078  (p=0.9603) 
  教養娯楽費割合(%): β = -0.1656  (p=0.2747) 
  65歳以上割合(%): β = 0.4411  (p=0.0134) *
  年平均気温(℃): β = -0.1276  (p=0.4035) 
  リサイクル率(%): β = -0.0270  (p=0.8583) 

  R² = 0.3434,  Adj. R² = 0.2633
  F統計量 = 4.29,  p(F) = 0.0031

[保存] html/figures/2022_U4_fig1_corr.png
💡 解説
  • fig, ax = plt.subplots(...) — 図全体(fig)と軸(ax)を作る定番。以降は ax.bar(...) 等で操作。
  • sm.add_constant(X) — 切片項(定数1の列)を先頭に追加。statsmodelsで必須。
  • sm.OLS(y, X).fit() — 最小二乗法でモデルを推定。model.params, model.pvalues, model.conf_int() で結果取得。
  • fig.savefig(..., bbox_inches='tight') — 余白を自動で詰めて保存。plt.close() でメモリ解放。
💡 Python TIPS s[:-n]「末尾n文字を除く」/s[n:]「先頭n文字を除く」。スライス [start:stop:step] はリスト・タプル・文字列共通の基本ワザです。
4. VIF
2
VIF による多重共線性チェック

重回帰分析では、説明変数間に強い相関多重共線性)があると回帰係数の推定が不安定になる。VIFVariance Inflation Factor分散拡大因子)はこの問題を定量的に診断するための指標である。

VIF(xⱼ) = 1 / (1 − Rⱼ²)

Rⱼ²:xⱼ を残りの説明変数で回帰したときの決定係数
VIF = 1(完全に独立)→ ∞(完全な多重共線性)
VIF棒グラフ:5説明変数の分散拡大因子
図2:VIF による多重共線性チェック。青バー: VIF < 5(問題なし)、橙バー: VIF 5–10(要注意)、赤バー: VIF ≥ 10(問題あり)。

VIF 判定基準

VIF判定対応
1.0〜5.0問題なしそのまま回帰分析に使用可
5.0〜10.0要注意係数の符号・解釈を慎重に確認
10.0 以上問題あり変数の除外、主成分回帰リッジ回帰を検討
本分析での多重共線性の診断結果 5つの説明変数(食料費割合、教養娯楽費割合、65歳以上割合、年平均気温、リサイクル率)のVIFを確認することで、どの変数間に共線性が生じているかを把握できる。VIFが基準値を大幅に超える変数がある場合は、回帰係数の解釈に注意が必要。

DS LEARNING POINT 2

標準化係数 β の意味

通常の回帰係数は変数の単位に依存するため、単位が異なる変数間の「影響力の大きさ」を直接比較できない。標準化回帰係数 β は、すべての変数を平均0・標準偏差1に標準化してから回帰することで、変数間の相対的な重要度を比較可能にする。

# 標準化: 全変数を z スコアに変換 y_std = (y - y.mean()) / y.std() X_std = (X_raw - X_raw.mean(axis=0)) / X_raw.std(axis=0) X_std_sm = sm.add_constant(X_std) model_std = sm.OLS(y_std, X_std_sm).fit() # β係数(定数項を除く)と95%信頼区間 beta_coef = model_std.params[1:] beta_ci = model_std.conf_int(alpha=0.05)[1:] # β = +0.5 → X が1SD増加すると y は0.5SD増加 # β = -0.3 → X が1SD増加すると y は0.3SD減少 # |β| の大きい変数ほど目的変数への影響が相対的に大きい
やってみよう図2:Figure 2: VIF 棒グラフ
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short_names = [n.replace('(%)','').replace('(℃)','') for n in PRED_NAMES.values()]

colors_vif = ['#E53935' if v >= 10 else ('#FFA726' if v >= 5 else '#42A5F5')
              for v in vif_vals]

fig, ax = plt.subplots(figsize=(8, 4.5))
bars = ax.barh(short_names, vif_vals, color=colors_vif, edgecolor='white',
               linewidth=0.8, alpha=0.9)
ax.axvline(5,  color='#FFA726', linewidth=1.5, linestyle='--', label='VIF=5(注意水準)')
ax.axvline(10, color='#E53935', linewidth=1.5, linestyle='--', label='VIF=10(問題水準)')

for bar, v in zip(bars, vif_vals):
    ax.text(v + 0.05, bar.get_y() + bar.get_height()/2,
            f'{v:.2f}', va='center', fontsize=11, fontweight='bold')

ax.set_xlabel('VIF(分散拡大因子)', fontsize=11)
ax.set_title('図2:VIF による多重共線性チェック\n(VIF < 5: 問題なし、5–10: 要注意、≥ 10: 問題あり)',
             fontsize=12, fontweight='bold', pad=10)
ax.legend(fontsize=10, loc='lower right')
ax.set_xlim(0, max(vif_vals) * 1.2 + 0.5)
fig.tight_layout()
out2 = os.path.join(FIG_DIR, '2022_U4_fig2_vif.png')
fig.savefig(out2, bbox_inches='tight', dpi=150)
plt.close(fig)
print(f"[保存] {out2}")
▼ 実行結果
[保存] html/figures/2022_U4_fig2_vif.png
💡 解説
  • fig, ax = plt.subplots(...) — 図全体(fig)と軸(ax)を作る定番。以降は ax.bar(...) 等で操作。
  • ax.axhline / ax.axvline — 水平/垂直の点線。平均線や基準線として定番。
  • fig.savefig(..., bbox_inches='tight') — 余白を自動で詰めて保存。plt.close() でメモリ解放。
💡 Python TIPS df['A'] / df['B'] — pandasの列同士の四則演算は要素ごと(element-wise)。forループ不要なのが強み。
5. 標準化回帰係数
3
標準化回帰係数(β係数

重回帰分析の結果として、5つの説明変数標準化回帰係数(β係数)を比較する。β係数は変数間の単位の違いを取り除いた相対的影響力の指標であり、どの要因がごみ排出量に最も強く関係しているかを直接比較できる。

標準化回帰係数プロット(95%信頼区間付き)
図3:標準化回帰係数プロット(95%信頼区間付き)。赤: 正の効果(β>0、ごみ増加方向)、青: 負の効果(β<0、ごみ削減方向)。透明なバーは非有意(p≥0.05)。**p<0.01, *p<0.05, n.s.非有意。
📌 この回帰係数プロットの読み方
このグラフは
重回帰分析の各説明変数係数(影響の強さと向き)をバーや点で表したグラフ。
読み方
右(プラス方向)に伸びるバーは「この変数が増えると目的変数も増える」正の影響。左(マイナス方向)は逆。
なぜそう解釈できるか
エラーバー(誤差棒)が0をまたいでいない変数が統計的に有意(p < 0.05)。バーが長いほど影響が大きい。
β係数の読み方
  • β > 0(正の効果): その変数が増えるとごみ排出量が増加する傾向
  • β < 0(負の効果): その変数が増えるとごみ排出量が減少する傾向
  • |β| の大きさ: 絶対値が大きいほど目的変数への相対的影響が大きい
  • 95%CI が 0 をまたぐ: 統計的に有意でない(n.s.)

回帰モデルの適合度

指標説明解釈の目安
決定係数ごみ排出量の変動のうちモデルが説明できる割合0〜1、高いほど良好
Adj. 自由度調整済み)説明変数の数による過剰適合を補正した より保守的な評価
F 統計量(p 値)モデル全体の有意性検定p < 0.05 でモデルが有意

DS LEARNING POINT 3

交絡変数の制御

単純相関では「食料費割合が高い都道府県ほどごみが多い」という関係が見えても、それは高齢化率や気温という第三の変数(交絡変数)を介した見せかけの相関かもしれない。重回帰分析では他の変数を「統制(コントロール)」した上で各変数の純粋な効果を推定できる。

# 交絡変数を制御した偏回帰係数の解釈 # 例: 食料費割合の係数 β_food の意味 # # 「教養娯楽費割合、65歳以上割合、年平均気温、 # リサイクル率 を一定に保ったとき、 # 食料費割合が1SD増加すると # ごみ排出量は β_food SD 変化する」 # # 単純回帰: food → y(交絡込み) r_simple = np.corrcoef(food_ratio, y)[0, 1] # # 重回帰の偏回帰係数交絡制御後) model_full = sm.OLS(y_std, sm.add_constant(X_std)).fit() beta_food_partial = model_full.params[1] # 食料費割合のβ # # r_simple ≠ beta_food_partial が多重回帰の本質
やってみよう図3:Figure 3: 標準化回帰係数プロット(95% CI付き)
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beta_ci_arr = np.array(beta_ci)
ci_lo = beta_ci_arr[:, 0]
ci_hi = beta_ci_arr[:, 1]
err_lo = beta_coef - ci_lo
err_hi = ci_hi - beta_coef

# 係数の大きい順にソート
order   = np.argsort(np.abs(beta_coef))[::-1]
b_sorted   = beta_coef[order]
lo_sorted  = err_lo[order]
hi_sorted  = err_hi[order]
names_sorted = [short_names[i] for i in order]
sig_sorted   = np.array(beta_pvals)[order]

colors_coef = ['#C62828' if b > 0 else '#1565C0' for b in b_sorted]
alpha_vals  = [1.0 if p < 0.05 else 0.45 for p in sig_sorted]

fig, ax = plt.subplots(figsize=(8, 5))
for i, (name, b, lo, hi, col, al, pv) in enumerate(
        zip(names_sorted, b_sorted, lo_sorted, hi_sorted, colors_coef, alpha_vals, sig_sorted)):
    ax.barh(i, b, xerr=[[lo], [hi]], color=col, alpha=al, edgecolor='white',
            linewidth=0.8, capsize=5, error_kw={'elinewidth': 1.5, 'ecolor': '#555'})
    sig_mark = '**' if pv < 0.01 else ('*' if pv < 0.05 else 'n.s.')
    x_pos = b + (hi if b >= 0 else -lo) * 1.05
    ax.text(x_pos, i, f' {sig_mark}  β={b:.3f}',
            va='center', fontsize=9, color='#333')

ax.axvline(0, color='black', linewidth=0.8, linestyle='-')
ax.set_yticks(range(len(names_sorted)))
ax.set_yticklabels(names_sorted, fontsize=11)
ax.set_xlabel('標準化回帰係数(β)', fontsize=11)
ax.set_title('図3:標準化回帰係数プロット(95%信頼区間付き)\n'
             '赤: 正の効果, 青: 負の効果, 透明: 非有意(p≥0.05)',
             fontsize=12, fontweight='bold', pad=10)

red_patch  = mpatches.Patch(color='#C62828', label='正の効果(β > 0)')
blue_patch = mpatches.Patch(color='#1565C0', label='負の効果(β < 0)')
ax.legend(handles=[red_patch, blue_patch], fontsize=10, loc='lower right')

x_vals = np.concatenate([b_sorted - lo_sorted, b_sorted + hi_sorted])
x_margin = max(abs(x_vals)) * 0.25
ax.set_xlim(min(x_vals) - x_margin, max(x_vals) + x_margin)

fig.tight_layout()
out3 = os.path.join(FIG_DIR, '2022_U4_fig3_coef.png')
fig.savefig(out3, bbox_inches='tight', dpi=150)
plt.close(fig)
print(f"[保存] {out3}")
▼ 実行結果
[保存] html/figures/2022_U4_fig3_coef.png
💡 解説
  • fig, ax = plt.subplots(...) — 図全体(fig)と軸(ax)を作る定番。以降は ax.bar(...) 等で操作。
  • ax.axhline / ax.axvline — 水平/垂直の点線。平均線や基準線として定番。
  • fig.savefig(..., bbox_inches='tight') — 余白を自動で詰めて保存。plt.close() でメモリ解放。
💡 Python TIPS Seriesの .map() は「1対1の置き換え」、.apply() は「関数を当てる」。辞書なら .map()、ロジックなら .apply()
6. 散布図
4
散布図:消費支出構成 vs ごみ排出量

重回帰分析の結果をより直感的に理解するため、食料費割合・教養娯楽費割合とごみ排出量の散布図を都道府県ラベル付きで可視化する。排出量上位・下位5府県をラベル表示し、地域差のパターンを探る。

消費支出構成割合 vs 1人1日ごみ排出量 散布図
図4:消費支出構成割合(食料費割合・教養娯楽費割合)と1人1日当たりのごみ排出量の関係(2022年度 都道府県別 N=47)。ラベル: 排出量の上位・下位5府県。点の色: ごみ排出量(赤ほど多い)。破線: 回帰直線(r と p 値を表示)。
散布図の解釈上の注意 散布図回帰直線は2変数間の単純相関を示すものであり、重回帰の偏回帰係数とは異なる。散布図で正の傾きが見えても、他の変数を制御すると効果が逆転する場合(交絡)もある。必ず重回帰分析の結果(図3)と合わせて解釈すること。

DS LEARNING POINT 4

ごみ政策への統計的示唆

重回帰分析の結果は、「どの要因に働きかければごみ排出量を削減できるか」という政策立案の手がかりを提供する。ただし観察データからは因果関係は確定できず、政策効果の推定には介入研究や差の差分析(DiD)などが必要になる。

# 統計分析から政策示唆を読み取る際の注意 # # 1. 有意な負の β(例: リサイクル率) # → リサイクル率を高める政策がごみ削減に有効な可能性 # → ただし「ごみが少ないからリサイクル率が高い」 # という逆因果にも注意(観察データの限界) # # 2. 有意な正の β(例: 高齢化率) # → 人口構造の変化に対応したごみ収集体制の必要性 # → 政策で直接操作できる変数か否かを区別する # # 3. 非有意な変数(n.s.) # → N=47 では検出力(power)が低い可能性もある # → 「効果なし」ではなく「判断保留」と解釈する # # Cohen (1988) の効果量基準 # β ≈ 0.10 (小), 0.30 (中), 0.50 (大) effect_size = "大" if abs(beta) >= 0.5 else ("中" if abs(beta) >= 0.3 else "小") print(f"効果量: {effect_size}")
やってみようFigure 4: 消費支出構成 vs 1人1日ごみ排出量 散布図(都道府県ラベル
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pref_labels = df_ana['都道府県'].values
y_vals      = df_ana['y'].values
food_vals   = df_ana['food_ratio'].values
culture_vals = df_ana['culture_ratio'].values

fig, axes = plt.subplots(1, 2, figsize=(14, 6))

for ax, x_vals, xlabel, x_col, label_idx in [
    (axes[0], food_vals,    '食料費割合(%)',   'food',    True),
    (axes[1], culture_vals, '教養娯楽費割合(%)', 'culture', True),
]:
    sc = ax.scatter(x_vals, y_vals, s=55, c=y_vals, cmap='RdYlGn_r',
                    vmin=y_vals.min() - 20, vmax=y_vals.max() + 20,
                    edgecolors='#555', linewidths=0.5, zorder=3, alpha=0.9)

    # 都道府県ラベル(主要都道府県のみ)
    # 上位5位・下位5位 + 外れ値候補
    y_rank = pd.Series(y_vals)
    top_idx = set(y_rank.nlargest(5).index) | set(y_rank.nsmallest(5).index)
    for i, (px, py, lbl) in enumerate(zip(x_vals, y_vals, pref_labels)):
        if i in top_idx:
            ax.annotate(lbl, (px, py), fontsize=7.5, alpha=0.9,
                        xytext=(4, 2), textcoords='offset points',
                        color='#222')

    # 回帰直線
    slope, intercept, r_val, p_val, se = stats.linregress(x_vals, y_vals)
    x_line = np.linspace(x_vals.min(), x_vals.max(), 100)
    ax.plot(x_line, slope * x_line + intercept,
            color='#E53935', linewidth=1.8, linestyle='--',
            label=f'回帰直線 (r={r_val:.3f}, p={p_val:.3f})')

    ax.set_xlabel(xlabel, fontsize=11)
    ax.set_ylabel('1人1日当たりの排出量(g/人/日)', fontsize=11)
    ax.legend(fontsize=10, loc='best')
    ax.grid(axis='y', alpha=0.3)

plt.colorbar(sc, ax=axes[1], label='1人1日排出量(g/人/日)', shrink=0.9)

fig.suptitle('図4:消費支出構成割合 と 1人1日ごみ排出量 の関係\n'
             '(2022年度 都道府県別 N=47、ラベル: 排出量上位・下位5府県)',
             fontsize=12, fontweight='bold', y=1.01)
fig.tight_layout()
out4 = os.path.join(FIG_DIR, '2022_U4_fig4_scatter.png')
fig.savefig(out4, bbox_inches='tight', dpi=150)
plt.close(fig)
print(f"[保存] {out4}")
▼ 実行結果
このステップは print はしません。データや図が裏で更新されただけ。次のステップへ進みましょう。
💡 解説
  • fig, ax = plt.subplots(...) — 図全体(fig)と軸(ax)を作る定番。以降は ax.bar(...) 等で操作。
  • stats.linregress(x, y) — 単回帰の傾き・切片・r値・p値・標準誤差を返します。使わない値は _ で受け取り。
  • fig.savefig(..., bbox_inches='tight') — 余白を自動で詰めて保存。plt.close() でメモリ解放。
💡 Python TIPS [式 for x in リスト]リスト内包表記。forループでappendする代わりに1行でリストを作れます。
やってみようFigure 4: 消費支出構成 vs 1人1日ごみ排出量 散布図(都道府県ラベル) — ── 結果サマリー ──────────────────────────────────────────────────────
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# ── 結果サマリー ──────────────────────────────────────────────────────
print("\n" + "=" * 60)
print("■ 分析サマリー")
print("=" * 60)
print(f"  目的変数: {TARGET}")
print(f"  サンプル数: N = {len(df_ana)}")
print(f"  R² = {model.rsquared:.4f}  ({model.rsquared:.1%}の変動を説明)")
print(f"  Adj. R² = {model.rsquared_adj:.4f}")
print(f"  F統計量 = {model.fvalue:.2f},  p = {model.f_pvalue:.4f}")
print()
print("  【標準化回帰係数 上位変数】")
sorted_abs = sorted(zip(PRED_NAMES.values(), beta_coef, np.array(beta_pvals)),
                    key=lambda x: abs(x[1]), reverse=True)
for name, beta, pv in sorted_abs:
    direction = "↑ 増加" if beta > 0 else "↓ 減少"
    sig = "**" if pv < 0.01 else ("*" if pv < 0.05 else "(n.s.)")
    print(f"  {name}: β={beta:+.4f} → 排出量{direction}  {sig}")
print()
print("  【多重共線性】")
for name, vif in zip(PRED_NAMES.values(), vif_vals):
    status = "問題なし" if vif < 5 else ("要注意" if vif < 10 else "問題あり")
    print(f"  {name}: VIF={vif:.2f} ({status})")

print("\n■ 完了。全4図を html/figures/ に保存しました。")
▼ 実行結果
[保存] html/figures/2022_U4_fig4_scatter.png

============================================================
■ 分析サマリー
============================================================
  目的変数: 1人1日当たりの排出量
  サンプル数: N = 47
  R² = 0.3434  (34.3%の変動を説明)
  Adj. R² = 0.2633
  F統計量 = 4.29,  p = 0.0031

  【標準化回帰係数 上位変数】
  65歳以上割合(%): β=+0.4411 → 排出量↑ 増加  *
  教養娯楽費割合(%): β=-0.1656 → 排出量↓ 減少  (n.s.)
  年平均気温(℃): β=-0.1276 → 排出量↓ 減少  (n.s.)
  リサイクル率(%): β=-0.0270 → 排出量↓ 減少  (n.s.)
  食料費割合(%): β=-0.0078 → 排出量↓ 減少  (n.s.)

  【多重共線性】
  食料費割合(%): VIF=1.53 (問題なし)
  教養娯楽費割合(%): VIF=1.40 (問題なし)
  65歳以上割合(%): VIF=1.82 (問題なし)
  年平均気温(℃): VIF=1.43 (問題なし)
  リサイクル率(%): VIF=1.41 (問題なし)

■ 完了。全4図を html/figures/ に保存しました。
💡 解説
  • このステップでは前のステップで作ったデータを加工しています。コードを上から順に読んでみてください。
💡 Python TIPS r, p = stats.pearsonr(...) — Pythonは複数戻り値を同時に受け取れる(タプルアンパック)。

まとめと政策への示唆

分析の主要な発見

SSDSE-B-2026 の 2022年度データ(N=47都道府県)を用いた重回帰分析により、1人1日当たりのごみ排出量の決定要因を以下の観点から分析した:

  1. 相関分析(図1): 目的変数と各説明変数相関ヒートマップにより、どの変数が単純相関として排出量と関連するかを確認した。説明変数間の相関多重共線性の予備診断として重要。
  2. VIF チェック(図2): 5つの説明変数(食料費割合、教養娯楽費割合、65歳以上割合、年平均気温、リサイクル率)について多重共線性を診断。VIF < 5 であれば回帰係数の解釈が安定。
  3. 標準化β係数(図3): 変数間の相対的な影響力を比較。他の変数を制御した上での「純粋な効果」として解釈できる。効果の方向(正・負)と有意性(95%CI)に注目。
  4. 散布図(図4): 食料費割合・教養娯楽費割合とごみ排出量の都道府県別関係を可視化。地域差の大きさと回帰直線の適合を確認。
ごみ政策への統計的示唆 重回帰分析の結果に基づき、ごみ排出量の削減に向けて統計的に支持される要因を特定できる。特にリサイクル率は政策的に介入可能な変数であり、その効果の方向性と大きさ(β係数)は廃棄物政策立案の参考となる。高齢化率は直接操作できない人口構造変数であるが、高齢化が進む地域のごみ収集・処理体制の設計に示唆を与える。
分析の限界
  • N=47(都道府県数)は統計的検出力が限られる
  • 観察データからは因果関係は確定できない(相関因果
  • 都道府県集計データは市区町村レベルの個体差を隠蔽する(生態学的誤謬)
  • 2022年単年データのため、時系列的な変化は捉えられない

本分析で学べる統計手法

手法目的学習ポイント
相関ヒートマップ変数間の相関構造の把握多重共線性の予備診断、色と数値の読み方
VIF分散拡大因子)多重共線性の定量的診断VIF = 1/(1-) の計算、5/10 の基準値
標準化回帰係数 β説明変数の相対的重要度の比較z スコア変換後の OLS効果量の解釈
散布図回帰直線2変数関係の可視化単純相関と偏回帰係数の違い、交絡の概念
教育的価値(この分析から学べること)
  • ごみ排出量の構成:生活系と事業系で性質が全く異なる。事業系は景気と相関し、生活系は人口と相関する。
  • 回帰分析の出発点:2変数回帰は分析の最も基本的な形だが、両者の関係を可視化することで複雑な現象を整理できる。
  • の解釈決定係数は『1ではない部分に何があるか』を考えることが重要。=0.7は『3割は他要因』を意味する。

データ・コードのダウンロード

分析スクリプト(2022_U4_katsuyo.py)をダウンロード
データ・資料出典・備考
SSDSE-B-2026(都道府県別統計)統計数理研究所 SSDSE(社会・人口統計体系データ)2022年度 N=47都道府県
ごみのリサイクル率、1人1日当たりの排出量SSDSE-B-2026 収録値(環境省 一般廃棄物処理事業実態調査を原典とする)
消費支出・食料費・教養娯楽費(二人以上の世帯)SSDSE-B-2026 収録値(総務省 家計調査を原典とする)
65歳以上人口・総人口SSDSE-B-2026 収録値(総務省 人口推計を原典とする)
平均気温SSDSE-B-2026 収録値(気象庁データを原典とする)

本分析スクリプトは SSDSE-B-2026.csv の実データを使用しています。合成データ(np.random.seed 等による乱数生成)は使用していません。実行には data/raw/SSDSE-B-2026.csv が必要です。

教育用再現コード | 統計活用奨励賞(大学生・一般の部)2022年度 | SSDSE-B 実データ使用

⚠️ よくある誤解と注意点

統計分析の解釈で初心者がやりがちな勘違いをまとめます。特に「相関因果の混同」「p値の過信」は研究現場でもよく起きる落とし穴です。本文を読む前にも、読んだ後にも、目を通してみてください。

❌ 「相関がある=因果関係がある」ではない
疑似相関spurious correlationとは、見かけ上は関係があるように見えるが、実際は無関係、または第三の変数(交絡変数)が両方に影響しているだけの現象です。

古典例: アイスクリームの売上 と 水難事故件数 は強く相関するが、片方が他方を引き起こしているわけではない。両者とも「夏の暑さ」という第三の変数に引きずられているだけ。

論文を読むときの心構え: 「○○と△△に強い相関が見られた」だけで終わっている主張は、本当に因果関係があるのか、それとも第三の変数(人口・所得・地理など)が共通要因として効いているだけではないかを必ず疑ってください。
❌ 「p値が小さい=重要な発見」ではない
p値が小さい(例えば p < 0.001)ことは「統計的に偶然とは考えにくい」という意味であって、「実用的に大きな効果がある」という意味ではありません。

例: 巨大なサンプルサイズ(n=100,000)では、相関係数 r=0.02 でも p < 0.001 になります。しかし r=0.02 は実用上ほぼ無視できる関係です。

正しい読み方: p値効果量係数の大きさ、相関係数の値)の両方をセットで判断してください。p値だけで「重要な発見」と結論づけるのは誤りです。
❌ 「回帰係数が大きい=重要な変数」ではない
回帰係数の絶対値は、説明変数単位に強く依存します。「年収(万円)」と「失業率(%)」の係数を直接比較しても意味がありません。

正しい比較方法: (1) 標準化係数(各変数を平均0・分散1に変換した上での係数)を使う、(2) 限界効果(変数を1標準偏差動かしたときのyの変化)で比較する。

また、係数の大きさが「因果関係の強さ」を意味するわけでもありません。あくまで「相関的な関連の強さ」です。
❌ 「外れ値を除外すれば正しい結果」ではない
外れ値(極端な値)を「目障りだから」「結果が綺麗にならないから」という理由で除外するのは分析の改ざんに近い行為です。

外れ値が示すもの: 本当に重要な情報(東京の超高密度、北海道の超低密度など)であることが多い。外れ値を取り除くと「日本全体の傾向」を見誤る原因になります。

正しい対処: (1) 外れ値の出現要因を調査する(なぜ東京だけ突出するのか)、(2) ノンパラメトリック手法(Spearman相関Kruskal-Wallis)を使う、(3) 外れ値を含む結果と除外した結果の両方を提示し、解釈を読者に委ねる。
❌ 「サンプルサイズが大きい=信頼できる」ではない
サンプルサイズ(n)が大きいと統計的検定の検出力は上がりますが、それは「偶然による誤差を減らす効果」にすぎません。

nが大きくても解消されない問題:
選択バイアス標本が偏っている)
測定誤差(変数の定義が曖昧)
欠損値のパターン(欠損がランダムでない)
交絡変数の見落とし

例: 1万人にWeb調査して「ネット利用と幸福度は強く相関」と言っても、そもそも回答者がネットユーザー寄りに偏っているため、母集団全体の結論にはなりません。
❌ 「複雑なモデル=より良い分析」ではない
ランダムフォレストニューラルネット・複雑な階層モデルなど、高度な手法を使えば「良い分析」と感じがちですが、必ずしもそうではありません。

過学習(overfitting)の罠: モデルが複雑すぎると、訓練データ偶然のパターンまで学習してしまい、新しいデータでは予測精度が落ちます。

シンプルさの価値: 重回帰分析相関分析は「結果が解釈しやすい」「再現性が高い」という大きな利点があります。複雑な手法はシンプルな手法で答えが出ない時の最後の手段です。
❌ 「多重共線性は気にしなくていい」ではない
多重共線性とは、説明変数同士の相関が極めて強い状態のこと。これを放置すると、回帰係数符号や大きさが入れ替わる異常事態が起こります。

典型例: 「総人口」と「労働力人口」を同時に投入すると、両者の相関が r=0.99 になり、係数推定が極端に不安定になります。「総人口は正だが、労働力人口は負」のような解釈不能な結果になりがちです。

診断と対処:
VIF(分散拡大係数)を計算し、VIF > 10 の変数を確認
相関行列で |r| > 0.8 のペアをチェック
・対処法:一方を除外、合成変数(PCA)に変換、Ridge回帰で安定化
❌ 「R²が高い=良いモデル」ではない
決定係数 R² はモデルの「当てはまりの良さ」を示しますが、 が高くてもモデルが正しいとは限りません

が高くなる罠:
説明変数を増やせば は自動的に上がる(無関係な変数を追加してもは下がらない)
時系列データでは、共通のトレンド(時間とともに増加)があるだけで が 0.9 を超える
サンプルサイズが小さいとが過大評価される

代替指標: 調整済み (変数の数でペナルティ)AICBICモデル選択基準)を併用してください。予測力の真の評価には交差検証(cross-validation)テストデータ を見ること。
❌ 「ステップワイズで選んだ変数は重要」ではない
ステップワイズ法(バックワード・フォワード選択)は便利ですが、p値ベースの変数選択は再現性に問題があると批判されています。

問題点:
同じデータでも実行順序によって最終モデルが変わる
p値を繰り返し見ることで「偶然に有意な変数」を拾ってしまう(p-hacking
係数標準誤差が過小評価され、信頼区間が嘘っぽくなる

より良い方法:
事前に変数を理論で絞る(先行研究から候補を選ぶ)
LASSO回帰(自動かつ統計的に正当化された変数選択)を使う
交差検証AIC/BIC 最小モデルを選ぶ
❌ 「線形回帰なら線形関係を前提にすべき」
重回帰分析線形関係を前提とします。実際の関係が非線形なのに線形モデルで分析すると、本当の関係を見逃します

非線形の例:
U字型関係: 失業率と物価上昇率(フィリップス曲線)
逓減効果: 所得と幸福度(年収 800万円までは強い正の効果、それ以上は飽和)
閾値効果: 高齢化率と医療費(ある水準を超えると急激に上がる)

診断と対処:
残差プロット残差が0周辺に均等に分布しているか確認
変数の対数変換・二乗項追加で非線形性を取り込む
・どうしても線形では捉えられないなら、機械学習RF・GBM)を併用する
❌ 「データに当てはまった=予測に使える」ではない
「過去のデータでフィットしたから将来も予測できる」と思うのは危険です。

過学習(overfitting)の例: 47都道府県のデータに10個の説明変数を投入すれば、ほぼ完璧にフィットします(自由度がほぼゼロ)。でもそのモデルを新しい年度に適用すると、予測精度はほぼランダム並みに落ちることがあります。

正しい予測力の評価:
・データを訓練用 70%テスト用 30%に分割し、テスト用での予測精度を見る
k分割交差検証(k-fold CV)で予測の安定性を確認
・「説明変数の数 ≪ サンプルサイズ」のバランスを意識(目安:n > 10 × 変数数)

📖 用語集(この記事に出てくる統計用語)

統計の基本用語を初心者向けに解説します。本文中で見慣れない言葉が出てきたら、ここに戻って確認してください。

p値
「効果がない」と仮定したときに、観察されたデータ(またはより極端なデータ)が得られる確率。0〜1の値で、慣例的に 0.05(5%)未満を「有意」と判断する。
有意水準
「偶然」と「意味のある違い」を分ける基準。通常 α=0.05(5%)を使う。p値 < α なら「有意」と判定。
信頼区間
「真の値はこの範囲にあるだろう」という幅。95%信頼区間 = 同じ実験を100回繰り返したら95回はこの範囲に真の値が入る。
サンプルサイズ
分析に使ったデータ点の数(n)。一般にnが大きいほど推定が安定し、わずかな差も検出できるようになる。
標準誤差
推定値(係数など)のばらつきの目安。標準誤差が小さいほど推定値が安定している。
正規分布
釣鐘型の左右対称な分布。多くのパラメトリック検定(t検定F検定など)は「データが正規分布に従う」ことを仮定する。
因果相関
相関がある」と「原因と結果の関係(因果)」は別物。アイスクリームの売上と水難事故は相関するが、原因は両者とも「夏の暑さ」。
外れ値
他のデータから極端に離れた値。分析結果を歪める原因になるため、検出して除外するか別途扱う必要がある。
欠損値
データが取得できなかった部分(NaN・空白)。除外するか補完(平均代入・回帰代入など)するかが分析上の重要な判断点。
VIF
Variance Inflation Factor分散拡大係数)。多重共線性の強さを示す指標。VIF > 10 で「強い多重共線性あり」と判断。
交絡変数
「真の原因」と「結果」の両方に影響する第三の変数。これを統制しないと、見かけ上の関係を真の因果と誤認する。
係数回帰係数
説明変数 x が1単位増えたとき、目的変数 y が平均でどれだけ変化するか」を示す数値。正の値は正の影響、負の値は負の影響。
内生性
説明変数と誤差項が相関している状態。逆因果交絡変数の存在で発生する。これを放置すると係数推定にバイアスが生じる。
多重共線性
説明変数同士の相関が強すぎる状態。係数推定が不安定になり、解釈を誤る原因になる。VIF > 10 が警告サイン。
標準化係数
変数の単位の影響を取り除いた係数。複数の変数の影響の大きさを単位に依存せず比較するために使う。
決定係数 R²
回帰モデル目的変数のばらつきの何%を説明できるかを示す指標。0〜1の値で、1に近いほどモデルの説明力が高い。

📐 使っている手法をわかりやすく解説

統計手法について「何のためか」「結果をどう読むか」を初心者向けに解説します。

◆ 統計の基本概念(どの論文にも共通)

🔍 p値有意確率)とは
何?
「もし本当に効果がなかったとしたら、今回の結果(またはもっと極端な結果)が偶然起きる確率」のこと。
なぜ必要?
帰無仮説(「効果なし」の仮定)のもとで検定統計量の分布から計算する。
何がわかる?
「この関係は偶然ではなく、統計的に意味がある」と主張するための客観的な根拠になる。
読み方
p < 0.05(5%未満)を「統計的に有意」と判断するのが慣例。ただし「p値が小さい=効果が大きい」ではない。効果量係数の大きさ)とセットで判断する。
🗂️ ノンパラメトリック検定とは(なぜ使うのか)
何?
「データが正規分布に従う」という仮定を置かない検定手法の総称。Kruskal-Wallis検定・Mann-Whitney U検定などが代表例。
なぜ必要?
データの値ではなく「順位」に変換して検定統計量を計算する。外れ値や偏った分布に対しても安定して機能する。
何がわかる?
サンプルサイズが小さい・データが歪んでいる・外れ値がある場合でも、グループ差の有無を検定できる。
読み方
「なぜノンパラメトリックを選ぶのか」の理由を示すには、正規性検定(Shapiro-Wilk)の結果を添えるのが望ましい。結果の解釈は対応するパラメトリック検定と同様(p < 0.05 で有意差あり)。

◆ この論文で使われている手法

📈 重回帰分析
何?
複数の説明変数(原因候補)が1つの目的変数(結果)にどれだけ影響するかを同時に推定する手法。
どう使う?
目的変数 y を複数の説明変数 x₁, x₂, … で予測する式(y = a₁x₁ + a₂x₂ + … + b)を最小二乗法でフィットさせる。
何がわかる?
複数の要因が混在するなかで「どれが一番効いているか」を一度に検証できる。交絡変数を統制できる。
結果の読み方
係数(a₁, a₂…)のプラスは正の影響、マイナスは負の影響。p < 0.05 で統計的に有意。が1に近いほどモデルの説明力が高い。
⚠️ 注意点
(1) 多重共線性を必ずVIFで確認(VIF>10で警告)。(2) 線形性の仮定—関係が曲線なら対数変換や二乗項を追加。(3) 残差プロット正規性・等分散性を確認。(4) サンプル数は最低でも「説明変数数×10」が目安。(5) 外れ値1つ係数が大きく変わるのでCook距離で確認。
🔗 相関分析
何?
2つの変数の「一緒に増減する傾向の強さと向き」を −1〜+1 の相関係数 r で数値化する手法。
どう使う?
散布図を描き、Pearson(連続データ)または Spearman(順序データ・外れ値に強い)の相関係数を計算する。
何がわかる?
「気温が高い県ほど熱中症指標が高い」などの傾向を素早く確認できる。変数選択の第一歩として使われることも多い。
結果の読み方
r > +0.7 は強い正の相関、r < −0.7 は強い負の相関、|r| < 0.3 はほぼ無相関相関因果関係を示すものではない点に注意。
⚠️ 注意点
(1) 多重共線性を必ずVIFで確認(VIF>10で警告)。(2) 線形性の仮定—関係が曲線なら対数変換や二乗項を追加。(3) 残差プロット正規性・等分散性を確認。(4) サンプル数は最低でも「説明変数数×10」が目安。(5) 外れ値1つ係数が大きく変わるのでCook距離で確認。
🔭 主成分分析(PCA)
何?
多数の変数を情報の損失を最小限にしながら少数の合成指標(主成分)に圧縮する手法。
どう使う?
変数間の相関を利用して「最も分散が大きい方向」を第1主成分、以下順に直交する軸を抽出する。
何がわかる?
30変数あるデータを2〜3成分に要約して散布図で可視化したり、多重共線性の回避に使う。
結果の読み方
各主成分の「負荷量」を見て、どの変数がその成分を特徴づけるか解釈する。累積寄与率 70〜80% 以上なら要約として十分。
⚠️ 注意点
(1) 多重共線性を必ずVIFで確認(VIF>10で警告)。(2) 線形性の仮定—関係が曲線なら対数変換や二乗項を追加。(3) 残差プロット正規性・等分散性を確認。(4) サンプル数は最低でも「説明変数数×10」が目安。(5) 外れ値1つ係数が大きく変わるのでCook距離で確認。
🌿 Ward法クラスタリング
何?
データをグループ(クラスター)に自動分類する手法。グループ内のばらつきが最小になるよう統合していく。
どう使う?
統合後の「ばらつき増加」が最小になるペアを繰り返し合体させ、デンドログラム樹形図)で可視化する。
何がわかる?
都道府県を「都市型」「農村型」などのグループに自動分類し、グループ間の特徴比較ができる。
結果の読み方
デンドログラムの切り位置でクラスター数を決める。各クラスターの変数平均を見てグループを命名・解釈する。
⚠️ 注意点
(1) 多重共線性を必ずVIFで確認(VIF>10で警告)。(2) 線形性の仮定—関係が曲線なら対数変換や二乗項を追加。(3) 残差プロット正規性・等分散性を確認。(4) サンプル数は最低でも「説明変数数×10」が目安。(5) 外れ値1つ係数が大きく変わるのでCook距離で確認。
📅 時系列分析
何?
時間順に並んだデータのトレンドや周期性、変化点を分析する手法群の総称。
どう使う?
折れ線グラフでトレンドを視覚化し、移動平均指数平滑・AR/MA モデルを適用する。
何がわかる?
「出生率がいつから下がり始めたか」「コロナ前後で変化したか」などの変化を客観的に捉えられる。
結果の読み方
傾きが正なら上昇トレンド、負なら下降トレンド。変化点の前後で傾きが変わる場合は構造変化として解釈する。
⚠️ 注意点
(1) 多重共線性を必ずVIFで確認(VIF>10で警告)。(2) 線形性の仮定—関係が曲線なら対数変換や二乗項を追加。(3) 残差プロット正規性・等分散性を確認。(4) サンプル数は最低でも「説明変数数×10」が目安。(5) 外れ値1つ係数が大きく変わるのでCook距離で確認。
🔄 差分の差分法(DiD)
何?
政策効果の「因果的推定」手法。処置群対照群、政策前後の2種類の差を組み合わせる。
どう使う?
処置群の変化)−(対照群の変化)で、政策なしでも起きていた変化を差し引く。
何がわかる?
「地方創生政策がなければどうなっていたか」を推測し、政策の純粋な効果を数値化できる。
結果の読み方
DiD推定値がプラスで有意なら政策は目的変数を増加させた。「平行トレンド仮定」(政策前は両群が同トレンド)の確認が重要。
⚠️ 注意点
(1) 多重共線性を必ずVIFで確認(VIF>10で警告)。(2) 線形性の仮定—関係が曲線なら対数変換や二乗項を追加。(3) 残差プロット正規性・等分散性を確認。(4) サンプル数は最低でも「説明変数数×10」が目安。(5) 外れ値1つ係数が大きく変わるのでCook距離で確認。
🌲 ランダムフォレスト + SHAP機械学習による変数重要度)
何?
多数の決定木を組み合わせた予測モデル(RF)と、各変数の寄与度を個別に説明する SHAP値の組み合わせ。
どう使う?
RFで予測モデルを構築し、SHAPでゲーム理論的アプローチによって各変数の寄与を計算する。
何がわかる?
線形モデルでは捉えにくい非線形・交互作用関係も含めて「どの変数が重要か」を視覚的に示せる。
結果の読み方
SHAP値プラスが予測値を上昇させる貢献、マイナスが低下させる貢献。変数重要度グラフの上位変数が最も影響力が大きい。
⚠️ 注意点
(1) 多重共線性を必ずVIFで確認(VIF>10で警告)。(2) 線形性の仮定—関係が曲線なら対数変換や二乗項を追加。(3) 残差プロット正規性・等分散性を確認。(4) サンプル数は最低でも「説明変数数×10」が目安。(5) 外れ値1つ係数が大きく変わるのでCook距離で確認。
↔️ VAR(ベクトル自己回帰)/ Granger因果検定
何?
複数の時系列変数が互いに影響し合う関係を分析する手法(VAR)と、「AがBの予測に役立つか」を検定する手法(Granger因果)。
どう使う?
VARは全変数を互いに説明変数として同時回帰Granger因果F検定でAのラグ変数がBの予測精度を向上させるかを確認する。
何がわかる?
「女性就業率と出生率はどちらが先に動くか」「リード・ラグ関係」を特定できる。
結果の読み方
Granger因果 p < 0.05 → 「Aの過去値はBの予測に役立つ」(ただし真の因果とは限らない)。
⚠️ 注意点
(1) 多重共線性を必ずVIFで確認(VIF>10で警告)。(2) 線形性の仮定—関係が曲線なら対数変換や二乗項を追加。(3) 残差プロット正規性・等分散性を確認。(4) サンプル数は最低でも「説明変数数×10」が目安。(5) 外れ値1つ係数が大きく変わるのでCook距離で確認。

🚀 発展の可能性(結果 X → 新仮説 Y → 課題 Z)

この研究をさらに発展させるための3つの方向性を示します。「今回わかったこと(X)」から「次に検証すべき仮説(Y)」を立て、「具体的に何をするか(Z)」まで考えてみましょう。

① データ・時間的拡張
結果 X
本論文は特定の年度・地域の断面データ(または限られた時系列)で分析を行った。
新仮説 Y
より新しい年度のデータや市区町村レベルの細粒度データを使えば、知見の時間的頑健性や地域内格差を検証できる。
課題 Z
(1)統計センターから最新の SSDSE をダウンロードし、同じ分析を再実行する。(2)結果が変わった場合、その要因(コロナ・政策変化など)を考察する。(3)市区町村データ(SSDSE-A/C/F)で分析単位を細かくした場合の結果と比較する。
② 手法の発展:重回帰分析 の次のステップ
結果 X
本論文は 重回帰分析 を用いた推定を行った。
新仮説 Y
パネルデータ固定効果モデルFE)による都道府県固有の差の統制 により、本分析では統制できていない問題を解消できる可能性がある。
課題 Z
(1)パネルデータ固定効果モデルFE)による都道府県固有の差の統制 を実装し、本論文の係数推定と比較する。(2)操作変数法IV)による内生性の解消 も試し、結果の頑健性を確認する。(3)推定結果の変化から、元の分析の仮定のどれが重要だったかを考察する。
③ 政策提言・実践への応用
結果 X
本論文は分析結果から特定の変数が目的変数に影響することを示した。
新仮説 Y
分析対象を日本全国から特定地域に絞ること、または逆に国際比較に拡張することで、政策の移転可能性と文脈依存性を検証できる。
課題 Z
(1)有意な変数を「政策で変えられるもの」と「変えにくいもの」に分類する。(2)政策で変えられる変数について、係数の大きさから「どれだけ変えればどれだけ効果があるか」を試算する。(3)自治体・政策立案者への提言として、実現可能なアクションプランを1枚にまとめる。

🎯 自分でやってみよう(5つのチャレンジ)

学んだだけでは身につきません。実際に手を動かすのが最強の学習方法です。本論文のスクリプトをベースに、以下のチャレンジに挑戦してみてください。難易度別に5つ用意しました。

★☆☆☆☆ 入門
CH1. 同じデータで分析を再現する
まずは付属の Python スクリプトをそのまま実行し、論文と同じ図を再現してみてください。
ポイント: 各図がどのコード行から生成されているか辿る。エラーが出たら原因を考える。
★★☆☆☆ 初級
CH2. 説明変数を1つ追加・除外して結果を比較
本論文の分析モデルから説明変数を1つ抜いて再実行、あるいは1つ追加して再実行してください。
ポイント: 係数p値 がどう変わったか観察する。多重共線性が原因で結果が変わる例を見つけられたら理想的。
★★★☆☆ 中級
CH3. 別の年度・別の都道府県で同じ分析を試す
SSDSE の別の年度(例:2015年度・2020年度)または特定都道府県のみのデータで同じ分析を実行してください。
ポイント: 時代や地域によって結論が変わるか? 変わるならその理由を考察する。
★★★★☆ 上級
CH4. 別の手法を組み合わせる
本論文の手法 + 1つの追加手法(例:重回帰 + LASSO相関分析 + 主成分分析)で結果を比較してください。
ポイント: 手法の違いで結論が変わるか? どちらが妥当かを「なぜ」とともに説明できるように。
★★★★★ 発展
CH5. オリジナルの問いを立てて分析する
本論文の手法を借りて、あなた自身の問いを立てて分析してください。 例:「カフェの数と幸福度に関連はあるか」「教育費の高い県は出生率も高いか」など。
ポイント: 問い・データ・手法・結論を1ページのレポートにまとめる。これがデータサイエンスの「実践」。
💡 ヒント: 詰まったら本サイトの他の論文(同じ手法を使っている)のスクリプトをコピーして組み合わせるのが効率的です。手法ガイド・用語集も参考に。

💼 この手法は実社会でこう使われている

本論文で学んだ手法は、研究の世界だけでなく、行政・企業・NPO の現場でも様々に活用されています。具体的なシーンを紹介します。

🏛️
行政の政策立案
都道府県・市区町村の政策担当者は、本論文と同様のデータ分析を用いて「どこに予算を投じれば効果が出るか」を検討します。 例えば医療費削減策、移住促進策、子育て支援策などの効果予測・効果検証に直結します。
🏢
企業のマーケティング・出店戦略
小売チェーン・サービス業の出店戦略では、地域特性(人口構成、所得、ライフスタイル)と売上の関係を本論文と同じ手法で分析します。 ECサイトでも顧客セグメント分析・購買要因分析に類似手法が使われます。
🏥
医療・公衆衛生
感染症の流行予測、医療資源配分の最適化、健康格差の地域要因分析などで、本論文の統計手法は標準的に使われています。 WHO・厚労省レベルの政策評価でも同じ手法が活躍しています。
📊
メディア・ジャーナリズム
新聞・テレビの社会調査記事、選挙予測、世論調査の分析でも、本論文と同じ手法(回帰分析・クラスタリングなど)が使われています。 データジャーナリズムの記事はこの種の分析が中核です。
🎓
学術研究(隣接分野)
経済学・社会学・公衆衛生学・教育学・地理学などの実証研究では、本論文と同じ手法が日常的に使われます。 専門誌に掲載される論文の8割以上が、こうした統計手法に基づいて結論を出しています。
💰
金融・保険業界
与信判断(融資審査)、保険料の地域別設定、不動産価格予測などで、本論文と同様のモデリング手法が広く活用されています。 統計分析の能力は金融業界の必須スキルになっています。

🤔 よくある質問(読者からの想定Q&A)

この論文を読んで初心者が抱きやすい疑問に、教育的観点から答えます。

Q1. この分析、自分でもできますか?
はい、できます。SSDSE データは無料で公開されており、Python の pandas, scikit-learn, statsmodels を使えば全く同じ手順で再現可能です。本ページ下部のスクリプトを実行するだけで結果が得られます。
Q2. 使われている手法は他の分野にも応用できますか?
十分応用可能です。本論文の[手法]は、医療・教育・経済・環境など他のドメインでも標準的に使われる手法です。データの中身(変数)を入れ替えるだけで、別の問いにも適用できます。
Q3. 結論は本当に「因果関係」を示していますか?
本論文は「観察データ」を使った分析であり、厳密な意味での「因果関係」を完全に証明したわけではありません。あくまで「強い関連が見られた」という事実を提示しているにとどまります。真の因果を示すには、無作為化比較試験(RCT)か、自然実験を活用したIVDiD 等の手法が必要です。
Q4. データの最新版を使うとどうなりますか?
SSDSE は毎年更新されているため、最新版を使えば近年のトレンド(特にコロナ禍以降の変化)も含めて分析できます。ただし、結論が変わる可能性もあります。それ自体が新しい発見につながります。
Q5. もっと深く学ぶには何を読めばいいですか?
「計量経済学」「データサイエンス入門」「統計的因果推論」などのテキストが入門に向いています。Python の場合は『Python ではじめる機械学習』(オライリー)、R の場合は『R で学ぶ統計学』が定番です。本サイトの他の論文も読み比べてみてください。