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実験計画法
Design of Experiments
推測統計
別称: DoE

🔖 キーワード索引

実験計画法Design of Experiments推測統計DoE

本ページは 実験計画法(Design of Experiments)を多角的に解説します。 上のチップは、 検索・関連語の手がかりです。

💡 30秒で分かる結論

📍 文脈 — どこで使う概念か

実験計画法(Design of Experiments, DoE)は、 Ronald Fisher が農学実験の効率化のために生み出した分野。 現在では 製薬の臨床試験、 半導体の歩留まり改善、 Web の A/B テストなど、 あらゆる「実験」の根幹技術です。 統計的検定(ANOVA, t検定)と密接に結びついています。

🎨 直感で掴む — 具体例で理解する

Fisher の 3 原則:

原則目的方法
ランダム化系統的偏りを排除処置をランダムに割り当てる
反復誤差を推定可能に同条件を複数回
局所管理環境変動を除く類似条件をブロックに

例:肥料 A, B, C を比較したい場合 ─ 田んぼを 3 つに分けて適用するのではなく、 各田んぼ内でランダムに小区画に割り当て、 反復して測定。 こうすれば「田んぼの差」と「肥料の差」が分離できます。

因子が多い場合は 直交配列表で組合せ爆発を抑制。 「8 因子各 2 水準なら $2^8 = 256$ 通り」を 8 通りで済ませる魔法のような技。

📐 定義・数式

因子設計の分散分析モデル:

【二因子分散分析モデル】
$$Y_{ijk} = \mu + \alpha_i + \beta_j + (\alpha\beta)_{ij} + \varepsilon_{ijk}$$
$\alpha_i$ = 因子 A、 $\beta_j$ = 因子 B、 $(\alpha\beta)_{ij}$ = 交互作用、 $\varepsilon$ = 誤差

🔬 記号・要素の読み解き

因子(factor)
実験で操作する変数(肥料種、 温度、 圧力)
水準(level)
各因子の値(A, B, C の 3 水準)
処置(treatment)
因子と水準の組合せ
主効果
因子単独の効果
交互作用
2 因子以上の組合せ特有の効果
誤差
実験から説明できない変動(再現性の限界)

🧮 数値例・実値計算

例:3 因子 2 水準の完全実施 vs 直交配列:

方法実験数推定可能な効果
完全実施 $2^3$8主効果 + すべての交互作用
$L_4$(半分実施)4主効果のみ(交互作用は交絡)
$L_8$ 直交配列8主効果 + 2因子交互作用

因子が増えると(例:7 因子 2 水準)、 完全実施は $2^7 = 128$ 実験。 $L_8$ で 8 実験に圧縮可能(主効果のみ)。

🐍 Python 実装例

最小コードで動かしてみる例:

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import pandas as pd
import statsmodels.api as sm
from statsmodels.formula.api import ols

# 二元配置 ANOVA
df = pd.read_csv('data/raw/experiment.csv')

model = ols('収量 ~ C(肥料) + C(品種) + C(肥料):C(品種)', data=df).fit()
anova_table = sm.stats.anova_lm(model, typ=2)
print(anova_table)

⚠️ よくある落とし穴

❌ ランダム化失敗
「同じ条件のものをまとめて処理」すると、 順序効果が混入。 必ずランダム化。
❌ 反復不足
1 回ずつでは誤差が推定できず、 結論が不安定。 最低 3 反復推奨。
❌ 交互作用無視
「肥料 A は品種 X だけで効く」のような交互作用を見落とすと、 結論を誤る。
❌ ブロック化忘れ
圃場の場所差、 機器のロット差を無視すると、 効果が誤差に紛れる。
❌ 交絡の理解不足
部分実施計画では一部の交互作用が主効果と区別できない。 設計表を理解せず使うと危険。